等々力渓谷公園(世田谷区等々力)に、東京のコンテンツ編集プロダクション・市井文化社の草野直樹(かやのなおき)が行ってきました。散歩番組でもうもうおなじみの場所ですが、やはり我がブログ地域散歩としても行っておきたい世田谷のスポットです。
等々力渓谷公園へのアクセス
溝の口まで延伸した東急大井町線・等々力駅を多摩川方面に下車。
駅前通りを歩くと、間もなく同渓谷の案内板に出会います。
階段で10メートルほどを下ると谷沢川が見えてきます。
川ぞいは急斜面とともに歩道が1キロ続く河岸段丘である。植生・地質・地形学上において貴重な特徴を残しているといわれます。
等々力渓谷公園について
等々力渓谷公園(世田谷区等々力)は、最近でこそ、散歩番組で有名なスポットとなりましたが、以前は23区に住んでいても知らない人も少なくありませんでした。
つい数年前まで、同地をご存じない方は、「東京23区で渓谷?」と思われていたわけです。
「なあに、もとは渓谷だったが、高度経済成長による宅地造成で、今は記念碑だけが残るただの公園なんだろう」と決めつけてしまう向きもありました。
しかし、東京都道311号(環状八号線=環八)の下に、渓谷は実在する、という話です。
多摩川に流れる河川はいくつもありますがが、その中の一つ、世田谷西北部の湧き水が合流したのは谷沢川。
それが環八の下を流れています。
目黒通り近くの環状八号線の下を横切る形で通っている、谷沢川に沿って700メートルほど続く遊歩道です。
東京23区内で唯一の渓谷といわれていますが、道路の下にあるというのが興味深いですよね。
しかも、たんなる川と遊歩道ではありません。
等々力渓谷公園は、区間全域が豊かな樹林に覆われており、季節によってシジュウカラやキセキレイといったさまざまな野鳥が飛び交う、まごうことなき渓谷公園になっているのです。
入り口からやや急な階段をひたすら降りると、ゴルフ橋という赤い鉄橋が上を走り、その下を川と遊歩道と豊かな樹林。
東京・世田谷区の東京都道311号(環状八号線)を横切るあたりは、宅地開発も公害も逃れ、自然の生態系を残した森林が残り、ひたすら川のせせらぎと野鳥のさえずりだけが聞こえてきます。
等々力渓谷公園はおよそ1km。
台地との標高差は10mほど。つまり、環八の10メートル下ということです。
世田谷区内の湧水に端を発し多摩川へと注ぐ谷沢川が、国分寺崖線を浸食して出来たのです。
至る所から湧き水が流れ、セキショウなどの湿生植物が多く見られます。
そこは東京指定名勝(すぐれた景観)の散策コースになっています。
東京都指定名勝
等々力渓谷は、平成11年3月3日に東京都指定名勝となりました。
名勝というのは文化財の一つです。
風致景観の優秀なもので、古くから名所として知られているもの、または芸術的若しくは学術的価値が高いものをいいます。
東京都指定名勝平成18年10月現在、国指定の名勝が7件指定され、東京都では、清澄庭園〔江東区〕、等々力渓谷〔世田谷区〕、薬師池公園〔町田市〕などがあります。
等々力渓谷所在地 世田谷区等々力一丁目外
指定 平成十一年三月三日等々力渓谷は、国分寺崖線(ハケ)の最南端に位置する開折谷で、都区内唯一の渓谷である。台地と谷との標高差は約10メートルあって、騒音も渓谷の中までは届かず、都区内とは思えないほどの鬱蒼とした樹林と渓谷美は、幽邃な景観を呈し、武蔵野の面影をよくしている。玉川全円耕地整理組合が、昭和五年から十三年にかけて谷沢川の流路を整備し、小径を設けるまでは、不動の滝からゴルフ橋にいたる渓谷内は殆ど人の立ち入ることもなく、雉などの鳥類や、イタチ、キツネなどの小獣類、各種昆虫類の宝庫であった。
等々力不動尊左手の石段下には、国分寺崖線の湧水である不動の滝があり、かつてはこの滝に打たれて行をする修行僧が各地から訪れたと言われており、役の行者ゆかりの霊場と伝えられている。等々力渓谷保存会によって行われている蛍祭りは、清掃活動とともに地域に根ざした保存活動として成果を上げており、清流復活運動の先駆けとなった地域である。
等々力渓谷は、東京都指定名勝「真姿の池湧水群」(国分寺市西元町)とともに国分寺崖線名勝群を形成する一つであり、東京を代表する自然地理的名勝として、植生学、地質学及び地形学上重要である。平成十一年九月
