石立鉄男主演ドラマシリーズの中でもとくに評判の高かった『パパと呼ばないで』と『雑居時代』がアマゾンプライムビデオに登場!しました。現在はプライム会員なら全話追加料金無しで視聴可能です。古き良き昭和の青春ホームコメディーを堪能しましょう。
石立鉄男シリーズというのは、1971年(昭和46年)~1978年(昭和53年)にかけて、水曜日20時、もしくは日曜日20時に放送された、メイン脚本は松木ひろしさん、音楽は大野雄二さん、そして主演は石立鉄男さんによるシリーズ化されたドラマ群のことです。
たとえば、FaceBookの昭和関連グループでは、ほぼ毎日のようにどこかで投稿され話題になり、チャンネルNecoでは何度も繰り返し放送されるロングセラーシリーズですが、このたび、遂にAmazonプライムビデオで、その中の人気作品である『パパと呼ばないで』と『雑居時代』が視聴できるようになりました。
アマゾンプライムビデオというのは、Amazonの有料会員制プログラムです。
プライム会員は、迅速で便利な配送特典や、プライム会員特典に含まれるPrime Video、Prime Music、Amazon Photos、Prime Reading等のデジタル特典を追加料金なしで使えます。
現在は年間プラン4,900円(税込)または月間プラン500円(税込)です。
たとえば、Prime Videoは、今回のような人気ドラマ、人気映画が追加料金無しで見られますし、Amazon Photosは、画像の保存をなんと容量無制限で行えます。
それにしても、今回の配信はすばらしいことです。
人情もろくて、自分のことじゃないのに一生懸命やってしまう男
石立鉄男(1942年7月31日~2007年6月1日)主演ドラマシリーズというのは、“明るく楽しくカラっと泣ける”をモチーフに、脚本は松木ひろし、音楽は大野雄二、そして主演は二枚目半役の石立鉄男によって作り上げられた、青春人情ホームコメディーとしてシリーズ化されたドラマ群のことです。
「青春人情ホームコメディー」と書きましたが、まあこれは、私の造語です。
ジャンルとしては、情にもろいけれど明るい二枚目半~三枚目の青年(石立鉄男)が、様々な設定のもと、泣き笑いずっこけるストーリーです。
石立鉄男さんが演じるキャラクターは、「良く言えば、組織に縛られない熱血漢。悪く言えば、突っ走りのオッチョコチョイ。人情もろくて、自分のことじゃないのに一生懸命やってしまう。そういう性格を最初に決めて、シリーズで通した。」(松木ひろしさん)そうです。
当時の表現を使えば、「テレビ映画」である同シリーズは、16ミリフィルムで撮影。
建物や戸外は実在のロケ地を使い、部屋の中はよみうりランドのセットを使うという、映画のような作り方をしていました。
ドラマ名 | 放送期間 | 話数 | ロケ地 | ヒロイン |
---|---|---|---|---|
おひかえあそばせ | 1971年4月7日~1971年9月22日 | 13話 | 川崎 | 宮本信子、岡田可愛 |
気になる嫁さん | 1971年10月6日~1972年9月20日 | 40話 | 成城学園 | 榊原るみ |
パパと呼ばないで | 1972年10月4日~1973年9月19日 | 40話 | 佃島 | 松尾嘉代 |
雑居時代 | 1973年10月3日~1974年3月27日 | 26話 | 成城学園 | 大原麗子 |
水もれ甲介 | 1974年10月13日~1975年3月30日 | 25話 | 豊島・鬼子母神 | 川口晶 |
※おふくろさん | 1975年4月6日~1975年9月28日 | 21話 | 世田谷・赤堤 | 吉沢京子 |
気まぐれ天使 | 1976年10月6日~1977年10月19日 | 43話 | 早稲田 | 大原麗子、酒井和歌子、坪田直子 |
気まぐれ本格派 | 1977年10月26日~1978年9月20日 | 38話 | 神楽坂 | 山口いづみ、水沢アキ |
※『おふくろさん』は日本テレビ制作
放送されていたのが、『水もれ甲介』と『おふくろさん』が日曜20時、それ以外は水曜20時です。
リアル放送時、この一連の石立鉄男ユニオン映画シリーズは、それほどの人気番組ではなく、安価でしのげるナイター中継の雨傘番組、という位置づけだったようです。
ですから、『パパと呼ばないで』の平均視聴率は11%に過ぎなかったのに、1年間も放送されています。
さらに、石立鉄男さんは、番宣にもあまり積極的には出演せず、芸能人としての話題作りも行わず芸能マスコミを上手に利用しなかったため、当時はほとんど芸能マスコミでは話題にならないドラマでした。
それがなぜ、今でも多くの人に語られているのか。
当時、放送終了後も、午後の4時からの再放送枠(青春アワー)で何度も放送したことで、視聴者には世代を重ねて刷り込みと親近感が生じていったのではないでしょうか。
