『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(大嶋信頼、すばる舎)は、他人に振り回されていると感じる人への解決指南です。現代社会は「孤独」という見方もありますが、周囲との関係に悩む人は少なくありません。本書は「暗示」による解決を標榜します。
相手のささいな表情や言葉尻で考え込んでしまう人
『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(大嶋信頼、すばる舎)は、職場、恋愛、夫婦、家族、友人など対人関係で、自分以外の誰かに「振り回されてる」と感じる人に対して、どうすれば脱却できるか、「脳の仕組み」の観点から説明し、「暗示」によって解決すると標榜する書籍です。
もう「あの人」に振り回されない! 『無意識さんの力で無敵に生きる』著者・大人気カウンセラーのベストセラーです。
たとえば、Facebookやツイッターなど、SNS自分の投稿に対して「いいね!」が少ないと、気になりますか。
気にならなければ良いのですが、気になる人は「振り回される」人だそうです。
「私のことどう思ってるんだろう」
「あのひと言で不快な思いをさせたかも?」
と、相手のささいな表情や言葉尻から、相手の気持ちを予測して不安になる一方、
「なんであの人は私にひどいの! 」
「いつも私ばっかり……」
と、一人になってからも「言われたこと」「されたこと」を怒って引きずってしまう。
相手の自分に対するふるまいから、その理由や意味付けをあれこれ気を回しすぎて考えてしまうことを「振り回されている」人としています。
つまり、相手に一方的にされるだけでなく、自分の想像によって「振り回されてしまう」人も含まれるということです。
というより、後者のほうが本書のターゲットかもしれません。
本書では、そんなふうに他人のことを気にして「振り回されている」状態がなぜ起こるのか、「脳の仕組み」の観点から説明し、「暗示」によって解決する書籍です。
出版不況が言われて久しいですが、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』は、10万部を突破したそうです。
業界的にはベストセラーですが、いかに「振り回されてる」ことを悩んでいる人が多いか、ということなんでしょう。
他者に対する考え方を根本的に変えること
結論を書くと、「暗示」ですから、観念論的な話です。
ありていに述べれば、承認欲求から開放されろとか、等身大の自分であれとか、大した話は書かれていないように読めました。
「脳の仕組み」といっても、学術的にどこかの雑誌に投稿して評価された学説ではなく、カウンセリングを生業とする、著者の仮説や経験則が綴られているに過ぎません。
つまり、学術的にお墨付きが与えられているものではありません。
でも、レビューを読むと、「振り回される」人たちは、本書に対して懐疑的精神も持たず大絶賛しています。
ま、その程度の浅い了見だから「振り回される」のになあと、私は見てますけどね(笑)
疑わないで丸呑みするから、自分の価値観との違いを知った時、その反動で失望感も、より大きくなってしまうのではないでしょうか。
まず、他者に対する考え方を根本的に変えることですね。
他人は、他人でしかないということ。
つまり、わかりあえなくて当然である、という見定めをもつことです。
相手がそれで気分を害したとしても、自分が間違っていなければ仕方ない、と腹をくくることです。
もうひとつは、自分自身のあり方。
私も実はそうなのですが、自己肯定感の低い人は、相手がどうという以前に、自分自身に対して自信を持てないのです。
これは、自分の努力や心がけの問題ではなく、たとえば毒親の間違った子育ての犠牲になったとか、本人の責任でない場合が多いのですが、こちらの方が厄介かもしれませんね。
この点については、申し訳ありませんが、今の時点で「こうすればよい」という回答は私には書けません。
ただ、自己肯定感の克服が必要だ、ということは示しておきたいと思います。
人は人、自分は自分
私が思うこととして現時点でかけることは、他者に振り回されないように、シンプルですが、いちいち他者に自分の願望を求めないことだと思います。
それには、たとえ肉親でも適度な距離を取ること。
たとえ両親でも、です。
期待するからこそ失望もするのです。
誰にだって、自分だけの欲得も立場もあるのです。
親子だって兄妹だって、夢も理想も違います。
他者の自分に対する態度やふるまいが、満足いくものでないことはあるでしょう。
でもまあ、それはお互い様ですから。
10年前に私が火災を経験した時、友人どころか兄妹や親類の一部でさえ、残念ながら失望せざるを得ない態度をとりました。
たとえば、私に金でもムシんされたらかなわないと、距離をとった親類もいました。
しかし、その一方で、私自身も忘れかけていたような方々の支援を受けました。
具体的には、私の長男の幼稚園の年少で、たった1年間同じクラスだったお母さん方です。
遠くの親類よりも近くの他人といいますが、その方々は“遠くの他人”でしたね。
何を言いたいかと言うと、人間関係というのは、自分の価値観やそれまでの関係が絶対ではない、ということであり、私は経験を通してそれを知りました。
他者の振る舞いが気になるのは、もしそれで嫌われたらどうしよう、今後の付き合いにマイナスになるのではないか、という不安だと思うのです。
私の経験にあるように、そういうものは、あまり考えなくていいよ、という話です。
目先の打算や処世術を否定はしないけれど、それはささやかなものだと思っておいたほうが良いでしょう。
以上、『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(大嶋信頼、すばる舎)は、他人に振り回されていると感じる人への解決指南、でした。
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