でっちあげー福岡「殺人教師」事件の真相ー(福田ますみ著、新潮文庫)は、2003年に起こった福岡市教師冤罪事件をまとめました。週刊誌のセンセーショナリズム報道により、教師による児童イジメ発覚と思いきや、まさかの結末が話題になりました。
『でっちあげー福岡「殺人教師」事件の真相ー』(Kindle版)は、福田ますみさんが新潮文庫から上梓しました。
2003年に起こった、福岡市教師の冤罪事件をルポしています。
小4児童の両親は、担任が人種差別と体罰をはたらいたと狂奔して教師を民事訴訟に。
校長は、教師の弁明を無視して謝罪を強要。
教育委員会も懲戒処分。
マスコミは連日魔女狩り報道。
しかし、裁判の過程で真実が判明。
全てモンスターペアレンツによる作り話と児童の虚言でした。
週刊誌のセンセーショナリズム報道や、モンスターペアレンツなどが話題になりました。
先生がねえ、死ねって、ぼくに言いよった……
ある日突然「殺人教師」にされたーー恐怖の実話ドキュメント!
第六回新潮ドキュメント賞受賞。累計13万部突破、恐怖のロングセラー。
本書は2022年8月25日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
500人もの弁護団まで結成しても日ならずして収束
福田ますみ「でっちあげ 福岡『殺人教師』事件の真相」読了。2003年全国で初めて「教師によるいじめ」と認定された体罰事件で、史上最悪の殺人教師とされた教師。その後子どもの両親が訴えた裁判で両親の証言の嘘が次々と暴かれ文字通り「衝撃の結末」を迎える。冤罪を作ったメディアの責任も大きい。 pic.twitter.com/Z4DQr2I4oM
— はなまま (@hanamama58) July 5, 2019
2003年6月、朝日新聞(西部本社)などが、福岡県のとある小学校で、男性の担任が4年3組の男子児童に対して、「人種差別に基づく差別発言」や「暴力」を振るっていたと一斉に報じました。
母親の曽祖父がアメリカ人である児童に対して、担任の男性教諭が、「血が穢れている」など人種差別に基づくいじめを行っていると報じたのです。
同年8月に、福岡市教育委員会は教諭を停職6か月の懲戒処分にしました、
同年10月には、『週刊文春』が「『死に方教えたろうか』と教え子を恫喝した『殺人教師』」との見出しで本事件を報道。
教諭の実名を報じ、「いじめ」「体罰」などの内容を詳細に記事にしました。
「血が穢れている」は、家庭訪問の際に児童の曽祖父がアメリカ人であることを聞いたことによるもの。
体罰とは、児童に対して教諭が10数える間に帰りの準備をするように命令。
できないと「ミッキーマウス(両耳を掴んで持ち上げる)」「ピノキオ(鼻をつまんで振り回す)」などの「刑」の中から児童に選ばせ、実行するという体罰を行い、児童は耳を切るなどの怪我をしたとしました。
さらに、教諭は児童に対して「お前は生きとる価値がなかけん、死ね」などとも発言。
教諭によるこれらの虐待行為により、児童はPTSDと診断されたといいます。
例によって、ワイドショーもこの事件を取り扱う過熱報道が行われました。
しかし、教諭は当初「いじめ」の事実を認めていたものの、その後、報道されているような体罰やいじめは行っていないと反論。
マスコミの取材にも応じ、自身の身の潔白を訴えるようになりました。
児童とその両親は、500人を超える弁護団を結成して、福岡市と教諭個人を被告として民事訴訟を提起しましたが、暴力は認定されず、PTSDでもなかったことなどが明らかになっていきました。
今更ながら『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相』読んだ。心が凍る。「アンパンマン」「ミッキーマウス」「ピノキオ」などの名を付けた教師による凄惨ないじめや差別。女児生徒を膝に乗せて授業。マスコミが報じた鬼畜教師の全ては”生徒親子”が作った”嘘”だった。多くの人に読んでほしい。 pic.twitter.com/gyIWmKwcW6
— イシイジロウ (@jiro_ishii) October 25, 2018
本書によると、4年3組の保護者らに聞き込みを行っても、教諭の体罰を見たという児童が現れないことや、担当医が重篤なPTSDと診断し、体罰場面を思い出させる場所では強い回避の症状が見られると説明する児童が、体罰が行われていた学校で、土曜日・日曜日はほとんどかかさずサッカーをしていたことなどから、マスコミの中でも事件に関する疑惑が囁かれるようになっていたといいます。
2013年、福岡市人事委員会は「いじめ」の事実は認められないとして、教師の懲戒処分を取り消しています。
児童の両親側のモンスターペアレンツぶりはもとより、その主張のみを鵜のみにした、メディアのセンセーショナリズムも問われるべき事件でした。
何の根拠もない想像ですが、このモンスターペアレンツは、なんかハーフに幻想を抱いているんでしょうね。
自分は日本人ばなれした容姿で、それは先祖に外国人の血が流れていると。
メルティングポットの現代社会で、「だから何?」なんですけどね。
あなたは、報道や両親を批判できるのか
世の中にはどうしようもないクレーマーが存在するということ。
そして、嘘でもなんでも『言ったもん勝ち』の社会にしてはいけないということです。
マスコミがセンセーショナル報道をしたからといって、すぐさまいい気になってネットで登場人物たたきに勤しみ、風向きが変わると今度は「マスゴミ」よばわりして、自己批判を一切行わないネット民だって、結局このモンスターペアレンツと何らかわりありません。
考えさせられます。
以上、でっちあげー福岡「殺人教師」事件の真相ー(福田ますみ著、新潮文庫)は、2003年に起こった福岡市教師冤罪事件をまとめました、でした。
でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―(新潮文庫) – 福田 ますみ
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