大石良雄・大石主税など歴史的背景や個々の偉人の具体的なエピソードを通じて生きる強さや心の鍛え方心を学ぶ『心を鍛える偉人伝』

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大石良雄・大石主税など歴史的背景や個々の偉人の具体的なエピソードを通じて生きる強さや心の鍛え方心を学ぶ『心を鍛える偉人伝』

大石良雄・大石主税など『心を鍛える偉人伝』(濤川栄太、KADOKAWA)は、 歴史的背景や個々の偉人の具体的なエピソードを通じて、生きる強さや心の鍛え方心を学ぶ書籍です。「忠臣蔵」でおなじみの大石良雄・大石主税など4編にわたって偉人を取り上げています。

『心を鍛える偉人伝』は、各章ごとに偉人を取り上げています。

第1章、戦乱に生きた武将……織田信長、豊臣秀吉、徳川家康
第2章、人々に愛を捧げた偉人……光明皇后、無名の母、ヘレン・ケラー、マザー・テレサ、
第3章、仏教の普及に尽力した偉人……聖徳太子、鑑真、親鸞、日蓮
第4章、印象に残る海外の偉人……ジョン・F・ケネディ、ロバート・ケネディ、ウィンストン・チャーチル、パブロ・ピカソ、チャールズ・チャップリン、ナット・キング・コール
第5章、江戸の世に活躍した偉人……大石良雄と大石主税、河井継之助、西郷隆盛、坂本竜馬、高杉晋作
第6章、明治以降の忘れられぬ偉人……福沢諭吉、宮沢賢治、夏目漱石、野口英世、児玉源太郎

偉人の本は、ここのところ毎日のようにご紹介していますが、本書は今までとは一部異なる顔ぶれです。

また別の機会に、「新顔」の人々もご紹介したいと思いますが、今回は、『忠臣蔵』の知名度の割には偉人伝には取り上げられる機会が少ない、大石良雄・大石主税についてご紹介します。

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赤穂藩主の仇討ちで殉シした物語


『忠臣蔵』は、江戸時代中期の1701年に起こった「赤穂事件」を元にした物語です。

赤穂藩主の浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)が、自分を理不尽に冷遇した吉良上野介(きら こうずけのすけ)に対して、江戸城で刃傷を負わせたことから始まります。

江戸城の松の廊下で刃傷事件を起こしたことで、浅野内匠頭は即日切腹を命じられます。

浅野内匠頭の切腹により、赤穂藩は改易され、家臣たちは浪人となります。

赤穂藩の筆頭家老、大石内蔵助(おおいし くらのすけ)こと大石良雄は、主君の無念を晴らすために、吉良上野介への仇討ちを決意します。

大石内蔵助は、浪士たちをまとめ、約1年半にわたって討ち入りの準備を進めます。

1702年12月14日、大石良雄の息子である大石主税こと良金を含めて四十七士は吉良邸に討ち入り、吉良上野介の首を取ります。

討ち入り後、浪士たちは幕府に出頭し、全員が切腹を命じられます。

助命嘆願書も出ましたが、志士達は切腹します。

著者は、この討ち入り自体が、時代状況を考えると奇跡に近いものであったとします。

当時、幕府の指揮官は柳沢吉保であり、討ち入りに気づきつつも、関ヶ原の合戦から100年以上たち、太平の世で武士道が倦んでいるから、何かで引き締めたいと考え、赤穂浪士を泳がせたのではないかと推理しています。

四十七士について大名の意見が真っ二つに分かれたところ、最終的な吉保の結論は「全員切腹」でした。

著者は、当時少年だった主税の、討ち入り参加や切腹に向き合う心境に感動しています。

討ち入りの虚実


『忠臣蔵』については、賛否両論が存在します。

「賛」としては、主君への忠義と武士道を体現した物語として評価されています。

歌舞伎や浄瑠璃、映画やテレビドラマなど、さまざまな形で語り継がれており、日本の伝統文化の一部として重要な位置を占めています。

しかし、一方で反対意見としては、仇討ちという暴力行為を美化することに対して批判があります。

特に、現代の価値観から見ると、問題視されることがあります。

しかし、私は、昔の価値観を現在の価値観に直結して批判するのは、ナンセンスだと思っています。

そんなこというのだったら、サイコパスな織田信長を、社会の教科書で取り上げるのは辻褄が合いません。

仇討ちどころか、自分の言う事を聞かないからと言って、比叡山を焼き討ちする大量殺戮や、本願寺をよこせとタダこねて、私利私欲でイクサを平気で行なう人間です。

当時の価値観でも、こんなの駄目でしょう。

でも、なぜ織田は評価されているのか。

戦国武将としての武功や、経済や文化の発展にも寄与したという「結果」を残したからです。

結果を残したものが、もてはやされるのが、この世の常なのです。

もうひとつの反対意見は、討ち入りの美談自体がフィクションであり、実際の歴史的事実とは異なる部分が多いと指摘されています。

実際には、彼らの行動は「忠義」だけでなく、当時の社会的な圧力や個々の浪士たちの「殉死」という価値観を満たすための行動でもあったといわれています。

また、討ち入りの目的は、表向きは「復讐」といいつつ、本音は浪士たちが再び仕官するための「就職活動」の一環だったという説もあります。彼らは討ち入り後に切腹することで、名誉を守り、家族や子孫に対する恩恵を期待していたとも言われています。

まあ、いままで多くの偉人伝を見てきましたが、光もあれば、影もあります。

光をよりドラマチックに見せるため、感動的エピソードを架上スルこともあります。

歴史学とか、学術的には厳密な記述を求められますし、本当にその人を理解するなら、光も影も見る必要ありますが、いちいち一人一人にそんな人物研究していたらキリがありません。

人が元気づけられるための物語であるなら、主たる事実に大きな逸脱がなければ、見ないことで話が混乱しないなら、「光」の部分だけをまとめた偉人伝でもいいと私は思いますけどね。

たとえ、討ち入りが「キレイ事」にまとめられたとしても、四十七士が切腹したのは事実ですから、『忠臣蔵』は嘘八百の作り事ととまでは言えないと思いますけど、みなさんは、いかがお考えですか。

以上、大石良雄・大石主税など歴史的背景や個々の偉人の具体的なエピソードを通じて生きる強さや心の鍛え方心を学ぶ『心を鍛える偉人伝』、でした。

心を鍛える偉人伝 (中経の文庫) - 濤川栄太
心を鍛える偉人伝 (中経の文庫) – 濤川栄太

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