そして、その“刷り込み”は、繰り返しの再放送すら終了した頃に爆発しました。
竹中直人さんがそのモノマネを最初に行ったのは、シリーズがすでに終了していた70年代後半の『TVジョッキー』(日本テレビ系)。
さらに、1983年にテレビ朝日の『ザ・テレビ演芸』でグランドチャンピオンになったときのネタとして、「遠藤周作」とともに「ちーぼーっ」という『パパと呼ばないで』における安武右京(石立鉄男)のモノマネを行い、竹中直人さんとともに石立鉄男ドラマ自体も脚光を浴びるようになったものです。
もちろん、“遅れたブレイク”は、シリーズ各作品がしっかりとした出来だったからであることは言うまでもありません。
つまらない作品なら、むしろ再放送でボロを出してしまいますからね。
スルメではありませんが、噛めば噛むほど味が出たのでしょう。
ツンデレ同士で喧嘩し合いながら愛を深めていく
当時のドラマは、主要な登場人物が、最後は一緒になって視聴者を安心させていました。
ところがこのシリーズは、若い頃の石立鉄男さんと、ドラマごとにヒロインが出演しますが、最終回、もしくはその近くで結ばれる、というパターンが意外と少ないのが特徴です。
順に観ていくと、『おひかえあそばせ』では、当時人気の岡田可愛さんが出演しているのですが、石立鉄男さん演じる小早川薫は、その姉である通称キャップの宮本信子さんの方に気があったようで、最終回は結局どちらとも結ばれずにニューギニアの撮影で日本をたちます。
『気になる嫁さん』は、亡くなった弟の婚約者だっためぐみ(榊原るみ)を巡って、男兄弟3人(山田吾一、石立鉄男、山本紀彦)が牽制し合うのですが、やはりこれも石立鉄男さん演じる文彦がリードした感があったものの、結局結ばれません。
石立鉄男さん自身が、もっとも印象に残ると明言した『水もれ甲介』は、レギュラーのヒロインはおらず、クラブ歌手(山口いづみ)にはフラレてしまい、途中からレギュラー入りしたお手伝いさん(川口晶)と結ばれます。
本作は、原田大二郎さん演じる弟の輝夫が二枚目役で出演しており、男女間の話は甲介はあまり前面に出さない方針だったようです。
『おふくろさん』は、唯一日本テレビの制作で、シリーズに入れるべきかどうかではマニアの間で熱い議論があるのですが、本作は吉沢京子さんと結ばれます。
ただし、結婚するのはドラマ中盤でありあまり重要視されず、本作は「おふくろさん」である京塚昌子さんとフランキー堺さんの恋愛がメインであったように思います。
『気まぐれ天使』は、最初のクールが大原麗子さん、それ以降が酒井和歌子さんがヒロインでしたが、やはり本作も二枚目役は森田健作さんに譲りました。
石立鉄男さん演じる加茂忍と、酒井和歌子さん演じる南條巴との関係は悪くなかったのです。が、ラス前と最終回で事態は変わり、結局は森田健作さんと結ばれてしまい、加茂忍は面倒を見ていた渚(坪田直子)と結ばれることになりました。
シリーズ最終作となる『気まぐれ本格派』は、山口いづみさんと水沢アキさんが出演。2人とも一寛(石立鉄男)に好意を持つ設定で、石立鉄男さんは久々のモテ役でした。
そして一寛は、義姉の袖子(三ツ矢歌子)にほのかな恋心を抱き、男女模様が賑やかでしたが、なんと、結局は一寛が船乗りに戻ることで、だれとも結ばれませんでした。
では、本シリーズは、渥美清さんの『男はつらいよ』のように、ヒロインとは結ばれないシリーズなのかというとさにあらず。
今回配信されている『パパと呼ばないで』と『雑居時代』では、ツンデレ同士で喧嘩し合いながら愛を深めていくという、素敵な恋愛ドラマになっているのです。
園子さんも、夏代さんも、素晴らしかったですね。
『 #パパと呼ばないで 』
第5回「突然の誕生日」より園子の笑顔がミョーに印象的でした、ハイ??#石立鉄男 #松尾嘉代 pic.twitter.com/gQbEiBxWrm
— しがない三四郎 (@shinya_bokudake) May 31, 2019
雑居時代の大原麗子、髪の毛ピン留めさせたら日本一?? pic.twitter.com/a86RcARojX
— ken (@kenchanseco) September 17, 2022
今回、その2作がシリーズの中から選ばれて配信されているのは、偶然ではないかもしれませんね。
きっとシリーズのファンは、石立鉄男さん演じる役が、ヒロインと結ばれるラブコメとしての興趣を抱いていたのだと思います。
なんにせよ、未見の方はたぶん、かなり若い世代だと思いますが、ぜひご覧いただきたいですね。
昭和のラブコメホームコメディー。
おすすめします。
以上、石立鉄男主演ドラマシリーズの中でもとくに評判の高かった『パパと呼ばないで』と『雑居時代』がアマゾンプライムビデオに登場!でした。
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