『池上彰のニュースそうだったのか!!』では、「10万円給付は前借りなので今後税金で返済しなければならない」との発言が炎上中です。給付金を待望する機運に間違った冷水で抵抗しているのは、財務省の命を受けたか、権力に弱いメディアに忖度したか、どちらかしかありえません。(キャッチ画像は番組から)
MMTから見て札付きの番組
『池上彰のニュースそうだったのか!!』は、MMTの立場からすれば、実は札付きの番組です。
池上彰さんは、この番組で再三、「孫子の代まで借金を残すな」という話をしているので、1度取り上げてみたいと思いましたが、西田昌司議員がご自身のチャンネルで質問に答える形で取り上げています。
2021/01/26公開の『週刊西田』です。
まず、質問を引用します。
ドクターXさんからの質問
テレビ朝日1月23日 20時放送。「池上彰のニュースそうだったのか」で池上彰が、2012年度予算案は「借金返しだけで予算の4分の1、借金を返すために借金をしている。一般家庭なら収入30万円なのに50万の生活をしている」と言っており、番組の最後には「コロナ対策も全て借金。10万円給付は前借りなので今後税金で返済しなければならない。今後皆さんは一生懸命稼いで税金を沢山収めて下さい」と、とんでもない悪質なデマを流しておりました。
ゴールデンタイムに何もかもが間違いなこの様なデマは流されると本当に心が痛みます。海外では政府債務の考え方が変わりつつある中、日本はいつまでこの様な古い考えの人をテレビに出すのですか?池上彰のような嘘つきはテレビから追放出来ないのでしょうか?
池上彰さんの番組のリンクはしませんが、動画検索でフルにアップしている動画がありますね。
特別定額給付金が「前借り」とは、よくも言ったものです。
そんなことを言われたら、国民は給付を求めることをためらってしまいます。
そういう狙いなのでしょうね。
それに対して、西田昌司議員の第一声はカメラ目線で、「この人(池上彰氏)も、全く自分の頭で考えたことないんですね。気の毒な方です」ときっぱり(笑)
「池上彰氏がまたテレビでとんでもないデマを流していますが?」週刊西田一問一答おまけ https://t.co/ipiq8S12kU @YouTubeより
— 石川良直 (@I_yoshinao) February 2, 2021
西田昌司議員はこう続けています。
この人は記者あがりですよね。財務省に取材に行ったり、高名な経済学者に取材に行ったりして、「たとえて言うとこういうことなんだよ。税収の範囲内で暮らしをするのが当たり前でしょ。人間みんな所得の範囲内で生活しているんだから、それを借金をして生活していくなんてことはですね。これはもう成り立たないと。SDGsにならにならないんだとね。持続可能なことじゃないんだ」というふうに教えられていてですね、一般家計と同じように、収入以上の生活をして、その差額を借金で埋めていたら全然アウトだねと。
それをそのまま言っているに過ぎないんですが、何度も言ってますけれどもね。一般家計と国家とは全く違うんですね。
それはなぜかというと、一般家計というのはお金を作れません。貨幣を作っているのはどこかというと、政府なんですよ。政府は自分の力で貨幣を出して、その出したお金でみなさん方が、経済が動いているわけですね。予算も執行しているわけです。(中略)
そもそも国債発行した分が、この通過供給になるわけですけれども、池上さんの言うことが正しいんだったらですね、また財務省の言うことが正しいんだったらですよ、要するに今まで日本の国というのはですね、ずーっと、まあ戦後一貫して国債残高が増えていっているわけです。
でこれは、孫子の代に借金を残していると言ってるんですけれども、現実問題はその通貨の、国債のまあだいたい5年とか10年ですね、償還期限が来てそれを返済するんですけれども、返済するときに財源として新しい国債を発行して、それをもって古い国債の償還に充てているわけですね。
ですから10兆円の国債を償還したら、10兆円の国債が新たに発行していると差し引き減らないわけですね。で今はそれ以上にですね、国債の償還をしているのが20~30兆円で、それで新たな国債を発行してやっているのは40兆円ぐらいありますから、10~20兆円ぐらいですね、一般予算でもこの国債発行を通過供給によって予算を組んでいる状態。
だがらどんどん国債が増えてきます。しかし、その国債が返済するときになっても、またもう一度新しい国債を発行してやるだけです。利払いの費用も含めて国債の償還に充てるために、古い国債を償還するために新しい国債行するだけで、国債残高は減りません。そして、皆さん方からの税金で返しているわけでもない。
結局はですね、皆さん方の民間側に預貯金がどんどんどんどんたまっていくだけ。それを税金でですね、国債の償還をしたってことはですね、昭和21年の財産税課税以来、一度たりともありません。
まとめると、こういうことです。
- 一般家計と国家とは全く違う。政府は自分の力で貨幣を発行できる
- 一般予算でも国債発行を通過供給によって予算を組んでいるから今も年々さらに増えている。
- 池上彰氏や財務省が正しければ、戦後一貫して増えている国債残高を返済しなければならないはずだが、償還期限が来ても新しい国債を発行して古い国債の償還に充てているから税金で返済などしていない。
日米英、すべてで国の「借金」総額は増え続けているけれど、なんの問題もない、というツイートを藤井聡さんが、数字で示されたことはすでにご紹介しました。
「コロナでカネを使いすぎて借金やばい!もう給付なんて無理!」なんて声が政治家や識者でも多数.
