東京都北区赤羽(清野とおる著、ビーグリー)は、著者が住む北区赤羽町で遭遇した奇妙な出来事をリアルに漫画化しています。

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東京都北区赤羽(清野とおる著、ビーグリー)は、著者が住む北区赤羽町で遭遇した奇妙な出来事をリアルに漫画化しています。

東京都北区赤羽(清野とおる著、ビーグリー)は、著者が住む北区赤羽町で遭遇した奇妙な出来事をリアルに漫画化しています。ちょっと奇妙な店や人がでてくるのですが、なぜかそういう人に捕まり、またなぜかその人たちと引き続き付き合う著者です。

『東京都北区赤羽』は、清野とおるさんがビーグリーから上梓しています。

この記事では、Kindle版をもとにご紹介しています。

大学卒業と同時に連載を切られて、事実上無職となり実家に居づらくなった著者が、風呂付き家賃5万5000円で見つけたのが北区赤羽のアパート。

そこで経験する、おもしろ困った、そしてちょっと奇妙な隣人や近隣の人たち。

なぜか著者は、そういう人に捕まり、エーッと思ってしまう経験をするのですが、「もうこりこりだ」というのかと思ったら、著者らしいこだわりの精神で、性懲りもなくその人たちと付き合ってしまう、実は似た者同士の「引き寄せられの法則」ではないかと思える、気味悪いけど面白いリアルな赤羽日記です。

清野とおるさんといえば、過去に『ゴハンスキー』(清野とおる著、扶桑社)をご紹介しました。

著者自身の食べ物や飲食店に関する、体験とこだわりを漫画化したB級グルメエッセイ漫画です。

同作でも、著者らしい面白困ったこだわりが漫画のキモでしたが、まさに本作も、その清野とおるワールドがいかんなく発揮されています。

本書は2023年3月16日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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不快すぎて愉快になる店の常連に

第1巻からご紹介します。

冒頭でご紹介したように、実家に居づらくなった著者は、不動産業者の店頭で、家賃5万5000円の物件を発見。

「赤羽…か」

実家からバスで15分ほどの町。

不便しなくて済みそうだな、と考えた著者は契約します。

小さなことですが、事実上無職の22歳の若者に、よく貸しましたね。

今は賃貸物件もうるさいんですよ。保証人がどうとか、収入証明がどうだとか。

両親を保証人にしたのかな。

両親も、でてってほしかったのかな(笑)

赤羽に転居して、いきなり気になったのが、サウナの屋上に建つ、巨大な自由の女神像。

眠れなくなるほど気になる著者。

やっと気が付きました。

「サウナで入浴(ニューヨーク)」

サウナ⇒入浴⇒ニューヨーク⇒自由の女神

「この事実に気づいた時の衝撃は今でも忘れない」と著者。

アパートの左隣は、挨拶をしようとしても居留守を使う人。

右隣は、挨拶をすると愛想が良い中国人夫妻。

夜になると、最初は静かすぎて仕事ができません。

ところが、まもなくして、右隣からものすごい物音。

そして、男女が激しく怒鳴り合う声。

「中国人夫婦が喧嘩しているんだ」

あんなに優しそうな夫婦が喧嘩するなんて。

今度は左隣から壁をどんと蹴る音が。

「こっちのは多分、静かにしろというクレームの足蹴りだな。文句あるなら直接言いにいけよ」

今度は、うるさすぎて仕事ができなくなりました。

ところが翌日は、ギシギシっという音とともに喘ぎ声。

「昨日喧嘩で今日エッチ。絵に描いたように見事な仲直りだな」

今度は、エロすぎて仕事ができない著者。

それ以降の数日間は、静かで静寂が続いたものの、1週間後にまた喧嘩。

そして翌日は喘ぎ声。

著者は、喧嘩の日とエッチの日をカレンダーにつけ始めました。

すると、喧嘩の翌日はエッチの日でした。

2人の喧嘩はエッチを盛り上げるためのプレイなのか、と仮説を立てる著者。

次の週は、2日連続で喧嘩したものの、次の日はやはりエッチ。

著者の仮説は当たっていた(笑)

以来、エッチの音も、壁どんどんも、適度な雑音になっていたとか。

物語には、主たる舞台以外に飲食店がでてくることがありますが、本作もでてきます。

居酒屋「ちから」という店。

店の看板は真っ二つに割れ、入り口には、「これ、なーんだ?」と描かれた絵の貼り紙があります。

それを著者が観ていると、買い物から帰ってきたママに捕まってしまいました。

「マスター、お客さんだよ」と店内に誘うママ。

ぼったくりバーじゃあるまいし。

店内は、客が一人もおらず、マスターは長椅子でぐうぐう寝ていました。

ひと目で駄目な店だとわかった著者。

では、もう2度と来ないのかと思いきや、愉快なほど不快なことが気に入って常連になります(笑)

