独身税の議論がネットでは活発です。我が国では存在しない税制ですが、税とは何かということと、改めてMMTに行き着くテーマだと思います。独身の人から徴税して、子供のいるファミリー世帯を優遇してはどうかという話にネットでは様々な意見で盛り上がっています。
独身者から税金を取りファミリー世帯を優遇するという提案
『キャリコネニュース』の記事には、はてな匿名ダイアリーに、「独身税の何が悪いのかわからない」という投稿があり物議を醸していることが紹介されています。
簡単に述べると、独身者から税金を取り、ファミリー世帯を優遇しようという話です。
「共同体の存続のためには子どもが必要なんでしょ」
「だから子どもを作ってる人には税金を優遇して作ってない人からはちょっともらう。完璧な理論としか思えない」
旧ソ連では、子どもがいない夫婦や独身男性について「独身・無子税」として、賃金の6%がかけられていたことがある「実績」や、日本でも少子化が問題になっていることから、そのような「提案」も出てくるのでしょう。
ただし、それに対しては疑問や反論が相次いています。
- つまり結婚の自由を廃止するってことかー
- 税金で子育て支援やってる時点で事実上独身税とすでに同じことをやってるわけだが。 特定の層の負担を増やすのと特定の層の利益を増やすのって結果的に同じことをやっている.
- 独身のうちに金奪ったら結婚する気力はなくなるだろうね。既婚者から金を奪って子をなす気力と時間を奪ったように
- 罰する方向に行くと自殺者もっと増えそうなだけだと思うんだが
- 悪くは無いけど、特定の個人を対象にした税制だから反発が多い。
といったところです。
主に、結婚しない自由を侵害する、少子化対策にもならない、偽装結婚がある、お金を貯めることがより難しくなり結婚が遠のいてしまう、税を罰として使っている、といった理由です。
いずれにしても、投稿にはブックマークが400以上つき、注目される意見ではあるようです。
独身税の何が悪いのかわからない https://t.co/Io698wdUfc そか?
— れいこ (@msreicoo) February 11, 2021
この投稿を紹介する『キャリコネニュース』のもと記事では、「税金のかけ方で人の生き方が左右されるなんて、嫌な話だ。」と結んでいます。
それを含むまとめサイトはこちらです。
【社会】「独身税」導入論に反論相次ぐ 「金がなくて結婚できない弱者から税金を取ることに」「児童手当や所得控除が実質独身税」★4 [ボラえもん★]
https://t.co/r5YRL8VFg9 pic.twitter.com/P9zWvJZWRg— れいこ (@msreicoo) February 11, 2021
主なコメントを抜粋します。
5ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:09:11.07ID:dQWsmKXm0
不幸な人は免税、幸福な人は増税するのが税金の基本
で、独身は増税?減税?19ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:10:24.42ID:JmXUDchE0
みんな誰彼から奪う事しか考えないw21ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:10:33.57ID:hS3Qe0J+0>>36>>70
現実的に40歳以上から独身税とればよい
独身貴族というだけあって金ある独身も多数よ
独身なのに3000万の一軒家買うくらい余裕あるからな
反対が多いだろうが無視して実施しろよ
小梨独身貴族など国にとっちゃ悪だからな
39才までは見逃してやれ
40歳から独身税だ明日からでも徴収しろ47ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:12:24.37ID:snfN9av/0
政治家税と公務員税を提言する。59ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:13:08.92ID:3YDb2YJO0
独身であることがなぜ税金の対象になるのかまったくわからない65ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:13:31.37ID:w/Yrqbai0
そら誰もが望んだら必ず即結婚出来るということではないから差別税なんだよね
平等に与えられてないものに対して得たくても得られてない側から税金を取るって仕組みはかなりヤバい
差別大好きなアホはそこに気が付かないお前土地持ってないから土地なし税なって言ってるレベル
72ニューノーマルの名無しさん2021/02/11(木) 15:13:55.20ID:pX+vTaOe0
独身税なんか取らなくても、輪転機回して札束刷って幼稚園から大学まで無償にすればいいだけだし、
そのほうがよっぽど国のためになるだろ
Web掲示板ですから、まあ例によって好き勝手なことを書いているわけですが、なかなかいいことも書いてますよね。
たとえば、「みんな誰彼から奪う事しか考えないw」とか、「必ず即結婚出来るということではないから差別税」とか、「独身税なんか取らなくても、輪転機回して札束刷って幼稚園から大学まで無償にすればいい」とか。
結局、この問題も、税とは何かということと、貨幣論(MMT)の問題に行き着くのです。
独身であることは徴税の対象ではなくMMTの解決方法とも違う
MMTにおける徴税の役割とは、おおまかなところで、以下のようなことが考えられます。
- インフレ抑制
- 格差の是正
- 円の通貨としての価値を担保する
- 社会秩序を守るために利用する
……MMTによる国債発行のコントロールはインフレ率による
……累進課税によって富裕層と中流層・貧困層との格差を広げないようにする。そもそも富裕層にとっての税は、同額であっても中流層・貧困層よりも犠牲が少ない
……納税義務を貨幣(円)で果たすことで、その貨幣に価値(需要)が生まれる
……お酒やタバコに税金をかけることで、需要をコントロールすることができる
独身税の是非を論じるなら、直接関わりがあるのは、「2」か「4」ということになります。
直間比率の「是正」とする消費税というのは、MMTの財政規律すらすれば悪税です。
ですから、先のコメントにあるように、「誰彼から奪う事しか考えない」ために税はあるわけではありません。
上掲のコメントにもありましたが、徴税は「罰」や「差別税」としてあるわけでもありません。
ましてや、結婚というのは、婚活したからと言って直ちにできるわけではありません。
ですから、そもそも独身であると言うだけで、徴税の対象とすること自体不適切です。
もし、自主的に結婚しないなら、もっぱらその人の価値観にかかわることであり、健康や社会的な迷惑に関わるお酒やタバコとは同列に置けないので「4」にも該当しません。
そして何よりも、最後のコメントである「独身税なんか取らなくても、輪転機回して札束刷って幼稚園から大学まで無償にすればいい」こそが至言です。
そもそも、独身者⇒ファミリーに金を動かして「優遇しよう」というのは、財源が現在の税収であるとする考え方です。
それは、お金はプールされたもので賄う(限られている)という、財務省や主流派経済学者の言い分でしかありません。
もう少しMMT的に述べれば、輪転機を回さなくても、通帳にお金の金額を打ち込む「信用創造」で事足ります。
独身税などあってはならない悪税、というより論外税でしかありえないものですが、MMTの立場から考えると、感情としてだけでなく理詰めでそれが明確になります。
以上、独身税の議論がネットでは活発。我が国では存在しない税制ですが、税とは何かということと改めてMMTに行き着くテーマです、でした。
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