「もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本(根本裕幸著、学研プラス)は、執着を手放すカウンセリングの書籍です。あなたの悩みごとの本質にある、執着の正体を具体的なケースで紹介。それを手放す方法も網羅しています。
執着こそが、自分の心を頑なにして自身を傷つけ、周囲だけでなく自分も不幸にしていくと説いています。
あなたの悩みの正体である「執着」をはっきりさせたいと思いませんか。
「悩み」の本質は「執着」にあり
あなたに悩みはありますか。
と尋ねて、悩みはない、と言い切れる人はどれぐらいいるでしょう。
悩みということではなくても、腹が立っていること、心に引っかかって寝覚めが悪いことなど、人は生きている限り、心に何かを抱えているものです。
それは、生きていく上で前向きなテコになるならいいですが、たいていは自身を傷つけたり、新たな行動に踏み切れない足かせになったりするものです。
つまり、自分にとって決して好ましいことではありません。
それらは、実は「執着」する心が正体なのだ、と説いているのが本書、『「もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本』の根本裕幸さんです。
2000年にプロカウンセラーとしてデビューし、のべ15000本以上のカウンセリングをこなしているそうです。
タイトル通り、「執着」こそが悩みの根源にあるのだから、それを手放すことであなたは自由になる、という話です。
前半は、具体的な「悩み相談」を挙げ、どんな「執着」があるのかを紹介しています。
後半は、執着を手放すための訓練を開陳しています。
執着は意外なところにもある
では、執着とは、具体的にどんなものなのか。
誰が見ても、すぐにわかることならまだいいのですが、見かけと本質が異なる場合があります。
意外なところにある例を、本書からご紹介させていただきましょう。
不倫の「種着」は相手男生かつ思ったら……
私が面白いなと思ったのは、会社の上司と不倫をする女性の話です。
相手の男性は、女性との結婚もほのめかしたそうですが、関係が続くうち、相談者の女性には「どうせ別れないのだろう」という見定めもできてきました。
にもかかわらず、不倫を辞めることができない。
婚活で、それなりの数の男性とも会っているものの、なにか問題点が見つかり決心できないそうです。
この場合、相談者の女性の「執着」の対象は、不倫男性なんだろうと思いますね。
人間というのは不思議なもので、たとえ出口の見えない恋愛で、続けても不毛とわかっていてもやめられないのだろう、なんて思いますよね。
ところが、本書によると、「執着」の対象は母親だそうです。
相談者の母親は、体が弱いそうです。
そして、父親は趣味人で休日はでかけてばかり。
自分が嫁いだら、母はどうなるのだろう、と相談者は心配しています。
だから、相談者は結婚できないのです。
いくら婚活をしても、「この人と結婚したら、母親を置いていくことになるから、だめだわ」と結論が予め用意されているというのです。
しかも、母親も、婚活で知り合った男性のことを話すと寂しそうだといいます。
そして、相談者は、不倫していることを自分の母親にも打ち明けているとか。
要するに、母親も娘に結婚してほしくないのです。
双方が「執着」しているわけですが、本書ではそれを「癒着」と呼んでいます。
まあ、私から見れば、母子の立場は対等ではありませんから、「共依存」だの「癒着」だのといった状態は、もっぱら親の側に責任があると思いますけどね。
いずれにしても、これは不倫をしているか否かにかかわらず、ある程度の年令になっても結婚していない人には、大なり小なりありえる「執着」ではないのでしょうか。
この背景には、「親孝行」などという、インチキな道徳がでかいツラしてポピュラリティを得ていることもあると思いますが。
つまり、親のために子が犠牲になることが美談になってしまう文化ですね。
そんなものは、撲滅させなければなりません。
断捨離はモノだけでなく感情にも
本書では、物や人への「執着」は、それらを片付ければ済む話ではなく、執着する感情こそが本質だ、とも述べています。
たとえば、「汚部屋」の女性相談者は、自分の部屋がものでいっぱいになってしまったそうです。
相談者は買い物が好きで、気に入ったものはすぐに買ってしまうタイプ。
そんなとき、世の中は断捨離ブームに。
相談者も、思い切って断捨離を試みることにしました。
葛藤はあったものの、部屋は片付きました。
しかし、まもなくして、また部屋は「汚部屋」になっていきました。
相談者は、身の回りに物があふれていることで得られる「安心感」に執着していたというのです。
いくら断捨離をしても、感情がそのままでは本当の解決にならない、ということです。
これも、ありがちな話ですね。
手放すためのワーク
本書の後半は、そんな執着から自由になるための「手放しワーク」が紹介されています。
詳しくは本書をご覧いただくとして、いくつか抜粋しますと、『自分の感情を「優先する」小さなレッスン』では、
- 「私はこう思う」「私はこうしたい」と、自分を主語にして考え行動するパターンを身につける(自分軸を取り戻す)
- あなたの魅力を見出し、自分の短所を受け入れ、自らをほめる習慣を身につける(自己肯定感を上げる)
と言ったことが枚挙されています。
これはどういうことかというと、人は生まれて誰から何を学ぶか。
人間関係は、自分の親子関係がもとになっている、というのです。
本書にはそこまでしか書かれていませんが、私が常日頃から主張しているように、毒親の過干渉は子の自己肯定感を壊してしまい、「他人軸」で生きるようになる温床なのです。
いうなれば、毒親からの刷り込みを払拭する「ワーク」というわけです。
興味深いのは、『「御恨み帳」に感情を吐き出す』というのもあります。
手放すべき人(もの・こと)を思い浮かべて、感じる感情(恨み)をノートに手書きで思いつくまま書き出すというのです。
私の経験と言うか考えでは、ネガティブな感情を表現すると心が乱れて運気が落ちてしまうような気がするのですが、まあ、心に溜め込んでおくほうが、長期的に見ると精神衛生上よろしくないんでしょうね。
さて、「執着」について思い当たるフシの在るみなさん。
本書を手に取ってみませんか。
以上、「もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本(根本裕幸著、学研プラス)は執着を手放すカウンセリングの書籍、でした。
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