そんな感じで、赤羽の町についての日常を漫画化していますが、観光案内的なものではなく、もっぱら著者の実生活におけるこだわりの部分を描いています。

ときどきデジカメで撮った画像を出すことで、ほんとうの話であることを証明しています。

赤羽というのは、昔大日本製本の工場があって、あ、今でもあるのかな、学生時代アルバイトしました。

夜の部になると、22時に夜食が出るのですが、ラーメンやうどんなどがでるときは嬉しかったですね。

その頃は、まだ古いタイプの客車を使う列車が東北本線の普通で使われていて、帰りは赤羽から上野まで乗っていました。

私の地元の大田区蒲田も、東京の場末であるような見方をされることがありますが、ちょっと雰囲気が違うかな。

そもそも蒲田は工場の街のように言われていますが、それは間違いで、どちらかというと商業の街です。

1丁目は住宅街で路線価も高いしね。

工場の街?

森ヶ崎とか羽田ね。

あとは六郷かな。工業団地などもありますし。

またそれはともかくとして、こんな感じで、著者のこだわりがいかんなく表現されている作品です。

『喜劇駅前開運』は「昭和の赤羽」を舞台にした映画


さて、赤羽というと、私は『喜劇駅前開運』(1968年、東宝)という映画を思い出します。

文芸映画の巨匠といわれた豊田四郎監督作品です。

たんなるドタバタではなく、社会風刺がたっぷりきいた作品に仕上がっています。

「昭和の赤羽」を知るためには、必見の映画と言っていいかも知れませんよ。

東京・赤羽で、孫作(伴淳三郎)とさだ(沢村貞子)の夫婦、次郎(フランキー堺)は、駅前の東口と西口でそれぞれ商店を営んでいます。

赤羽はその頃いくつかの懸案がありました。

ゴミ処理場の住民反対運動、地下鉄誘致、東口と西口の地下道です。

実は全て実際にあった話です。

それまで赤羽の踏切は、山手線、京浜東北線、東北本線などが通る「開かずの踏切」で、別名「宝くじ踏切(めったに開かない=当たらない)」などともいわれていました。

ゴミ処理場反対と地下鉄については住民の意見は一致していましたが、地下道については賛成派(フランキー堺)と反対派(伴淳三郎)に分かれていました。

東と西の商店街は張り合っていて、伴淳三郎は客を流さずに自分のところにとめておきたかったのです。

このシリーズ、伴淳三郎は、がめつくて意地悪な側を演じていました。

2人とも事態打開のために地元の花村代議士(山茶花究)に陳情することになりましたが、コンサル業を標榜する徳之助(森繁久彌)が、伴淳三郎とフランキー堺の両方から金をとって山茶花究に話を通したため、混乱。

「片方で火をつけて片方で消すようなもんだろう」とひんしゅくを買います。

最後は、東西が手を組み赤羽の町をみんなで良くしようと、ゴミ焼却の黒い雨が降る夏祭りに気勢を上げて物語は終わります。

喜劇としてはかなりシリアスなストーリーですが、ギャグや設定で笑わせる喜劇ではなく、人間の弱さ、卑しさ、社会の厳しさなどをシニカルに描いており、いま見ても十分価値のある作品だと思います。

黒柳徹子のコメディエンヌぶりが注目すべき点でしょうか。

フランキー堺演じる東口商店街の食料品店主が、今風に言うとショップブランドとして売り出したのが、『駅前ラーメン』です。

駅前ラーメン

こちらは、喜劇駅前シリーズ終了後もしばらくは売られていましたが、そのうちフェードアウトしてしまいました。

その後、カップ麺で、のりを加えたものが販売されました。


が、これも今は売られていません。

ぜひ、復刻していただきたいですね。

以上、東京都北区赤羽(清野とおる著、ビーグリー)は、著者が住む北区赤羽町で遭遇した奇妙な出来事をリアルに漫画化しています。でした。

東京都北区赤羽 1巻 - 清野 とおる
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ウヒョッ!東京都北区赤羽(1) (アクションコミックス) [ 清野とおる ] - 楽天ブックス
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喜劇 駅前開運 [レンタル落ち]
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