嶺白山神社(大田区東嶺町)は、環状8号線沿いにある山岳信仰、白山比咩大神(菊理媛神)・伊弉那岐命・伊弉那美命が主宰神の神社です。御神木は樹齢600年のタブノキ、交通安全を願うかえるの石像、子守神の扁額、力石なども特徴です。
嶺白山神社(大田区東嶺町)は、創建が寛文年間とされ、女体権現社として祀られていましたが、明治期に白山神社に改称されたそうです。
白山神社は、文字通り白山信仰として、現在の石川県・福井県・岐阜県にあたる、加賀国・越前国・美濃国にまたがる白山を御神体として崇敬する山岳信仰です。
白山は、富士山・立山と並び『日本三霊山』『日本三名山』のひとつであり、日本には「白山神社」が数多く存在しています。
主祭神は、記紀の神社もあれば、合祀神もあります。
その中で嶺白山神社は、白山比咩大神(菊理媛神)・伊弉那岐命・伊弉那美命を主宰神としています。
明治以前は女体権現社と称し、現在も幼子を抱いた母の姿を思わせる岩が、子守神として祀られています。
樹齢600年の御神木や、交通安全を願うかえるの石像なども特徴です。
アクセス
嶺白山神社(大田区東嶺町)は、東急池上線久が原駅から徒歩10分。
東急多摩川線鵜の木駅からも同じぐらいでしょうか。
環状八号線沿いですが、内回り側にあるので、最寄り駅は東急池上線久が原駅の方で良いでしょう。
駅を出て、ライラック通りではない方の商店街を南下すると右側にあります。
幅広の入り口、車が入れます。
本務社は御嶽神社
嶺白山神社と御嶽神社(嶺御嶽神社)は兼務社になっていて、御朱印は御嶽神社でいただくそうです。
御嶽神社(大田区北嶺町)は、標高3067mの霊峰“木曽のおんたけ山”関東第一分霊社として江戸時代から鎮座していた神社てす。
東急池上線御嶽山駅のすぐ近くにあります。
こんな住宅街にあるのか、とびっくりするほどです。
やはり山岳信仰です。
主祭神は「白山比咩大神」
峰白山神社の主祭神は、白山比咩大神(菊理媛神)・伊弉那岐命・伊弉那美命です。
菊理媛神(くくりひめのみこと)は、『日本書紀』に登場する女神のひとりです。
ですから、信仰の種類でいうと、「記紀の神様を祀る神社」になります。
菊理媛神、又は菊理媛命(ククリヒメのカミ、ククリヒメのミコト、キクリヒメのミコト)は、加賀国の白山や全国の白山神社に祀られる、白山比咩神(しらやまひめのかみ)と同一神とされています。
『日本書紀』に登場する、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の男女神は、国土を誕生させる「国生み」と、地上の営みを司る神々を誕生させる「神生み」が命じられました。
ところが、伊弉冉尊が火の神を出産した時のやけどで亡くなり、悲しんだ伊弉諾尊が死の国である「黄泉の国」へ妻を迎えにいくものの、醜く変わった妻の姿を見て伊弉諾尊は逃げ出してしまいます。
そこで、黄泉の国との境界で、伊弉諾尊・伊弉冉尊二神の仲裁をするのが菊理媛尊です。
「くくりひめ」は「括る」につながり、現在は「和合の神」「縁結びの神」としても崇敬を受けているそうです。
神と神社の種類は、大きく5種類に分類できます。
以下に枚挙すると、
- 記紀の神々
- 土着の神々
- 習合神
- 人格神
- 七福神
『古事記』や『日本書紀』に記載されている、神話の登場人物。
その土地で独自に信仰されてきた神。
インドや中国からやってきた、神や仏などが日本の神と同一視されたもの。
歴史的な偉業、戦争や治世などに功績があったり、優れた文化的業績を残した「英雄・功労者」。
民衆から神として祀られるようになった大黒天、毘沙門天、恵比寿天、寿老人、福禄寿、弁財天、布袋尊。
です。
ちなみに、御祭神は御神体に宿るとされています。
石で造られた明神鳥居
環状八号線に面した鳥居は、古さと威厳を感じる灰色のセメントづくり。
いわゆる明神鳥居ですね。
神社の鳥居は、大きく分けると明神鳥居と神明鳥居があるのです。
神明鳥居は、2本の柱を渡している横柱がまっすぐです。
一方、明神鳥居は、2本の柱の上に乗った「笠木」といわれる横柱の両端が上に向かって反っているのです。
ただ、明神鳥居に見られる朱色ではないですね。
交通安全無事かえる
鳥居の横には、「交通安全無事かえる」という題がついた、かえるの石像があります。
どうして「かえる」なのか。
環八に向けられたものなんでしょう。
事故のないようにと。
でも、道路の横にあって、逆に運転手がかえるに気を取られる、なんてことはないでしょうね。