が、そういう人はこのグラフ事実を知らない無知蒙昧な愚者。日本以外にも英米も政府借金は年々拡大。でもヤバイことなんて何も起こってません.
つまり怖いのは借金じゃなく不況での倒産/失業なのです. pic.twitter.com/tTNe6AROVc
— 藤井聡 (@SF_SatoshiFujii) January 22, 2021
詳しくはこちらをご覧ください。
自国で通過発行ができるので、そもそも「借金」という表現自体が不正確かもしれませんが、「借金」は国民「が」しているではなく、政府が国民「に」しているものです。
ですから、国民が「借金」をしているかのような池上彰さんの説明は虚偽なのです。
ケインズの話からギリシャの話に移るマジック
それにしても、池上彰さんは財政について勉強が足りないんじゃないか、と思われますか。
それが、必ずしもそうともいいきれないんですね。
池上彰さんは、『池上彰の世界を変えた10冊の本 第四回 ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」』という名城大学で行った公開授業の動画で、 ケインジアン(ケインズ経済学)の説明しているのです。
めっちゃ説明上手にしてくれたのに、日本のこと間違ってるってどうなのよ…
第四回 ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」 https://t.co/hdBoMGx7IM @YouTubeさんから— Soruto@積極財政派 (@soruto_osio) November 5, 2019
このOGPのツイートにもあるように、ケインジアン(ケインズ経済学)の話をわかりやすく進めておきながら、佳境に入ると急にギリシャの話になり、とってつけたように「孫子の代まで借金を残すな」という結論になるので、思わずずっこけてしまいました。
Youtubeのコメントを引用します。
mmtについて勉強されてるのかな。不勉強なのか、財務省御用学者なのか、やはり馬鹿なのかどれかですね、池上さん。債務残高とプライマリーバランスを勘違いして話してるのかな?
ケインズよりも先に高橋是清が、財政政策、金融政策をして日本が欧米よりも先に恐慌脱出した。
ドイツもナチスがアウトバーンなどの公共事業に投資し財政出動で経済回復して、そして軍備増強をして失地回復でチェコやポーランドに侵攻したら英仏がドイツに宣戦布告。
今の日本は消費税増税、緊縮財政で日銀の金融政策頼みで株高、円安になっていてもゼロ金利で流動性のワナに陥っている為、財政出動しないと景気刺激にならんよ。ケインズとピラミッドより
緊縮財政20年続けてる間に中国にGDP抜かれた理由を教えて欲しい池上さんわかっているのに何故テレビでは、国の借金が膨れて破綻してしまう?は、嘘なんですよって言ってくれないのw
ギリシャ政府の債務は外国向け。日本政府の債務は国内投資家向け。池上「日本の借金が1000兆円になった。」(デフォルト扇動???)日本政府にしても、資産・負債の差引勘定の実態は-500兆円くらいだろ。負債額は国公債合わせて1200兆円くらいになるだろうが、資産もある。全額が債務超過ではない。国公債は100%円建てで、ほぼ全額が国民が相手だから「国として破綻(国債暴落、デフォルト)」は絶対にしないと言ってよい。
西田昌司議員の言われている通り、知識として頭に入っているだけで、自分で何も考えていないのか、もしくはなにかに忖度しているのか。
よくテレビ朝日は左翼的のように言われますが、テレビは政府による電波の許可で運営されているので、権力には本質的に弱いものなのです。
かつての椿発言は、自民党だった小沢一郎氏主導の勢力による政権交代だから安心していたのでしょう。
財務省か、局の判断か、別の勢力かはわかりませんが、池上彰さんの不自然な一連の発言は、「大きな力」に重宝がられて生きていく道を選択したのかもしれません。
以上、『池上彰のニュースそうだったのか!!』では「10万円給付は前借りなので今後税金で返済しなければならない」との発言が炎上中、でした。
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