『東京ラブストーリー』上・下(柴門ふみ作、文藝春秋社)は愛媛出身の3人の男女を中心とした恋愛模様を描いた1991年の漫画です

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『東京ラブストーリー』上・下(柴門ふみ作、文藝春秋社)は、愛媛出身の3人の男女を中心とした恋愛模様を描いた1991年の漫画です

『東京ラブストーリー』上・下(柴門ふみ作、文藝春秋社)は、愛媛出身の3人の男女を中心とした恋愛模様を描いた1991年の漫画です。テレビドラマ化されヒット作となりましたが、ヒロインの赤名リカの描き方が原作と漫画では若干違いがあったように思います。

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テレビドラマ化で大ヒット

『東京ラブストーリー』上・下(柴門ふみ作、文藝春秋社)は、柴門ふみによる漫画です。

1988年から『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載されていた漫画を2冊にまとめ、さらにドラマ化された時のヒロイン・鈴木保奈美と柴門ふみ氏による対談が加わった書籍です。

フジテレビで、「月9ドラマ」として1991年にドラマ化。

織田裕二、鈴木保奈美、江口洋介、有森也実、千堂あきほら、西岡徳馬らが主なキャスティングで、最終回平均視聴率が32.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録する大ヒット作品となりました。

さらに、2020年に配信ドラマとして29年ぶりにリメイクされましたが、こちらは賛否両論があるので今回は割愛します。

ストーリー

愛媛出身の永尾完治(織田裕二)と、幼馴染で医大生の三上健一(江口洋介)、関口さとみ(有森也実)、それに完治と同じ会社の赤名リカ(鈴木保奈美)、三上の同級生の医大生・長崎尚子(千堂あきほ)が織りなす恋愛模様を描いた物語です。

最初は、永尾完治と赤名リカ、三上健一と関口さとみというカップルだったのですが、いずれも破局し、永尾完治と関口さとみ、三上健一と長崎尚子のカップルにかわり、赤名リカは完治とリカの元上司であり、かつてリカの不倫相手でもあった和賀夏樹との間に婚外子を生みます。

つまり、それぞれがやっと本当の相手と巡り合った、というストーリーですが、テレビドラマでは永尾完治と赤名リカの関係により明確にフォーカスされていたように思います。

私が、この漫画が好きなのは、世代的に似ていることがあります。

そして、原作のリカが、現実にそんな人と付き合ってもうまくいくわけ無いと思うのに、女性としては魅力的というなんとも不思議な女性なのです。

赤名リカが、完治自身も忘れていた誕生日を祝うときの笑顔です。

『東京ラブストーリー』上(柴門ふみ作、文藝春秋社)より

『東京ラブストーリー』上(柴門ふみ作、文藝春秋社)より

ああ、完治はこの笑顔に引き込まれていったのだなあと思えるシーンです。

漫画は、いかにして永尾完治と関口さとみが回り道しながら結ばれるかということが主題ですが、リカが身を引くという視点から描かれたドラマについても触れておきます。

ドラマはどうだったか

トレンディードラマという定義自体がはっきりしたものはないのですが、wikiによると、「都会に生きる男女(ヤッピー)の恋愛やトレンドを描いた現代ドラマ」「1988年から1990年にかけてのバブル景気時代に制作された日本のテレビドラマ」だそうです。

でも、『東京ラブストーリー』がそれにあてままるかどうか。

作られたのは1991年ですし、出演者のファッションや仕事や生活ぶりが目立ってトレンディというわけではなく、ストーリーも、主人公の女性の恋愛観は、原作に比べてグッと抑え気味で、むしろ保守的ですらあります。

『金曜日の妻たちへ1・2・3』(1983年・1984年・1985年、TBS)や、『男女7人夏物語』(1987年、TBS)の方が、よほどトレンディードラマだったと私には見えます。

どちらかというと、男女の純愛の部分をとことん描くプリミティブな作り方であることが、本作品の最大の特徴であったと私は思っています。

鈴木保奈美が演じたドラマの赤名リカは、全体を通して、決して原作のような翔んでる女性ではなく、むしろ「待つ女」「耐える女」「身を引く女」として描かれています。

ただ、旧来のドラマが描く女性と違うのは、男のために待つ、耐える、になっているのではなく、自身の意志でそうしているのです。

ですから、寂しくて辛くても、決して演歌ではないのです。

そのような女性目線のところが、女性視聴者にはリアリティを感じたんでしょうね。

最終回、愛媛でカンチと再会したリカが、一緒に電車に乗る約束を自分から破って先に乗ってしまい、今までの楽しいことを思い出しつつ涙を流す姿に、感情移入してもらい泣きした女性視聴者はたくさんいたんだろうなあと思います。

小田和正さんの音楽も良かった。

ドラマのリカは、日本的な“我慢する女”として描かれ身を引く最後でしたが、原作はかなり奔放で、勤務先の社長と関係して社長の家庭を壊してしまったり、せっかく完治といい関係になったと思ったら他の行きずりの男性と関係したりして、あげくには社長の子どもまで宿して別れてしまいます。

まあリアルだったらとても付き合えないけれど、読み物としてなら大変興味深い女性でした。

「男女七人秋物語」のヒロインもそうでしたが、そしてたぶん、「積木くずし」の前妻もそうなのかもしれませんが、人間というのは、合理的に考えたり、倫理にしたがったりしたら、絶対にありえない行動や選択であっても、ついそちらに引き込まれてしまうことがあります。

もちろん、原因のない結果はありませんから、そこにはそうなってしまう契機があるはずなのですが、それはいったい何か、をゆっくり考えるという思索が案外楽しいものです。

余談

『東京ラブストーリー』下巻の巻末対談によると、ドラマ版で、赤名リカが美しく描かれたために、永尾完治を奪ってしまった関口さとみを演じた有森也実は、リアルでもずいぶん嫌われたようです。

前出巻末によると、ハワイでも「さとみ嫌い」と言われたそうですが、演じた役が海の向こうでも嫌われるというのは、女優冥利に尽きるでしょうけどね。

以上、『東京ラブストーリー』上・下(柴門ふみ作、文藝春秋社)は、愛媛出身の3人の男女を中心とした恋愛模様を描いた1991年の漫画です、でした。

東京ラブストーリー 上 (文春文庫 さ 25-5) - 柴門 ふみ
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