本当にあった女の人生ドラマ Vol.62(ぶんか社)は、ネットに関する「おばさん」や「ママ友」間のトラブル投書を漫画化したものです。誹謗中傷、不謹慎狩り、成りすまし、炎上など老若男女のリスクに加えて、女性コミュニティ特有の難しさも感じます。
『本当にあった女の人生ドラマ Vol.62』は、ぶんか社から刊行された漫画です。
体験の投稿を漫画化したものです。
作者は、伊東爾子さん、庭りかさん、伊東倫智さん、瓜渡モモさん、まるいぴよこさんなどです。
本書は2022年9月10日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
批判と悪意の中傷の線引きはできているのか
本書『本当にあった女の人生ドラマ Vol.62』は、投稿の漫画化を標榜しています。
テレビドラマにもなった話題のレディースコミック「本当にあった女の人生ドラマ」の第62弾!と銘打たれています。
ストーリーを作るにあたって、多少の脚色はあるのかもしれませんが、いずれにしても、ネットが抱えるありがちなトラブルが描かれています。
ネットで様々な情報処理を行う現在、主婦ではなくても、誰でもハマりうるトラブルが描かれていますが、本書の場合、そこに「ママ友」というコミュニティがちょっと厄介な影響を与えており、それが読み物としてはストーリーを盛り上げています。
本書のテーマは、誹謗中傷 不謹慎狩り 成りすまし SNSおばさん炎上。
ネットにありがちなトラブルばかりです。
『それ 名誉毀損です!』(伊東爾子、2020年11月号)……ネットフリマの話
『正義中毒』(庭りか、2020年11月号)……SNSの「いいね!」を欲しがる話
『金に執着ブス~1円でも得したい?』(伊東倫智、2019年4月号)……ネットの「儲かる系」に騙される話
『あなたのものは私のもの』(瓜渡モモ、2019年11月号)……転売の話
『ネットフリマ友達』(まるいぴよこ、2019年1月号)……パート仲間が匿名で同僚バイヤーを貶める話
アマゾン販売ページには、こう紹介されています。
顔が見えないからと悪質な攻撃を仕掛けてくる卑怯女たちを、反対に懲らしめる被害者たちの痛快仕返しエピソード満載!
読者から寄せられた衝撃的な投稿を5本収録。
思うに、法律や倫理をきちんと理解しないまま、上辺の面白さでネットにハマってしまうと、そうしたトラブルに巻き込まれたり、また巻き込んだりしてしまうように思います。
たとえば、収録話の最初のテーマである「名誉毀損」ですが、実際にどういう場合に名誉毀損になるのかもわからない「主婦」は多いように思います。
女子プロレスラーだった木村花さんや、結局死亡が確認されましたが山梨女児不明事件時の中傷など、その典型例だと思います。
収載の漫画『それ 名誉毀損です!』によると、主人公がネットショップを開いたものの、パートの同僚が中傷していたという話です。
弁護士に相談して発信者情報開示請求をすると言ったら、同僚たちは謝って一件落着、という展開だったのですが、一方でこの主人公は、批判的なコメントはみな訴えるような態度です。
「この作家の作品って安っぽいよね?なんかキライ!」
大丈夫。何かあれば訴えることができるんだから
えー、キライっていわれただけで訴訟を意識するのかよ、なにそれ、と思いませんか。
ネット上では、率直なコメントでもネガティブなものは鬼っ子扱いですが、本当にそれでいいのかな、という気がします。
批判こそが進歩の突破口、ということを考えると、批判を封じるのは機会の損失といえなくもありません。
つまり、加害者はもちろん、被害者も「わかってない」という気がしました。
名誉毀損について、簡単にまとめます。
無名の一庶民の火災で何の根拠もなく「犯人」を特定
私も11年前、ネットの被害者になったことがあります。
といっても、別にフリマを開いたわけではなく、我が家の火災報道について、Web掲示板にスレッドが立ったのです。
これは、私が火災を経験した当日、2NNという、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)で書き込みの頻度が高い順に記事を紹介するトップページです。
タイトルの真下に表示されているということは、この日、ネット掲示板でもっとも注目を集めたニュースだったわけです。
まず、その事自体、おかしいでしょう。
無名の一庶民の火災じゃないですか。
なんでそんなに注目したがるわけ?
