マネーの本質は政府の借用証書(清武司著、Kindle版)は、「モノ」として捉えがちなお金は「貸し借りの情報」に過ぎないと説く

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マネーの本質は政府の借用証書(清武司著、Kindle版)は、「モノ」として捉えがちなお金は「貸し借りの情報」に過ぎないと説く

マネーの本質は政府の借用証書(清武司著、Kindle版)は、「モノ」として捉えがちなお金は「貸し借りの情報」に過ぎないと説くKindle書籍です。日本は政府の借金が1200兆円あるから財政破綻するといわれますが、お金の貸し借りが1200兆円分あるということです。

『マネーの本質は政府の借用証書』は、清武司さんがKindleとして上梓しました。

マネーというのは、一般には貨幣のことです。

貨幣は、お札だったり硬貨だったりしますが、その限りではモノであり、モノである以上、数えられますから有限と思われがちです。

しかし、実際には日本中にある貨幣の約10倍のお金が、日本の経済では動いています。

それは、本ブログでも何度もご紹介した「信用創造」で生じたものです。

貨幣なしでも、銀行が数字を通帳に記載しただけで、お金としての価値を生ずることもあります。

つまり、貨幣というのは、実体経済で直接のやりとりをする時に使う便宜上の「貸し借りの情報」であり、「モノ」とは違います。

本書はその詳細な説明が書かれています。

本書は2022年8月18日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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貸方と借方は結局合計が同じ

お金は貸し借りの情報、と書きましたが、それだけではピンとこない、というより変だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

「働いてもらった給料なのに、なんで『貸し借り』なんだ」

「お年玉とか、お小遣いでお金をもらうこともあるのに、それでも『貸し借り』なのですか」と。

そうです。

お金は、いろいろな摘要で動きます。

しかし、どんなお金の流れだろうと、共通したポジションがあります。

複式簿記、ご存知ですか。

お小遣い帳や家計簿は、何にいくら使ったと記帳します。

まあ、お金の日記のようなものです。

しかし、複式簿記というのは仕訳といって、お金が動いたら、「貸方」「借方」と2通りの意味を書きます。

それによって、より合理的にお金の動きを把握できるのです。

お金が動く「取引」とは、「資産・負債・純資産(資本)・収益・費用」のいずれかの項目に分けることができます。

具体的には、「借方」は資産の増加および費用の発生を計上するものです。

「貸方」は、負債や純資産の増加および収益の発生を計上します。

もっとひらたく書きますと、資産の科目が減ったときは、必ず「貸方」に記載します。

現金が、経費の支払いや預金への預け入れなどで減ったときは貸方に記載します。

借方は現金が減った原因を記載します。

貸方 借方
資産 資産の増加 資産の減少
負債 負債の減少 負債の増加
純資産(資本) 純資産の減少 純資産の増加
費用 費用の増加 費用の減少
収益 収益の減少 収益の増加

なぜ2通りの意味を書くかというと、取引があったお金(金額)の原因と結果を表現しているのです。

借方 普通預金
200000円 売上げ 200000円

たとえば、20万円を銀行振込で売り上げたとすると、「売上」という理由で「普通預金」が20万円増えた、という「原因と結果」です。

借方 給料
200000円 普通預金 200000円

一方、こちらは「普通預金」が「借方」から「貸方」に動いていますが、これは事業者が使用人に対して20万円給料を支払ったという仕訳です。

簿記講座ではないのでこれぐらいにして、要するにお金というのは、

1,すべて意味(原因と結果)をもって動いている
2,人によっては「原因」と「結果」がひっくり返る場合がある

のです。

で、「2」はどういうことかというと、「給料」は払う人と貰う人がいる、「普通預金」も増える人と減る人がいる。

いずれも同額です。

ということは、日本の経済、大企業から中小企業、零細企業、個人事業、一般家庭の家計、個人の収支など、立場によって金額も用途も様々ですが、もしそれらの仕訳に出てきた金額を合計すると、「貸方」の合計金額と「借方」の合計金額は同額になります。

誰かが預金を増やせば、誰かの口座か財布から同じ金額が減るのですから、考えてみれば当たり前のことです。

金は天下の回りものというのはそういうことです。

貨幣というのは、そういった「お金の流れ」に使うツールであり、金額は「(貸方・借方に記入するための)情報」ということです。

お金を使いすぎれば、企業や個人なら破産ということはあります。

でも、そのお金は誰かに回っているので、社会全体を合計すればマイナスが多くなるわけではありません。

で、日本は政府が借金しているから財政破綻するという都市伝説ですが、政府が借金するということは、国民の誰かの資産になっているということです。

もし、その借金を減らしたら、国民の資産も減るということです。

政府の借金は、孫末代のツケどころか、国民の側にすれば子孫に残す資産なのです。

「国民一人あたりの借金」なるブラフに恐れているみなさん。

もういいかげん、ここは理解しましょうよ。

「財政破綻はしない」と財務省が明言している

タイトルの「お金は政府の借用証書」ですが、「国債は政府の負債である反面、国債保有者(国民や企業等)
の資産」という見出して著者はこう述べています。

円やドルなど先進国の中央政府(中央銀行)の発行する通貨は国債と引き替えに発行されるのものですから、その本質は「政府の借用証書」なのです。日本に暮らす我々は「日本国政府の借用証書」を代金支払いや受取、貯金、納税に使っているのです。個人や企業の借用証書では支払にも納税にも使えませんが、「日本国政府の借用証書」は使えるのです。
貴方の所得は誰かが使ったお金であり、貴方が使ったお金は誰かの所得になるのです。政府が使ったお金は国民の所得になり、国民の所得から徴税して政府がお金を使うのです。経済は循環しているのです。

先程私が書いたことですね。

著者は、

1.通貨発行権
2.国内で必要な物資をその国の通貨で調達できる国内生産力
3.一定程度の外貨準備

これらが揃えば、財政破綻とは無縁の経済大国になれるといいます。

日本は通貨発行権を日本銀行(日本国政府の子会社)が持っており、国内の需要を満たすだけの国内生産力はほぼ満たされ、財務省が認めているとおり「日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高」であるから破綻しないとし、実際に財務省も「破綻しない」と明言していることを示しています。

ですから、財務省は矛盾しているんですよ。

自分たちは「破綻しない」と主張しておきながら、国民には「一人あたりの借金」なるインチキな計算までして脅かしている。

私たちは、いい加減、そういうインチキの言いなりになることを辞めるべきです。

財政破綻しないことについては、先日このKindle書籍もご紹介しました。

図解30分でわかる日本が財政破綻しないたしかな理由(川村史朗著、文芸社)は、Modern Monetary Theory〈MMT〉の本当の説明
図解30分でわかる日本が財政破綻しないたしかな理由(川村史朗著、文芸社)は、Modern Monetary Theory〈MMT〉の本当の説明、というサブタイトルが付いているように、現代の通貨発行システムについて、誤解されている点を中心に解説されています。

というわけで、本日もまたMMT関連書籍のご紹介でした。

以上、マネーの本質は政府の借用証書(清武司著、Kindle版)は、「モノ」として捉えがちなお金は「貸し借りの情報」に過ぎないと説く、でした。

マネーの本質は政府の借用証書 - 清武 司
マネーの本質は政府の借用証書 – 清武 司

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