『健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!!』（伊藤要子、インプレス、Kindle版）は、ヒートショックプロテイン（HSP）を産生するマイルド加温健康法について、基本編、活用編と2冊に分けて解説されています。
ヒートショックプロテインとはなんだ
ヒートショックプロテイン（HSP）というのは、ストレス、外傷、病気などによって損傷を受けた細胞を、ストレスがかかる前の状態に修復、整備する働きを持っています。
傷んだ細胞を修復する働きを持つタンパク質のことです。
正確には、ヒートショック・プロテイン70（Heat Shock Protein 70: HSP70）といいます。
人間の体はすべて細胞でできており、その数約60兆。
それらを修復するためのたんぱく質です。
細胞の中には、免疫細胞もあります。
ヒートショックプロテイン（HSP）自体は免疫ではないのですが、結果的に免疫力を高めるわけです。
いずれにしても、ヒートショックプロテインが増えることは、「カラダを元気にする」ことにつながっています。
どんなときにヒートショック・プロテイン70（HSP70）が産生されるかというと、熱の刺激で誘導されることから、ヒートショックと呼ばれています。
では、熱の刺激とはいったいどうすればいいのでしょうか。
話題になっているのが、お風呂に入る方法です。
42度のお風呂に10分温まり、体温を38.5度にするだけです。
その体温が、もっともヒートショックプロテインが増える体温と言われています。
平熱がもっと低い人はもう少し低くても良いそうです。
42度が熱ければ40度でもいいそうです。
要は、お風呂で全身を温めて平熱よりも2度上げることです。
するとどうなるか。
ヒートショックプロテインというタンパク質が全身で産生され、それが、体内の傷ついた細胞を修復したり、酵素の働きや免疫力を促進させたり、逆に寿命が来た細胞を新陳代謝のじゃまにならないように自死させたりします。
お風呂に入るだけの健康法。
そんなかんたんなことでいいのか、と思われますか。
でも、本当なんです。
たとえば、肉・魚介・野菜などの食材を、50度のお湯に通したり洗ったりすると、菌が減少したり鮮度が蘇ったりすることが話題になったことがあります（低温スチーミング調理）。
要するに、人だけでなく、動物も植物も、生物はみなヒートショックプロテインによって生体防御を行っているということです。
その研究の第一人者が、伊藤要子博士（一般社団法人HSPプロジェクト研究所 所長）です。
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— 畠中由宇・相互フォロー100％ (@hata_follow) December 17, 2019
食べたり、薬を飲んだり、運動したりしないのに「健康法」というと、なにかいかがわしい民間療法と思われがちですが、伊藤要子博士は、抗がん健康食品会社顧問のようなナンチャッテ博士ではなく、ずっと研究一筋で学位をとられた研究者です。
ハイパーサーミアとマイルド加温療法
もともと伊藤要子博士は、がんの第四の治療法といわれているハイパーサーミア（局所温熱療法）の研究が専門でした。
ヒートショックプロテインを産生する42度入浴マイルド加温法と、ハイパーサーミア（局所温熱療法）の違いについて本書は説明しています。
ハイパーサーミア（局所温熱療法）は、がんの病変部を加温して43度にします。
43度は細胞が熱死する温度です。
つまり、がん細胞を加熱して死なせる治療法です。
周囲の正常細胞は、それだけの熱を加えても、血管を広げ、血液をいつもより多めに循環させて熱を運んでくれるので死にません。
しかし、がん細胞の血管は急ごしらえの弱いものなので、血管が広がらず、つまり熱を逃がすことが出来ずに細胞が死んでしまう、という仕組みです。
日本ハイパーサーミア学会より
ハイパーサーミア（局所温熱療法）は健康保険が効き、抗がん剤や放射線との併用がとくに効果的と言われています。
電極を利用しているので、別に熱湯に入るわけでも、焼き火箸を当てるわけでもありません。
大抵の場合、熱を加えることで体中の血流がよくなり、ポカポカして気持ちよくなる治療です。
ただ、ハイパーサーミアをご存じない方は、こう思われるでしょう。
「そんなにいいものだったら、三大療法（手術、抗がん剤、放射線）で苦しい思いをさせないで、ハイパーサーミア（局所温熱療法）を24時間連日続けて治療したら良いじゃないか」
残念ながら、そうはいかないのです。
細胞はがん細胞を含めて、熱を加えられるとやられっぱなしではなく、熱から体を守ろうとするはたらきが生じます。
それは耐性などと言われます。
いったん加温すると、耐性によって、72時間ぐらいはまた加温しても効き目がないのです。
