ざっくりWSL(橋本晋之介著)は、WindowsとLinuxを融合して快適開発環境を実現、というサブタイトルのざっくり解説シリーズです。Windows10/11は、Windows Subsystem for Linux(WSL)という互換レイヤーにより、アプリもシームレスに動くことができます。
『ざっくりWSL』は、テクニカルライターの橋本晋之介さんが上梓したKindle書籍です。
WindowsとLinuxを融合して快適開発環境を実現、というサブタイトルがついています。
ざっくり解説シリーズとは、著者がプログラミングの解説書籍を上梓している書籍群の名称で、本書もその中の一冊です。
融合ということは、両OSが並走する中で、それぞれの対応アプリがシームレスに利用できる、ということです。
本書は2022年8月13日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
WindowsユーザーでLinuxが気になる方
この記事をご覧の方は、もし一般的なシェアのとおりなら、多くがWindowsユーザーということになります。
その方々は、どうしてWindowsのパソコンを使っているのでしょうか。
絶対にWindowsがいい、という確信的なこだわりというより、パソコン初心者時代からそうだったから、という理由が大きいのではないでしょうか。
その中で、もう少しだけ踏み込んでパソコンを使ってみたい、という好奇心のある人が、なんとなく気になっていると思われるのが、パソコン雑誌や関連サイトで目にする「Linux」という文字。
面白そうだけど、使ってみたいけれど、自分に使えるかどうかわからない。
試したいけど、そのために使えるマシンはない。
そんな方に、ピッタリの解説書が、本書『ざっくりWSL』です。
上級者にも初心者にも有用なLinuxの構築と利用
本書はまず、昨今のOS事情について俯瞰しています。
いうまでもありませんが、OSというのは、パソコンやスマホ/タブレットを動かすために必要な基本ソフトのことです。
Apple社のMacintoshは、かつての独自OSからUNIX系のMacOS Xに移行しました。
スマホに使われているOSのAndroidも、Linux系のOSです。
このブログでもご紹介したことがある、やはりGoogleがリリースしたChromebook搭載のChromeOS、無料OSであるChromeOS FlexのもとになっているChromium OSも、実はLinux系です。
要するに、昨今は「多くのOSがUNIX/Linuxに集約されているように感じ」ると本書はいいます。
では、もっともシェアが多いWindowsはどうか。
いくらシェアが多いと言っても、やはりその傾向は無視できないようです。
昨今のMicrosoft社も、本書が言うところの「WindowsとLinuxの融合」を進めているようです。
その象徴とも言えるものが、WSL(Windows Subsystem for Linux)という互換レイヤーです。
WSLを一口に述べるなら、Windows10以降でLinuxを動作させる環境のことです。
もう少し具体的に述べると、Windows上のサブシステムとして、Linuxモジュールを動作させる機能です。
Windows11になり、WSL2というさらに発展した機能を利用し、Windows上で完全なLinux環境が実現できるようになっています。
ディストリビューションでいえば、Ubuntuを始め、Debian、SUSEなどを、Microsoft Storeからインストールすることができます。
本書は、WSLとWSL2は異なるものであるものの、「WindowsとLinuxの融合」という点では発展形であり、そしてまださらに張って名の余地があることから、WSL2を、WSLと表記して説明しています。、
本書では、2層のユーザーにそのメリットをまとめています。
一方、初心者の皆さんはLinuxを使ってみたくても敷居が高くて踏み出せないという方もいらっしゃるでしょう。PCを2台も用意できないという方にはWSLを使うことでLinuxに関する技術を習得することができます。ぜひ挑戦してください。
ということで、本書の眼目はこれに尽きます。
本書の各章では、具体的な手順や使い方を解説しています。
第1章ではWSLのインストール、第2章では操作の基本、第3章はWSLで(ソフトウェアの)開発、第4章ではWSLをサーバーにする、などで構成されています。
まさに、「上級者の皆さん」にも「初心者の皆さん」にも必要十分な内容です。
Windows上でLinuxアプリがシームレスに利用できる
私も、WSLには興味があり、Windows11をインストールした時に、WSL2を使って、Linuxをインストールしたことがあります。
パソコンを使っていて思うのは、あるOSでマシンを動かしているときに、別のOSも立ち上げられること。
どのOSにも、いいところもあれば、「ここはこうだといいのになあ」と思えるところもあるからです。
しかし、本来OSというのは、人間で言えば世界観。
仏教とキリスト教の両方の信者になるのは理論的におかしいように、ひとつのマシンで複数のOSを立ち上げるというのは難しいと思われてきました。
一般的には、いったん再起動して別のディスクから別のOSをブートすることで、ひとつのマシンで複数のOSを立ち上げることはできます。
先日実践をご報告しましたが、Macで、普段はMacOSを立ち上げながら、Live USBでChrome OS Flexを立ち上げる使い分けは証明済みです。
これはこれで、10年前のMacBook Airで別のOSを使えるメリットはあります。
しかし、先程書いた「あるOSでマシンを動かしているときに、別のOSも立ち上げられること。」つまり「OSの融合」とは違います。
たとえば、Windows上でLinuxのアプリを走らせ、その作成データをWindowsのアプリで連携できるような、シームレスな使い方ができれば有用であると思います。
それが、現在のWindows11とWSL2によって、可能になったということです。
本書に書かれている通り、Microsoft Storeでダウンロードすることで、無料で環境を構築できます。
Windowsユーザーの皆さん、いかがですか。
以上、ざっくりWSL(橋本晋之介著)は、WindowsとLinuxを融合して快適開発環境を実現、というサブタイトルのざっくり解説シリーズ、でした。
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