『はじめてのChromebook』(一条真人著、インプレスR&D)は、ブラウザであるChromeをユーザーフェイスとするChromeOSマシンの解説です。WindowsやMacとどう違うのか。先日はChrome OS Flexが発表され、前世代のパソコンもChrome OSで蘇るのです。
ブラウザ上で完結するOSとはなんだ
みなさんのパソコンは、どのOSを搭載されていますか。
Chromebookというのは、Windowsでもなく、MacOSでもなく、Googleが2009年に発表した、Chrome OSを搭載したコンピュータのことです。
「Chromeって、インターネットのウェブサイトを閲覧するブラウザのこと?」
そうです。
そのChromeです。
WindowsやMacOSにおいては、“一介の”アプリであるChromeで、さまざま作業を行うOSです。
『はじめてのChromebook』(一条真人著、インプレスR&D)は、タイトル通り、ChromeOSを搭載したChromebookについて、全く知識のないユーザーが理解できる、ChromeOSについての解説書籍です。
ChromeOSのそもそも論、使い方、活用例などが説明されています。
ChromeOSの特徴
では、そもそもChrome OSとは、どんな特徴があるOSなのか。
箇条書きで枚挙しましょう。
- 起動が速い
- 障害発生時でも簡単に元の環境に戻せる
- セキュリティはつねにOS自動更新で最新状態
- ブラウザで完結するので操作がシンプル
- 少ないリソースでより多くのことを実行できる(必ずしも高いスペックは要らない)
- ネットにつながっていることが原則
- Androidアプリでスマホと連携できるようになった
- Linuxアプリも使えるようになった
といったところでしょうか。
うしろの2項目は付加的機能で、それ以外の特徴は、基本的にはChromeというブラウザをインターフェイスとしたOSであるがゆえのものばかりです。
ChromeOSというのは、極端に言えば、ブラウザ専用機だと思ってよいでしょう。
繰り返しますが、Andoroidアプリは付帯的な機能なのでひとまず措きます。
ブラウザ専用機とワープ専用機の違い
1980年代、パソコンが普及しはじめても、ワープロ専用機が市場には残っていました。
文字通り、ワープロソフトだけを動かせるマシンです。
書院とか、文豪とか。
マシンパワーも非力で、OSもWindowsがリリースされる前ですから、自由度の高さと引き換えに、設定の難しさもあり、パソコンでワープロソフトを使うよりも、ワープロ専用機のほうが使いやすかったわけです。
そこから30年経った現在。
OSも発展して、当時よりもできること、つまり自由度の高さはさらに量的にも質的にも格段に広がりました。
それゆえ、逆にもっとシンプルに使えないだろうか、というニーズもあるわけです。
しかし、シンプルということで、ワープロ専用機のように機能を限定してしまったら、他のアプリを使う「自由度」がなくなってしまう。
いえいえ、当時のワープロ専用機と、Chromebook(ブラウザ専用機)は、決定的に異なる点があります。
ワープロはワープロでしかありませんが、ブラウザは単なるサイト閲覧だけでなく、Webアプリを使うことが出来ることです。
OfficeやPhotoshopをインストールしなくても、ブラウザからオンラインでアプリを使うことができます。
これによって、ファイルのインストール作業で悩むことはなく、インストールしたファイルを間違って書き換えたり消したりするトラブルの心配もありません。
そして、インストールしなくてもいいのですから、ハードディスク、もしくはSSDといった記憶するデバイスがずっと少なくてすみます。つまりコストのメリットがあります。
ですから、学校教育の現場では、Chromebookが採用されているのです。
勝手にアプリをインストーしたり、無原則なネットサーフィンでウィルスやマルウェアの餌食になってしまったり、アプリごとのインターフェイスの違いで学校の限られた授業時間を消費しないようにしたり、そもそもWindowsにするかMacOSにするかの「対立」を避けたり……。
そして、ネットにデータを保存ということは、他者とのデータの共有が容易にできます。
教師と児童・生徒とが、双方向のやり取りを実現できます。
いいこと尽くめです。
たんなるOSの交代ではなくOSフリーになる
ところで、ChromeOSを、WindowsやMacOSなど、他のOSとの比較で書いていますが、ChromeOSのマシンを使うことは、たんにWindowsやMacをChromeOSに替えた、というOSの交替ではありません。
