日本をダメにした新B層の研究(適菜収著、ベストセラーズ)は、2012年に発行されてB層論考が話題になった書籍の2022年版です。現代日本はモラル無き凄まじい社会状況に成り果て、国家の没落は残酷なまで加速度を増していることを指摘しています。
『日本をダメにした新B層の研究』は、適菜収さんがベストセラーズから上梓した書籍です。
本書は、もともと『日本をダメにしたB層の研究』、つまり「新」のつかない書籍が2012年に上梓され話題を呼びましたが、ちょうど10年経ったその2022年版といった趣です。
ですから、部分的に直した「改訂版」ではなく、あくまでも2022年現在でのことが書かれています。
ギリギリ、安倍晋三さんが凶弾に倒れたことも言及されています。
件の事件は言うまでもなく許されることではない。
ただし、亡くなったら仏様として、いっさいの批判を控えることも間違っている、というのが著者の立場です。
私も同意します。
だって、公人中の公人だったひとじゃないですか。
B層という言葉自体は、著者・適菜収さんの造語ではありません。
自由民主党・小泉純一郎政権が、2005年に郵政民営化を問う解散総選挙を行った際、プロパガンダとマーケティングにおいて有権者の分類を行い
-
「IQ」が比較的低く、政治に対してはノンポリで
政策よりもイメージで投票。ポピュリズム政治に騙されやすい層
をターゲットにしたといわれます。
それがB層といわれるものです。
著書中では「バカ」と書かれることがありますが、「比較的低く」ですから、国民全体からすると、必ずしも知性が再下層にある人々とはいえないのです。
本当に低い人は、「イメージ」すらもありませんから。
たとえば、私の知っている高齢のある人は、毒蝮三太夫を「どくまむしさんたふ」と読んでいましたが、少なくともそういうことはないわけです。
むしろ、テレビはよく見るから、タレントの名前やワイドショーなどの内容は詳しい。
詳しいがゆえに、それを真に受けて騙されてしまうわけです。
ですから、ありていにいえば、「マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQが低い人達」「よく考えもせず、政府・テレビ・マスコミが作り上げる「イメージ」を支持する層」といったところです。
ということは、日本人大衆の中間層と行って良いかもしれませんね。
そのひとたちを直接批判するというよりも、その人達に支持されているとみられる、メディアでおなじみの政治家や政治評論家たちを本書は一刀両断しています。
2012年版も含めて、ご紹介します。
よく考えもせず、流行のキーワードに乗り遅れまいとする
ふた昔半前の日本新党、無党派だからという理由で自治体の長を選んでいった「無党派ブーム」、郵政選挙における自由民主党、2009年前の民主党、など、日本の政治史上、何度か“劇的な政治現象”をもたらしたことがあります。
それを起こしたのは、ほかでもない有権者です。
しかし、その結果、なにか日本の政治は良い方に変わったでしょうか。
期待できる根拠もないのに勝手に期待し、勝手に裏切られた気になってその反動でさらに悪い選択を行っているように思えてなりません。
適菜収さんは、このB層が、政治だけでなく日本の文化や社会の価値観全体を歪めてしまっているとし、「知識」がネットに依存していることもその大きな特徴であるといいます。
「重要な点は、B層は単なる無知ではないということ。ものを知らないだけではなくて、歴史や社会に対する姿勢、伝統的なものの扱い方がおかしい。彼らは自分たちが合理的で理性的であることに深く満足しながら、『良識』『日常生活のしきたり』『教養』を無視します。」当時、B層を批判的に報じていた『日刊ゲンダイ』(2012年12月20日付)の記事から見ましょう。
「そこでは、知が軽視され、無知が称揚される。バカがバカであることに恥じらいをもたず、素人が素人であることに誇りを持つ。素人が圧倒的自信を持って社会の前面に出ていく。こうした社会の主人公がB層です。B層とは、近代において発生した大衆の最終的な姿です」(同書より)
