障碍者が社会の迷惑、という大いなる誤解にいつ気づくのでしょうか。障碍者の社会生活上のバリア（障壁）を負担が重すぎない範囲で取り除く合理的配慮から、障害者差別解消法を改正するとの報道に、ネットでは「障碍者に金を使うな」という声が上がっています。
バリアフリーは障碍者優遇か？
「政府は、民間の企業や店舗に対し、障害者の社会生活上のバリア（障壁）を負担が重すぎない範囲で取り除く「合理的配慮」の提供を義務付けるため、障害者差別解消法を改正する方針を固めた。来年１月召集の通常国会に同法改正案を提出する方向で調整している」という記事です。
『読売新聞』の記事がYahoo!トピックスに出ていましたが、短期間でリンク切れするので、まとめ記事のOGPを記載します。
【独自】障害者配慮、民間も義務化へ…スロープ設置や手話対応 [愛の戦士★]
https://t.co/moDJ2wVcm8 pic.twitter.com/D5nU66VAgB— 赤べコム (@akabecom) December 30, 2020
バリアフリーは当たり前かと思ったら、まだ法制化もされていなかったんですね。
コメントには相変わらずこんなものもあります。
5ニューノーマルの名無しさん2020/12/26(土) 20:55:37.78ID:DgU/cxKt0
障害者okのとことそうでないとこ
住み分けたらいいのに6ニューノーマルの名無しさん2020/12/26(土) 20:58:39.94ID:ThZKXrmM0
ホント害しかねーな9ニューノーマルの名無しさん2020/12/26(土) 21:05:24.32ID:ivEajLpZ0
招害者だなあ18ニューノーマルの名無しさん2020/12/26(土) 21:11:11.45ID:Jq1tSil50>>58
少数派のガイジの為になんで多数派の健常者様が指図されなきゃならんのか22ニューノーマルの名無しさん2020/12/26(土) 21:28:14.50ID:PliZcD3Q0
かはわ、うぜーな。日陰で暮らせ。まともより、優遇し過ぎだろ
コメントの中には、障碍者に含むところがあるからではなく、たんに財源を心配しているものもありますが、これは傾聴に値します。
つまり、国が言い出したときこそ、その財源支出に財政出動のチャンスだからです。
デフレで経済が冷え切っているときに、今回は社会のインフラを向上させるというこれ以上ない眼目でお金を刷り、経済を動かすというMMTに叶った話です。
それはともかくとして、話を戻すと、上のコメントには、障碍者は社会の役に立たないから、そんなことで金を使うな、という、津久井やまゆり園の被告に通じるメンタリティを感じます。
果たしてそうでしょうか。
ちょっと脳みそを使ってください。
これまで、障碍者のために作った施設が、障碍者固有のものにとどまったことがあったでしょうか。
足の不自由な障碍者の「支援と理解」は、誰もがいずれなる高齢者のためになっています。
妊婦や子供は、バリアフリーやシルバーシートを使わないんでしょうか。
そもそも、上の世間知らずのコメントに共通して言えることは、人間誰もが障碍者になり得る、ということすらわかっていないことです。
あなただっていつ障碍者になるかわからないんですよ
大腸がんになって、ストーマをつけると障害者手帳が発行されます。
脳卒中で、手足が不自由になっても障碍者になれます。
生涯、火災や水害、交通事故に絶対あわないと断言できますか。
まさか、コメントを書いている連中は、自分はいつまでも体力20代のまま、病気も怪我も絶対にしないで生涯を過ごせるとでも思っているのでしょうか。
笑わせないでください。
誰でもいつお世話になるかわからない、少なくとも高齢、妊婦、子といった手帳は出なくても身体に弱さのある人にとって、社会のバリアフリー化は決して無駄遣いではありません。
障碍者優遇という思い込みが根底にはないのか？
以前、長谷川豊という人が、透析患者を自業自得呼ばわりしたことで非難を受けましたが、障碍者の優遇についても述べたとされています。
長谷川豊氏は、しばしば「言葉の切り取り」という言い訳をしていたし、昔のことなので、ここで改めて長谷川豊氏がどうこうということは書きませんが、問題にしたいことは、障碍者優遇という意見については、ネットではさほど非難されていないということです。
まとめ記事から抜粋すると、
- 障害者は映画半額、公共交通機関利用料半額、タクシー初乗り無料、ディズニー横入りし放題（ガセ）
- １級障がい者は医療費をすべて無料で受けられる（ガセ）
と書かれています。
要するに、障碍者は優遇されている、と思い込んでいるんでしょうね。
しかし、カッコ書きで記載されているように、結論を書くとそれらはガセです。
「半額」のものもたしかにありますが、障碍者が「半額」なのは、手帳を持っている障碍者は同行する介護人が必要ですから、介護人と合わせて1人とみなすためです。
私の長男も、いったんは要介護5、一級身障者の診断が出ましたが、「タクシー初乗り無料」ではありませんでした。
当時、東京の南端から北端の病院まで、身障者タクシーを使っていましたが、首都高の高速料金を含めて往復で25000円かかり、多い時には週に4回通院したので、それだけで10万円かかっていました。
こういう問題になると、先にリンクした掲示板でも「障がい者ってケチなの？」と、まるで障がい者家庭が金にがめついように茶化す人がいます。
が、タクシー代だけで週10万円の負担に悲鳴を上げることが「ケチ」と評価されるほど、我が国は豊かでおおらかな大衆揃いなのだなと、無一文の私には実に羨ましく思いました。
事実とかけ離れたデマは、「切り取り」であろうが否定せねばなりません。
世間の偏見に同調する前に、本当のことや、その理由もきちんと把握してから意見を述べていただきたいものです。
以上、「障碍者は社会の迷惑」呼ばわりが誤解であることにいつ気づくのか。合理的配慮のための法改正に「障碍者に金を使うな」の声、でした。
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