パソコンの使い方が根本的に変わってしまうことは、『アカウントを持って街へ出よう Chromebookとの365日』(鈴木章史著)をご紹介したときにもご説明しました。
Windows対応のアプリは、Windowsマシンでなければ使えません。
MacOS対応のアプリは、Macでなければ使えません。
つまり、従来のパソコンでは、OSにこだわらざるを得なかったのです。
ところが、ChromeOSは、Webアプリで完結し、作成データはクラウドで保存・管理するのですから、Chromebookユーザーの目指すものは従来のOSからの自由、ということです。
それは、Googleのアカウントさえあれば、いつ、どこで、どんなマシンでも使えて作業ができる、というパソコンライフを意味します。
つまり、作業するためにはOSありきだったのが、その縛りがなくなるわけです
Chrome OS FlexはCloudReadyの進化したもの
ChromeOSを搭載したマシンといえば、Chromebook。
それに加えて、Chrome OS Flexという、基本はChromeOSの機能を持ったOSが無料で公開され、話題になっています。
【今週の人気記事】Google、PC/Macに無料で導入できるOS「Chrome OS Flex」 https://t.co/vcAYPlwF4e pic.twitter.com/L7kZqx6XWx
— PC Watch (@pc_watch) February 20, 2022
「Chrome OS Flex」導入方法解説と使用感レビュー。導入簡単、動作もサクサク https://t.co/PQCns3ROqB @sm_hnより
試してみた。普通に使えるわこれ。 pic.twitter.com/cfXGCbCmXS— 丸和一太郎 (@maruwa_ichi) February 26, 2022
【OS】古くなったWindows/MacをChrome OS化で再生 ?「Chrome OS Flex」がプレビュー公開 [エリオット★]
https://t.co/b5NLgkcjvE— 石川良直 (@I_yoshinao) February 28, 2022
Chrome OS Flexを使えば、新しいOSに対応が困難なWindowsマシンやMacにもインストールできます。
つまり、引退やむなしのマシンを、ほぼChromebookとして、また一働きさせることが可能になったということです。
「ほぼ」と書きましたが、たとえばAndoroidアプリをインストールするためのサイト『Google Play』がないなど、完全にChromeOSと同じというわけではありません。
ただし、ブラウザのGoogleChromeをインターフェイスとするマシンであることは間違いありません。
Chrome OS Flexは、もともとChromeOSのオープンソース版であった、ChromiumOSをパッケージ化したNeverware社開発のCloudReadyについて、同社を買収したGoogleが、さらにChromeOSに近づけたバージョンアップを行ってリリースしたものです。
Chrome OS Flexのリリースで、改めてChrome OSに対する関心が高まっています。
論より証拠で、みなさんも、押し入れのオブジェになっているマシンに、Chrome OS Flexをインストールされてみてはいかがでしょうか。
Apple MacBook Air MD224J/Aでは動きました
かくいう私も、Chrome OS Flexを、Apple MacBook Air MD224J/Aという、2012年に発売されたMacで使ってみました。
Apple MacBook Air MD224J/Aは、macOS Catalina 10.15.7で動いています。
しかし、macOS Big Surという新しいOSがインストールできません。
当面は今のOSでもいいのですが、将来のことも考え、Chrome OS FlexをライブUSBによる立ち上げで使ってみました。
使えましたよ。
すばらしいですね。
ブラウザから使えるということは、Webアプリが使えますから、Evernoteでエディター&データベースとして使えば、私の場合はほぼ問題なしです。
みなさんも、いかがですか。
以上、『はじめてのChromebook』(一条真人著、インプレスR&D)は、ブラウザであるChromeをユーザーフェイスとするChromeOSマシンの解説、でした。
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