四百文字の偉人伝(秋田総一郎著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、タイトル通り1人400字で社会に爪痕を残した人物を紹介しています。古今東西、あらゆる偉人101人は、功罪様々な「社会に爪痕を残した」人々。今回は井深大をご紹介します。(文中敬称略)
本書『四百文字の偉人伝』(秋田総一郎著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、
1.「反面教師的に名を残した人」「功績も罪悪も大きい人」も含む!ことと、
2.400字で紹介!
というところが特徴です。
400字ですから、導入だけですが、その人の転機や生き様の特徴などをピンポイントで紹介しています。
先日は、建築家の安藤忠雄をご紹介しました。
今回は、井深大(いぶか まさる、1908年(明治41年)4月11日 – 1997年(平成9年)12月19日)をご紹介します。
弁理士、電子技術者、実業家、教育者。
「実業」はもちろん、ソニーの創業者です。
技術を大切にして障害者を積極的に雇用
盛田昭夫と井深大、ソニーの共同創業者は、日本の黄金時代におけるウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーのようなデュオでした 😢… pic.twitter.com/UGIfDBhpZ5
— ValueInvestJpn 🇯🇵📈💴 (@ValueInvestJpn) July 1, 2024
井深大は、神奈川県藤沢市出身。
親戚には、白虎隊の井深茂太郎、明治学院2代目総理の牧師・井深梶之助、ハンセン病に一生を捧げカトリック看護師協会の会長を歴任した井深八重などがいます。
クリスチャンの家系で、本人も早稲田大学時代に洗礼を受けているようです。
卒業後は、東芝の採用試験に落ち、写真化学研究所に入社。
学生時代に発明した「走るネオン」が、パリ万国博覧会で金賞を獲得。
日本光音工業に転職すると、同社の出資を受けて、日本測定器株式会社を立ち上げて、常務に就任しました。
日本測定器は軍需電子機器の開発を行っていた会社ですが、その縁で盛田昭夫と知り合います。
そこからまた独立して東京通信研究所を立ち上げ、盛田も合流して1946年、東京通信工業(後のソニー)を創業します。
ソニーは、日本の電子機器産業の一翼を担う企業として急成長しました。
Copilotに、井深大の功績をまとめてもらいました。
トランジスタラジオの開発: 1955年、ソニーは世界初のトランジスタラジオ「TR-55」を発売しました。この製品は、井深大のリーダーシップのもとで開発されました。
技術革新の推進: 井深大は、ソニーの技術革新を推進し、多くの革新的な製品を世に送り出しました。例えば、カセットテープ、ヘッドホン、ウォークマンなどが挙げられます。
教育への貢献: 井深大は、教育にも力を入れ、多くの若者に技術の大切さを伝えました。彼はソニーの技術研修所を設立し、多くの技術者を育成しました。
井深大の功績は、ソニーの成功とともに、日本の技術革新と経済発展に大きく寄与しました。彼のリーダーシップとビジョンは、今もなお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。
といったことです。
私の記憶では、就学したかしないかぐらいに、カセットのテープレコーダーを父親が買ってきたのが、ソニー製品との出会いです。
当時20000円ぐらいで、20代だった叔母の給料1ヶ月分相当。
どこにそんなお金があったんだか。裕福でもないのに新しもの好きで……
携帯できるサイズで、オープンリールではないこと、メーカーが日立でもナショナルでも東芝でもないことなど、すべてが新鮮でした。
また、井深大は障害者雇用にも非常に積極的で、技術革新だけでなく社会的責任も重要視していました。
ソニー・太陽は、従業員の過半数が障害者です。
ソニー希望・光は、知的障害・精神障害者の積極的な雇用を行っています。
井深大は、「障害者だからという特権なしの厳しさで、健丈者の仕事よりも優れたものを、という信念を持って」という方針を掲げました。
「特権なし」という文言については、賛否両論あります。
確かに、特権なしに厳しさを持つ方針は、非常に高い基準を求めるもので、厳しく感じることがあるかもしれません。
しかし、井深大の意図は、ハンディの保護を放棄したのではなく、障害の有無に関わらず全ての人が持っているポテンシャルを最大限に引き出すことにあったと思います。
大事なのは、適切なサポートや環境を整えて、障害のある労働者がそのポテンシャルを発揮できるようにすることです。
それによって、能力を正当に評価し、社会に貢献できる場を提供するという理念が生きてくるのでしょう。
いずれにしても、「生産性のない人はいらない」なんて言ってる連中とは、次元が違いますね。
let’s bigin(さあ、始めましょう)
ソニーのウォークマンって技術者がカセットテープの再生機だけをイヤホンにつないで
ハンドメイドで作ったものが原型。
それを自分で聞いてて、同僚が「面白いね」と製品化をしようとしたら
重役は盛田昭夫さんと井深大さんを除いて
「こんなもん、売れるわけない」と全員反対した。 pic.twitter.com/q2YrHmV3Rt
— とーちゃん(さん付け不要) (@knightma310) February 21, 2024
さて、本書が井深大の生き様をピンポイントでとらえたのは、創業にあたって、「ビジョンや計画が何もなかった」ということです。
井深たちには、ただ「何かを作りたい。技術で世の中に貢献したい」という漠然とした思いがあるだけでした。
でも、走り出してから考えた、数々のヒット商品を生み出しました。
本書はいいます。
「ふつうは、『すばらしいビジョンやアイデアがないと、会社をつくってはいけないのでは』と思いがちです。でも、そんなみのなくたって、会社を作っていいのです!」
もちろん、ビジョンがあれば、スタートしてすぐに動けます。
でも、気持ちがあっても、ビジョンがないからと言って、諦めてしまうのはもったいない、という話です。
考えて動けなくなるなら、まずは動け、ということです。
青春学園ドラマではありませんが、let’s bigin(さあ、始めましょう)です。
昭和レトロ
レッツ ビギン❗ pic.twitter.com/bTVarggcTY
— ともや@双極2型 (@tomoya001122) August 11, 2023
ソニー製品は、何がお好きですか。
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