最近、再び「B層」という言葉が脚光を浴びている。ひと言でいうと、「マスコミ報道に流されやすい知能程度(IQ)の低い人たち」のこと。今回の無党派層もこの手合いとされる。差別的だと誤解されそうだが、いま企業はこのB層に悩まされている。ひっかかりやすいキーワードとしてあげているのは、「期間限定」「数量限定」「食べ放題」「産地直送」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠」「隠れ家」「クーポン」「カロリー〇%オフ」……。
「B層」とは元来、05年の小泉郵政選挙の際、宣伝企画を行った広告会社が作った言葉だ。
言葉は刺激的だが、「IQが比較的低いため、具体的なことはよく分からないが、小泉純一郎のキャラクターを支持した層」のことを指す。
当時、「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」とワンフレーズポリティクスをやったのも、浮動層であるB層を狙った戦略だった。
そして今、このB層が日本をダメにしていると警鐘を鳴らしているのが、哲学者の適菜収氏だ。
著書「日本をダメにしたB層の研究」(講談社)は、発売後すぐに重版がかかる人気になっている。
同書では、現在のB層の典型的な特徴をこう記している。
まず、こんなキーワードに左右されやすい。「期間限定」「数量限定」「食べ放題」「産地直送」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠」「隠れ家」「クーポン」「カロリー〇%オフ」……。そういえば、夕方のニュース番組は、こればかりやっている。
次に、合言葉はコストパフォーマンスだという。かつて売れたバンドが食い詰めた揚げ句の「再結成」に喜び、「女子会」ブームに乗る。すべて広告代理店が大衆を誘導するためにつくったブームだ。
◆ツイッター並みの思考力を変える手はあるか
この軽薄層が企業をむしばみ始めている。広告会社の営業課長Aさん(39)は、まさにこの「B層部下」に苦しめられている真っ最中だ。
「震災直後は〈絆〉、オリンピック中は〈選手に感動をもらった〉、自己啓発書を読めば〈気づきを得た〉など、日常から浅はかな発言が多い部下と感じてはいました。しかし、ある会議で依頼主が宣伝手段を提案された時、〈それはちょっと刺さりませんね〉と口走ってしまった。いま私は、彼の商談に同行する際、『救心』を飲むようになりました」
不動産会社のマネジャーBさん(36)はこんな具合だ。
「育休明けの女性復帰率が低い職場ですので、社内で『女性復帰支援プロジェクト』が立ち上がりました。すると、子供どころか、結婚してもいない男性部下が〈僕、女性活用とか詳しいですし、関心があるから〉となぜか手を挙げた。仕方なくメンバーに加えましたが、ネットで検索した本当かどうかも分からない他社事例を持ち出してみせ、議論をかきまぜるだけ。こういう知ったかぶりが一番困る」
B層部下はどう扱うべきか? 若年層の生態に詳しいライターの持丸千乃氏がこう言う。
「彼らの知識はしょせん、ツイッターの制限である140字程度のものでしかないのです。つけ上がらせないためには、たとえば、流行だけで反原発を唱えだしたら、〈じゃあ、代替燃料について君の考えは?〉と知識を問うのではなく、意見を述べさせる質問をしてください。おそらく言葉が続かないでしょう。B層の問題は職場内で済めばいいが、必ず相手先企業にも迷惑をかけています」
平均的に国民の質が落ちてきている。今回の総選挙でも、それが証明された。国の将来までこのB層が握っているとすれば怖い。
すべて広告代理店が大衆を誘導するためにつくったブームなのに、よく考えもせず、流行のキーワードに乗り遅れまいとするのはB層だからだというのです。
「こんなキーワードに左右されやすい」は、今回の2022年版にも出ています。
「数字に弱い」という話です、「99%〇〇」というと、すぐひっかかってしまう。
ただこれは、私もブロガーとして、ブログを書くときにタイトルに数字を入れるというのはよくやりますね。
なんだかんだいって、私もB層をカモにしようとしているのかもしれません。
「絆」と「感動をもらった」。当時流行しました。
勇気をもらった、なんていうときもありますね。
ヨソからもらうなよ、それは自分の内心の問題だろう、と突っ込みたくなります。
ただ、「B層」が「イメージ」や「ポピュリズム」に騙されやすい層というのなら、「ダメにした」真犯人はB層自身ではなく、B層に「イメージ」や「ポピュリズム」をうまく啓蒙した側ではないでしょうか。
つまり、騙される側ではなく、騙す側こそが「ダメにしている」真犯人ではないでしょうか。
