戦後を駆け抜けた伝説のアウトロー、東興業社長(安藤組組長)安藤昇の半生を描いた実録任侠コミック『実録安藤組』をご紹介します。後に俳優、プロデューサー、作家として活躍した人生のほうが圧倒的に長いのですが、その原点としてこの時代が語られています。
安藤昇(1926年(大正15年)5月24日 – 2015年(平成27年)12月16日)は、かつての安藤組組長として知られています。
ただし、公安上は「ヤクザ」としては扱われていません。
広告代理店東興業を母体に、従来の暴力団とは異なる
背広の着用を推奨、
刺青・指詰めの厳禁
などのスタイルで、安藤は「親分」や「オヤジ」ではなく「社長」と呼ばれ、「社員」の多くは大学出で、帰れる実家もある人々でした。
安部譲二もその一人だったと言われています。
アッパークラスの不良、ということで、当時の若者から支持を集めたようです。
東興業解散後は、松竹、日活、東映で俳優として出演。
映画が斜陽化してからは、作家やプロデューサーとして活躍しました。
横井英樹襲撃事件
??渋谷伝説 SCARFACE
大江戸の鬼 素手喧嘩帝王
★#花形敬★戦後間もなくの渋谷に伝説の男がいた… 花形敬である、彼の数々の逸話は文太さんや陣内さんを主演に、かつて花形の親分であった俳優安藤昇氏の手で映画化されている… 稀代の喧嘩師の生涯は熱く短い… pic.twitter.com/VLUaQDgmzl
— ??寅??野良Billy (@Norakuru6603kk) September 28, 2024
安藤組が世間に注目され、かつ解散の引き金になったのが、1958年6月11日に発生した横井英樹襲撃事件です。
あの、ホテルニュージャパンの横井英樹です。
簡単に書くと、元侯爵の蜂須賀正から金を借りた横井が、蜂須賀正がなくなると金を返さず、裁判で「返しなさい」と判決も出ているのに横井は無視し続けて自分は豪華な暮らしをシていたので、夫人が安藤組に相談したことがきっかけです。
裁判で判決が出ても、払わなくていいの?
裁判の賠償金は一般債権なので、取り立てる側がきちんと取り立てなければ、取れません。
被告が財産隠しさえすれば、とれないのです。裁判所は回収までは面倒見てくれません。
どこかの某ひろゆきさんも、賠償金を払ってないらしいですね。あれは国外逃亡したのか。
安藤はかつては、白木屋の株主総会で横井側の総会屋となっていたことがあるのですが、それはそれ。
安藤が横井と交渉したところ、横井は横柄な態度を取り、「昔、僕についていたよしみで、なんなら君たちにも金を借りて返さない方法を教えてやろうか」とうそぶいたことで、安藤は交渉を諦め、「懲らしめる」ことを決断します。
といっても、56しては金は取れませんから、利き腕でない方の肩をかすめてやれ、絶対急所は撃たないという方針だったのですが、ヒットマンが緊張から肺と肝臓にぶち込んでしまい、横井は重体になってしまいます。
そこで、頭目の安藤が指名手配に。
横井英樹が、いい人かどうかは、ホテルニュージャパンの一件で世間にも明らかになりましたが、やはり銃撃は犯罪ですからね。
いろいろな人が安藤の隠匿の手伝いをしました。
しかし、結局は逮捕され、懲役8年に。
その間、腹心の花形敬が刺サツされ、6年で出所するも、やはり大学新卒で入ってきた子飼の西原健吾が銃で撃たれて56されてしまい、安藤は組(東興業)を解散します。
西原の4を悲しむ母親を見て、解散を決めたそうです。
解散後は、俳優に転向。そこでも安藤を慕う人は多く、たとえば松竹から東映に移った時、まだ一流とはいえなかった菅原文太も追従しています。
菅原文太は、その後、東映で大化けしましたから、本人にとってはよい選択だったと思うんですけどね。
安藤昇の「妻」と「友人」
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第3弾:「ベッドの中で、2人は激しく愛し合った」“伝説のヤクザ”とセレブ女優が男女の関係に…俳優に転身した安藤昇の“凄すぎるモテ伝説”
『安藤昇 侠気と弾丸の全生涯』より #7記事はこちら↓https://t.co/YNDVt3izi9#文春オンライン
— 文春オンライン (@bunshun_online) October 21, 2024
安藤昇の女性関係として、作詞家の山口洋子の東映女優時代、山田五十鈴の娘である瑳峨三智子などとの関係は有名ですが、個人的にまことに興味深いのは、山口洋子との関係でした。
横井英樹の事件で、最初に安藤を匿ったのは山口洋子でしたが、安藤に妻子がいたこともあって、2人は結婚はしませんでした。
しかし、安藤がカタギになってからもずっと付き合いは続き、お互いの仕事だけでなく、異性関係もあけすけに語りあい、そしておそらくは2人の深い関係そのものも続いていたと思われる、でも結婚はしない、濃厚な友人関係をずっと続けました。
その一方で、安藤組(東興業)時代に結婚していた妻とも、長い間連れ添っていました。
第三者として見れば、「不倫」です。
でも、そういう批判は一切ない。
もちろん、第三者がとやかく言うことではないわけですが、そもそも、山口洋子との信頼関係が、傍目にも「奥さんがいようがいまいが、この関係自体が羨ましい」と思わせるものだったのではないかと思われます。
一方で安藤は、その後も妻との絆を大切にし、幸せな家庭を築いたと言われています。
安藤が指名手配されていたときも、山口が匿っていたことを知っている東映撮影所では、誰もタレ込もうとはシなかったそうです。
そして、自分だって隠匿で捕まるかもしれないのに、法政大学の先輩とか、次々に安藤を匿う人が名乗りを上げたそうです。
この人望は、どうやって培われたのか。羨ましい限りです。
安藤昇、ご存知ですか。
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