力石
かえるの石像の隣には、「男石」「女石」の札をぶら下げた石が2つ並んでいます。
地域の人々が、力比べをした石らしいのですが、石を持ち上げて力比べをしたのでしょうか。
今はさわれないようですね。
子守神と庚申塔
前方には、庚申塔が一基祀られています。
庚申塔というのは、中国道教の説く『三尸説』をもとに、多数の信仰が複雑に結びついた複合信仰と言われています。
60日に1度庚申の日が巡ってくると、その日に眠ったら体内にいるとされる三尸(さんし)と云う虫が、宿主の寿命を縮めるから庚申の夜は眠らずに過ごすという風習です。
その庚申信仰に基づいて建てられた石塔です。
庚申塔の由来そして、庚申塔とその由来が記された石碑に挟まれて、幼子を抱いた母の姿を思わせる岩が子守神として祀られています。
庚申信仰は、江戸時代に民間信仰として栄え、庚供養塔は、その象徴としての厄災を防ぐため建てられたという。
当地(旧嶺村 末廣 相生)の住民が庚申塔を建立した。地域の人々の暮らしの無事を祈る風習が現在も続いている。
嶺白山神社の歴史をたどると、明治以前はは女体権現社と称したそうなので、その根拠となるものかもしれません。
日清、日露戦没者の彰忠碑
庚申塔の隣にたつ、ひときわ高く大きな彰忠碑とは、日清、日露戦没者の招魂碑だそうです。
招魂碑は、他の神社でも見ることがありますが、同じ形の石碑のようです。
樹齢600年のタブノキが御神木
日本古来から伝承される、自然に神が宿るという信仰のひとつとして祀られているのが御神木。
嶺白山神社は樹齢600年のタブノキがそれにあたります。
説明書きから引用します。
御神木「平成二十五年」というと、比較的新しいですが、もちろんもっと前から木はあったはずで、説明板が「平成二十五年」に建てられたんでしょうね。
『腑』
この樹齢六百年と謂われるタブの木は、 鎮守の杜にふさわしい常緑広葉樹で、大田区の保存樹に指定されています。
過去の落雷や火災にも負けず、毎年 新緑の季節に青々とした葉を茂らせる神々しい御姿に、多くの参拝者が手を合わせています。
しらやまひめのおおかみ くくりひめのかみ 白山神社の主祭神「白山比咩大神」(菊理媛神)は、家内安全・夫婦円満・ 縁結び・心願成就等の神様として崇敬されています。
皆様に神様のご加護がありますように、 どうぞご参拝の後、御神木の霊氣をお受け取りください。
平成二十五年三月吉日
宗教法人白山神社 白山神社奉賛会
拝殿ではお賽銭を差し上げます
嶺白山神社の拝殿は、狼顔の狛犬が両脇を護っています。
礼拝の際の鈴は、コロナで鳴らせません。
ちなみに手水舎の方も、まだ使えませんでした。
静かにお賽銭をさしあげて、二礼二拍一礼します。
よく、お賽銭は願い事がかなったときに差し上げるものといわれますが、私は参詣させていただいた証として、初めての神社でもお賽銭は差し上げることにしています。
金額も議論になりますが、金額の多寡が問題ではなく、神様はお金の流れを見たいとのことなので、財布にあるお金ならいくらでもいいのではないでしょうか。
地域のスポット
嶺白山神社の最寄り駅は、冒頭に述べたように、東急池上線の久が原駅です。
久が原には、まりも(大田区久が原)という、昔懐かしい昭和の佇まいと味で店名から“嬉しい町の天然記念物”ともいわれる町中華があります。
お店の向かいには、かつてのトーヨーボールの跡地にできたパチスロ&パチンコのアロー池上店があります。
昔の銭湯のような、履物入れと座敷席でおなじみの藍屋久が原店(大田区久が原)は、国道1号線沿いの上り車線側、呑川近くにあります。
海鮮丼や刺身などの海鮮料理を中心に豊富なメニューです。
ゆで太郎久が原店(大田区久が原)は、東久が原商栄会という、東急池上線の久が原駅、千鳥町駅、池上駅の中間ぐらいのところから始まる商店街にあります。
値段が安いため、Wikiはゆで太郎を「立ち食いそば」と紹介していますが、創業会社の信越食品は自主公式サイトで、「『立ち食いそば屋』ではない」と述べ、そば粉比率を55%まで上げています。
嶺白山神社に参詣がてら、こうしたお店に寄られてはいかがでしょうか。
以上、嶺白山神社(大田区東嶺町)は、環状8号線沿いにある山岳信仰、白山比咩大神(菊理媛神)・伊弉那岐命・伊弉那美命が主宰神の神社、でした。
大田区の文化財〈第7集〉大田区の神社 (1971年) – 東京都大田区教育委員会
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