東京都教育委員会
世田谷区教育委員会の説明
説明版は、世田谷区教育委員会もたてています。
等々力渓谷が、多くの動植物がみられ、地層の移り変わりを確認することができ、四季折々を彩る桜、常緑の木立、秋の紅葉など、見所の多いところであることを解説しています。
等々力渓谷等々力渓谷公園の全長1キロは、もう一方の入口を不動堂としています。等々力渓谷は谷沢川によってできた谷で、今でも多くの動植物がみられ、四季折々には咲き乱れる桜、常緑の木立、秋の紅葉も不動滝(竜頭滝)に映え、深山の趣きがある。谷間は粘土、砂礫、赤土(関東ローム層)の層が重なって地層の移りかわりをものがたっている。
不動滝は古くより知られ、清浄な渓谷にしぶきをたてて、とどろいていたことから、等々力の地名が起こったともいわれている。不動堂本尊は、新義真言宗の宗祖興教大使が山城国(京都府)よりこの地に移したとつたえられる。昭和五十四年三月
世田谷教育委員会
不動堂には駐車場があり、車で来た人はそこを借りて渓谷散策をするようです。
東京の名湧水57選
谷沢川の至るところから湧水が見られますが、それは東京都環境局というサイトによると、「等々力渓谷・等々力不動尊」という名義で東京の名湧水57選に選ばれています。
等々力渓谷の湧水「東京の名湧水57選は、飲用に適することを保証するものではありません。」と環境局の公式サイトではことわっていますが、別の表現をすれば、湧水が自然のものであることを証明するものです。
等々力渓谷は、武蔵野の台地を谷沢川が侵食してできた全長約1kmの渓谷です。
渓谷沿いの崖では、地層の断面が観察できます。渓谷の上流で降った雨は、地面にしみこみ、立川ローム層から武蔵野階層までの地層をゆっくりと濾過されながら浸透します。そして渋谷粘土層まで到達しますが、この層は水を通さないため、粘土層と礫層の間を地下水となって下流へ流れていきます。この地下水が、地層の切れ目などから地表に出てきたものが、湧水となります。
等々力渓谷には、数多くの湧水が見られ、不動の滝のように特に湧水の多い場所もあります。
不動の滝は、修験者・役の行者(役の小角)が不動尊を彫ったとされる伝承から、役の行者の霊場として、各地からの修験者も多く訪れました。
また等々力渓谷では、湧水が流れる緩やかな斜面には、セキショウが生え、湧水が溜まった湿地にはシャガやキチジョウソウをはじめとする湿性植物群落など、特有の植生が見られます。ハンノキやシダ植物のアスカイノデなど「東京都の保護上重要な野生生物種」に指定されている植物や、ハナイカダやハリギリなど東京23区内では珍しい山地性の植物も見られ、水や周辺環境の保全は、これら植物の保護のためにも重要です。東京の湧水57選
等々力渓谷および等々力不動尊の湧水は、東京23区内唯一の自然のままの渓谷であり、数多くの湧水が存在すること、また修行に用いられている滝があることなどから、平成15年1月東京の名湧水57選に選ばれています。
川の下流には、コイやアユやドジョウなどもいる。同公園が鳥獣保護区に指定されていることを改めて実感します。
古墳もあります
等々力渓谷公園は、古墳もあります。
散策路は川の両脇だけでなく、途中、古墳時代後期から奈良時代のものと推定される横穴式古墳、800年前に興教大師が満願寺別院を開創した時に湧出したとされる不動の滝や等々力不動尊、日本庭園なども立ち寄れます。
そして、谷沢川は丸子川と交差して多摩川に合流します。
下流に来ると民家も並び、等々力不動尊の横から等々力児童遊園にも行けます。
コースにメリハリがきいているので、小さい子どもでも一緒に散策を楽しめます。
いずれにしても、この自然と歴史の探訪地は、一度は訪れることをお勧めしたい都内随一の渓谷です。
◆等々力渓谷公園
東京都世田谷区等々力1-22、2-37?38
交通;大井町線等々力駅徒歩3分/バス等々力(成城学園前駅・渋谷駅・東京駅南口?等々力)
問い合わせ先
玉川公園管理事務所
公園緑地課03-5432-2295
以上、等々力渓谷公園(世田谷区等々力)は閑静な住宅街台地の下に川・遊歩道・樹林・鳥のさえずり・古墳等自然が溢れる渓谷、でした。