という素朴な疑問に答えたのが、今回の2022年版なんです。
安倍晋三、橋下徹&日本維新の会、小泉純一郎、小沢一郎、櫻井よしこ、三浦瑠麗、藤井聡といった面々が出ています。
ただし、藤井聡さんについては、MMTではなく、コロナに関する発言を突っ込んでいます。
要するに、コロナ発言について矛盾と軽視があるというわけです。
実際に、還暦前の自然死世代ではない人も含めて約48000人が亡くなっているわけで、「ただの風邪」という表現はもはやおかしいですね。
もちろん藤井聡さんはそうは言っていませんが、もっと慎重な発言があってもいいだろうという話です。
「ジューシー安倍」は悪意すらない可能性があると指摘
何より痛快なのが、安倍晋三総理についてのくだりです。
いや、国民にとっては深刻なのですが、ここまでぶった切る筆致が痛快なのです。
安倍さんはお犬様だったんですね。
まだ続きます。
何を食べても「ジューシー」なので、「ジューシー安倍」というあだ名もついています。 桃を食べたときの感想は「甘くてジューシー だ」。メロンを食べたときの感想は「甘くてとてもジューシーだ」。シャインマスカットを食べたときの感想は「大変ジューシーだ」。種なしブドウを食べたときの感想は「ジューシーですね。おいしい」。柿を食べたときの感想は「ジューシーで」。
果物だけではありません。
キュウリを食べても「みずみずしくて、ジューシー」。トマトを食べても「とてもおいしい。 ジューシーで」。三浦半島酪農組合連合会が官邸を訪れ、ブランド和牛「葉山牛」のビーフ ジャーキーを安倍に食べさせると、「非常にジューシーだ」と発言。
テレビ番組では「ブレずにジューシーと言う人」として紹介され、自民党のネット番組「カフェスタ」では「割とジューシーなものは何でも好きですね」と発言しています。
安倍の食事のマナーは幼児レベルです。箸や食器をきちんと持つことができないし、犬食いだし、迎え舌です。最近は「ご飯がほしくなる」というフレーズも覚えたようですが、語彙が少ないということは、世界認識もその程度のところでストップしているということです。
「こんな人たち」と「アタクチたち」。政治観、歴史観、憲法観、すべてが薄っぺらいのは、 語彙の貧困と直接つながっています。 おそらく安倍は複雑なものを複雑なものとして受け入れるのが怖いのでしょう。それで「ジューシー」という言葉を貼り付けて、外部を拒絶するのです。
そして、写真にはこんなキャプションが付いています。
「安倍晋三 握り箸、押込み橋、かき箸、ねぶり箸。「日本の伝統」を唱えるが、食事のマナーは最悪。」
そういえば、やたら食べるシーンが多かったような気がします。
それは、他の総理にも言えることです。
公人中の公人であるうちに、さんざん公金でうまいものを食ってやれ、という魂胆なんでしょうね。
嘘に嘘を重ね、それがバレてもさらに嘘を重ねる。悪政により日本を下品のどん底に落とし込んだ上で、二〇一九年は「日本が世界の真ん中で輝いた年になったのでは」と胸を張る。 安倍に関する一連の事件ではすでに死人が出ています。
森友事件においては近畿財務局の男性職員が「財務省の指示で改ざんを強要された」という趣旨の遺書を残して自殺しています。安倍周辺に寄生する乞食言論人もいますが、安倍はいざとなったら平気な顔で仲間を切り捨てる人物です。それを如実に示したのが、テレビ番組で「ガリガリ君」について質問され、パニックになったときです。二〇一六年六月二四日、ニュース番組の党首討論で、「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表の山本太郎が「安倍総理もですね、たとえば、ガリガリ君というアイスクリームであったりとか、そういうものもそこ(政治活動費)で支出をしている」と追及。 すると安倍は逆切れし「全然知らない」「そんなもの政治資金で買いませんよ!」と声を荒げました。
しかし、領収書は公開されており、「ガリガリ君」も、大好物の「なっちゃん」を買う資金も安倍の資金管理団体「晋和会」が拠出していました。
いやはや、アイスキャンデーまで政治資金でしたか。
まあ、論より証拠で、ぜひ本書をご覧ください。
以上、日本をダメにした新B層の研究(適菜収著、ベストセラーズ)は、2012年に発行されてB層論考が話題になった書籍の2022年版です。でした。
コメント