それは、そこに何の根拠もなく勝手に事件性を見たからです。
掲示板で何を書かれたかというと、「夫が怪しい」。
私が火をつけて、妻子を焼き殺そうとしたというのです。
もちろん、そんなことはありえないし、客観的に状況証拠もありません。
ところが、掲示板の騒動からNHKと共同通信は事件と決めつけ、たかが無名の一庶民の火災を2日またぎで報道。
NHKなんか、翌日こっちが現場検証しているさなかの、お昼のニューズで放送したらしいですからね。
週刊誌やワイドショーには、ずっと後をつけられました。
毎日新聞には、長男の小学校名まで書かれてしまったので、週刊誌の記者が、長男の同級生宅まで押しかけて、その家の祖母に長男の写真をよこせと迫ったそうです。
長男の小学校は、騒ぎが収まるまで全校集団登校に。
隣の隣に住んでいた娘さんは、ショックで不登校に……。
もちろん、実行者はマスコミの記者ですが、もとを作ったのはWeb掲示板だと私は思っています。
でも、ほとぼりが冷めても誰一人責任を取らない。
ふざけんなよ、大衆。
なぜそうなるかといえば、大衆はそれが名誉毀損だということがわからないから、何を書いてもいい「言論の自由」だと勘違いしているのです。
ネットの暴言で逮捕されたり起訴されたりする連中は、「まさかこんなことで罪になるとは思わなかった」というセリフが決まって出てくるのです。
名誉毀損や侮辱罪自体を理解していないこともありますが、親告罪のため、同じことを書いても訴えられる場合とそうでない場合があり、「どうして自分が訴えられるのか」「どうしてこの言葉で訴えられるのか」という思いがあるのかもしれません。
何をかいたら名誉毀損になるのか
どのような書き込みをしたら、名誉毀損・侮辱なのかわかりますか。
たとえば、「〇〇は不倫している」と書き込んだら、これは名誉毀損になります。
〇〇が実際に不倫しているかしていないかは関係ありません。
「事実の摘示」といって名誉毀損の要件になります。
また、「〇〇は不倫している」というツイートをリツイートしても、同じように名誉毀損になります。
ただし、かつての三船敏郎と喜多川美佳(例えが古い?)のように、不倫が公然としていた場合には、「事実の摘示」ではなく、客観的真実、もしくは「真実相当性」があるとみなされて名誉毀損には問われません。
名誉毀損が成立しないケースとしては、さらに公共性・公益性なども満たす必要があります。
つまり、社会的利益のある情報ということです。
ですから、政治家のスキャンダルは、名誉毀損か、社会的利益かの解釈が分かれる微妙なものなので、名誉毀損になったからといって、ジャーナリストは恥じる必要はないと思います。
しかし、私の件や、今回や、木村花さんへの罵詈雑言などは、それらを何一つ満たしていない、社会的にも何も生み出さない罪深い落書きです。
法律を知り他人の身になって考えよう
本書については、ネットフリマとか、SNSを使った拡散といった、不特定多数に向けてメッセージを送っています。
法律を知る
他人の身になって考える
この2点がわからない人は、安易にそうした場に参加しないほうが、自分のためにも世間のためにもなるでしょう。
以上、本当にあった女の人生ドラマ Vol.62(ぶんか社)は、ネットに関する「おばさん」や「ママ友」間のトラブル投書を漫画化した、でした。
本当にあった女の人生ドラマ Vol.62 誹謗中傷 不謹慎狩り 成りすまし SNSおばさん炎上 – 伊東爾子, 庭りか, 伊東倫智, 瓜渡モモ, まるいぴよこ, 本当にあった女の人生ドラマ編集部
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