つまり、ハイパーサーミアは、どんなに集中的に行うにしても、72時間ごとにしか治療ができないのです。
実はその耐性こそが、ヒートショックプロテインです。
そこで、逆にそれを利用することで、正常な細胞を元気にすることを伊藤要子博士は提唱されているわけです。
繰り返しますが、43度は細胞が死んでしまう温度なので、42度で体を温めます。
それによって、正常細胞の「耐性」を発生させるわけです。
お風呂で体を温めることで、正常細胞の耐性（ヒートショックプロテイン）を作らせ、生体防御反応を高めます。
これを、「マイルド加温療法」と呼んでいます。
がん細胞とマイルド加温療法
お風呂に入って体を温めることが、あらゆる細胞を修復する生体防御反応を高めることが、マイルド加温療法であると書きました。
そこで、こんな疑問が生じるかも知れません。
加温することで耐性（ヒートショックプロテイン）が産生されるのなら、お風呂に入るマイルド加温療法によって、がん細胞にも耐性ができてしまうことになるのではないか。
つまり、がん細胞の細胞を修復してしまうことになりはしないか。
さすれば、がん患者はマイルド加温療法はしないほうが良いのか、もっとはっきりいえば、がん患者は入浴しないほうがいいのか、という心配も生じてしまいますね。
もちろん、そうではないのです。
伊藤要子博士は、こう説明しています。
- ヒートショックプロテインは、あらゆる細胞を元気にするため、NK細胞、キラーT細胞といった、体内のがん細胞をやっつける免疫細胞も増加させ元気にします。
- ヒートショックプロテインは、がん細胞にも産生しますが、その際がん細胞膜にがん抗原の提示を強く行うので、免疫細胞ががん細胞を見つけやすくなります。
- ヒートショックプロテインは、三大療法やがん治療のストレスで疲弊した全身の細胞を修復してくれます。
とくに「2」が重要です。
がん細胞はもともと自分の細胞のため、体内の免疫細胞は「異物」として見つけにくく、見誤ったり攻撃し損なったりと歩留まりがあまりよくないのです。
しかし、ヒートショックプロテインが、「こいつががん細胞だよ」と教えてくれる目印をつけてくれることで、免疫細胞は効率的に攻撃できるというわけです。
ですから、がん患者もマイルド加温療法は積極的に行ったほうがいいのです。
もっとも、画像上に何センチという単位で確認できるぐらいのがんのサイズになると、いくら効率よく攻撃しても、最終的にはがん細胞のねずみ算的分裂増加には追いつかない、ということになるケースが多く、それが現在の伊藤要子博士にとっては悩ましいところだそうです。
ですから、入浴によるマイルド加温療法は、がん患者の治療というよりも、未病状態の健康維持のための生体防御反応を狙ったものと考えたほうがいいでしょう。
通常の三大療法をしっかり受け、それを本人に苦痛なくサポートするものとして、マイルド加温療法を可能なら併用するということです。
医学の粋と、人間本来の生体防御能力を組み合わせることで、重篤な病気に力強く対抗することが出来るということでしょう。
週2回のマイルド加温療法
伊藤要子博士は、マイルド加温療法を週2回行うことを推奨しています。
その方法も図解されています。
『からだを温めると増える HSPが病気を必ず治す』（ビジネス社）103ページより
ヒートショックプロテインは、どんな細胞にでも産生されますが、ただし、2日後がピークで、1週間もすると完全に消えてしまうそうです。
そのため、マイルド加温療法は週2回がいいのです。
医療機関ならハイパーサーミア、自分でできるのはマイルド加温療法。
この2つの「温熱療法」を、治療のカヴァーとQOL向上に役立てて健康に過ごしたいものです。
ということで、それらが『健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!!』（伊藤要子、インプレス、Kindle版）の基本編、活用編と2冊に分けて解説されています。
Amazon Kindle Unlimited ではどちらも無料で読めました。
以上、『健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!!』（伊藤要子、インプレス、Kindle版）でした。
健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!! 基本編 impress QuickBooks – 伊藤 要子
健康になりたい! きれいになりたい! 長生きしたい! それなら、お風呂で温めなさい!! 活用編 impress QuickBooks – 伊藤 要子
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