『お稲荷さんに守られて幸せになる!』という特集が『ゆほびかGOLD』に掲載。“お狐様は怖い”“祟りがある”等の真相を解説しています。稲荷神社は全国におよそ3万2000社。金運上昇、商売繁盛、五穀豊穣などのご利益があるといわれています。
『お稲荷さんに守られて幸せになる!』は、『ゆほびかGOLD』(2020年6月号)の特集記事です。
全国でおよそ32000社あると言われる、稲荷神社についてまとめています。
稲荷神社に造詣の深い桜井識子さん、流光七奈さん、いろはママさん、富士川碧砂さん、咲良さん、宮本高行さんらの寄稿も加わった大型特集です。
本書は2022年7月19日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
稲荷神は「記紀の神々」と「習合神」
本記事『お稲荷さんに守られて幸せになる!』は、稲荷神社についての紹介/解説記事です。
神社については、祀る神様によって大きく4種類あることは、先日『カラー図解イチから知りたい!日本の神々と神社』(三橋健著、西東社)のご紹介記事で触れました。
具体的には、
- 記紀の神々
- 土着の神々
- 習合神
- 人格神
『古事記』や『日本書紀』に記載されている、神話の登場人物です。
天之常立神(アメノトコタチノカミ)や、天照大神(アマテラスオオミカミ)、須佐之男命(スサノオノミコト)、大国主神(オオクニヌシノカミ)などがそうです。
その土地で、独自に信仰されてきた神を祀っているところです。
天地降臨の際、道案内をした猿田毘古神(サルタヒコノカミ)は、伊勢地方の土着の神、すなわち地主神とされています。
インドや中国からやってきた、神や仏などが日本の神と同一視されたのが習合神。神仏混淆(しんぶつこんこう)ともいいます。
歴史的な偉業、戦争や治世などに功績があったり、優れた文化的業績を残した「英雄・功労者」。非業の死を遂げて、死後に祟りを及ぼした御霊神(ごりょうしん)を祀ります。
豊臣秀吉の豊国神社、徳川家康の日光東照宮、菅原道真公の天満宮などです。
といった分類ができます。
稲荷神というのは、そのうちの記紀の神々と習合神に入ると思われます。
なぜ1つにおさまらず2つに属すのか。
それは、2通りの神様が存在するからです。
稲荷神は神道と仏教系とがある
稲荷神にあたる神様は、大きく2つに分けることができます。
宇迦之御魂神/倉稲魂命は五穀をつかさどる神様
ひとつは、『記紀の神々』である宇迦之御魂神(ウカノミタマ)をご祭神とする神道系の稲荷。
『古事記』では宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、『日本書紀』では倉稲魂命(うかのみたまのみこと)と表記します。
『古事記』も『日本書紀』も、古代の神話についての読み物である点は同じですが、前者は当て字、後者は意味のこもった表記がなされます。
ですから、『日本書紀』の字でわかりますが、稲荷神は五穀豊穣の神です。
稲荷という言葉は、稲生り(いねなり)から派生したものという考え方もあるそうです。
本書によると、稲荷神は奈良時代の和銅年間に、稲荷山三ヶ峰(現在の伏見稲荷大社)に鎮座したとされ、これが稲荷信仰の始まりと言われています。
狐は、稲荷神のお使い(眷属=けんぞく)になります。
稲荷神社というと、「お使い」の方が、象徴のようになってしまいましたね。
「昔の日本は、稲作をはじめとする農業が主産業であり、稲を食い荒らすネズミを駆逐してくれる狐は、農家にとってたいせつな存在」(流光七奈さん)だったので、「お使い」としての認知がなされていったのでしょう。
「お稲荷さん」の愛称で親しまれている赤い鳥居と狛狐が印象的な稲荷神社は、全国におよそ3万2000社あるとされ、企業や一般家庭に祀られているものまで含めると4万社に上るともいわれています。
代表的な神社は、京都の伏見稲荷大社です。
私はあいにく、まだ参詣したことはないのですが、地元の稲荷神社としてもっとも有名な、穴守稲荷神社にはよく参詣させていただいてます。
穴守稲荷神社のある羽田は、農業と漁業、さらに工業や商業などさまざまな産業が活発に行われてきたところなので、神社が数多くあります。
羽田七福めぐりといって、神社のご利益から各社を七福神に見立てて、羽田の主だった神社を回るコースもあります。
余談ですが、穴守稲荷神社は、かつての人気ドラマ『スチュワーデス物語』でも舞台となりました。
それだけ、地域内外の人々のポピュラリティも高い神社なのです。
荼枳尼天は福財をもたらす神様
もうひとつは、ヒンドゥー教の鬼神である荼枳尼天(だきにてん)。
古代インドでのダーキニーという、もとは神通力を持って人の死期を悟り心臓を食う夜叉だったといわれます。
人の魂を食う代わりに欲望を叶えるといわれ恐れられていましたが、大黒天様の教えで福の神に昇華し、今では人々に福を授ける神様になったそうです。
日本では、ダーキニーを狐と結びつけて稲荷神と同一視されるようになりました。
そのことから開運出世、商売繁盛、福財をもたらす神様として人気を集め信仰が広まっていったといいます。
ただ、「無理難題なお願いごとでも叶えてくださいますが、願いの規模が大きければ大きいほど見返りもそれなりのものを要求される」(流光七奈さん)説がある神だそうです。
織田信長や徳川家康は天下統一のために荼枳尼天を信仰したとされています。
代表的なお寺は、愛知県の豊川稲荷(曹洞宗)です。
お寺としての正式名称は、円福山豊川閣妙厳寺といい、豊川稲荷というのは「豊川枳尼真天」の通称です。
神様なので、お寺でありながら境内の参道には鳥居があります。
稲荷神社は「怖い」という風聞の真相
本書、流光七奈さんの寄稿には、「稲荷神社は怖い」「お狐様の祟りがある」などの噂について回答があります。
私も、これは聞いたことがあります。
その噂のため、ご紹介した、地元の稲荷神社である穴守稲荷神社には、なかなか参詣する勇気が持てず、実は50歳を過ぎてから初めて訪れました。
今は、もったいない時間の過ごし方をしたものだと思っています。
しかし、本来、神道にも仏教にも「祟り」という概念はありません。
では、真相はどういうことでしょうか。
流光七奈さんによると、それは宇迦之御魂神/倉稲魂命ではなく、荼枳尼天の方であろうといいます。
「願いと見返りの約束があれば、命をとることも辞さないほど、はっきりと目に見える結果をもたらしてくださることからそう思われるようになったと想像します」
願いごとをする際、お礼は願いの内容に見合うものを奉納し、それ以降も定期的に参拝すればご加護してもらえますが、お礼をしなかったり、不義理したりすれば、それなりの形で返ってくるといいます。
でもまあ、それは、むべなるかな、と思います。
一方的にお願いだけして、もし叶ってもそれっきりというのは自分勝手ですからね。
「とりわけ仏教系の神様に一度お願いごとをしたらずっとおつきあいをする覚悟が必要」だそうです。
と、書くと、すごく怖い話に聞こえますが、流光七奈さんによれば、「神様との約束を守りましょう」というだけのことだといいます。
約束を守れるかどうか。
願う人の人間性が試されているのかもしれませんね。
以上、『お稲荷さんに守られて幸せになる!』という特集が『ゆほびかGOLD』に掲載。“お狐様は怖い”“祟りがある”等の真相を解説、でした。
ゆほびかGOLD 2020年6月号 – 桜井 識子, 流光 七奈, いろはママ, 富士川 碧砂, 咲良, 宮本 高行, 亜凛。, 愛新覚羅ゆうはん, 今井 長秀, 大石 眞行, 大木 ゆきの
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