気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)は、大乗仏教の真髄と言われる般若心経の意味を漫画で解説

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気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)は、大乗仏教の真髄と言われる般若心経の意味を漫画で解説

気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)は、大乗仏教の真髄と言われる般若心経の意味を漫画で解説しています。私たちはいろいろなことを気にしすぎ。心を自在にしていきましょう、ということが説かれています。

般若心経って、仏教に疎い方でも名前ぐらいは聞いたことありますよね。

「はんにゃーはーらーみーたー」というあれです。

写経と言って、書き写すお経としても有名ですよね。

『般若心経』は、紀元前後1世紀の大乗仏教の書物である『般若経』のエッセンスを、7世紀に玄奘三蔵がまとめて漢訳化したものだとされています。

「心経」というのは、「真髄をまとめたお経」という意味です。

ダイジェストですね。

ちなみに、玄奘三蔵は、西遊記の三蔵法師のモデルになった人物です。

で、具体的に、般若心経には何が説かれているかというと、大乗仏教がいう「空」「般若」の思想を説いた経典です。

ということで、本書『気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~』は、名取芳彦さん、はちさんが、あさ出版から上梓した漫画です。

般若心経の「空」についてわかりやすく解説しています。

表紙の帯には、

「まあ、そういう考え方もあるよね」で、ぜんぶうまくいく! 
怒らない、不安にならない、悩まない、般若心経の「生きる智慧」とはー?

お釈迦さまって「いい人になれなんて言ってないんだよね。

と書かれています。

本書は2022年11月13日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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般若心経は「お釈迦様の仏教」ではありません

仏教といいますと、一般にはお釈迦様が開祖でインドから中国を経てやって来た、という認識でしょうか。

それとも、日本神道とともに、日本独自の宗教のように思われていますか。

インドでお釈迦様が開祖、というのは、原始仏教とか初期仏教といわれていますね。

仏教のおおもとである「お釈迦様の仏教」は、もともと智慧を磨き修行を積んで、迷いや煩悩や執着を断ち切り、悟りに到達して、いっさいの苦・束縛から解放されることを目指しています。

というのは、昔のインドは、輪廻転生を前提とする死生観でした。

五道とか六道とかいわれますが、何通りかの生まれ変わりがあって、一旦死んでもそれを繰り返すという考え方です。

我々は、「生まれ変わる」というと、またこの世に出てこれるのかと、どちらかというと楽しい話と受け取れるかもしれません。

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前世や生まれ変わりはあると思いますか。YouTube動画における、住職や宗教家、退行睡眠施術者などの見解をまとめてみました。同じ「仏教」でもなぜか見解が真っ向から異なる場合もありますが、みなさんは輪廻転生についていかがお考えになりますか。

しかし、その時のインドでは、生きることが苦しみと捉えられ、すなわち「生まれ変わり」は、またしても苦しみの時間を経験しなければならないという思いだったのです。

そして、輪廻とは、煩悩によって繰り返されると考えられていました。

そこで、「お釈迦様の仏教」は、煩悩を断ち切ることで、その輪廻から外れることを目指しました。

五道や六道のいずれかに生きる「苦しみ」から離脱できる、仏教の究極的な実践目的の「涅槃」を目指していたのです。(「涅槃寂静」と呼ばれます)

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しかし、それは、出家して修行した人だけが至れる「悟り」の境地であるとされました。

一般の人が、たとえば修行僧にお布施をしていくら徳を積んでも、現世で良いことがあるだけで、決して「涅槃寂静」には至らないとされていました。

「お釈迦様の仏教」は、出家した人しか救えない仏教だったのです。

それに対して、大乗仏教という、「お釈迦様の仏教」では救えない人達を救う仏教が登場しました。

それは、在家の人(つまり家を捨てて剃髪して修行していない人)でも、涅槃に渡らせると説いている仏教です。

そして、般若心経は、その大乗仏教の『般若経』のダイジェストなのです。

日本の仏教は、「お釈迦様の仏教」ではなく大乗仏教ですから、般若心経は、法相宗・天台宗・真言宗・禅宗(臨済宗・曹洞宗・黄檗宗等)など日本の仏教宗派の多くが採用しています。

ただし、採用している宗派ごとに、それぞれの独自の解釈を行っています。

いずれにしても、般若心経は大乗仏教のお経であり、「お釈迦様の仏教」とは異なるものです。

ということは、お釈迦様は般若心経は唱えていません

そもそも、お釈迦様の言う「空」と、般若心経(般若経)の「空」は別のものという専門家の指摘もあります。

お釈迦様の「空」というのは、私たちが「そこに存在する」と信じていたものは、「私自身」を含めて実は実体はなく、確実に存在するのは構成要素だけである(諸法無我)としていました。

構成要素の組み合わせで、一時的に「ある」だけだと。

「実体はない」ところまでは、「お釈迦様の仏教」も、『般若経』も同じです。

しかし、『般若経』は、「お釈迦様の仏教」では、あるとされた「五蘊(ごうん)」という、世界を構成している基本要素すらもないとしました。

五蘊とは、色(しき)(=肉体)・受(=感覚)・想(=想像)・行(ぎょう)(=心の作用)・識(=意識)です。

「お釈迦様の仏教」では、諸行無常を唱えていました。

この世の現実存在はすべて、形もも本質も常に流動変化するものという世界観です。

一方、『般若経』の「空」とは、「すべての基本的存在要素には、そもそも実体がないのだから、それが生まれたり消えたり、汚れたり、きれいになったり、増えたり、減ったりしている(ように見える)のもすべて錯覚である」と考え、「常に流動変化する」とした諸行無常すら否定したといいます。(『別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した Kindle版』佐々木閑著より)

しかし、この世を構成している基本要素が存在せず、ただの虚構となると、要素と要素を結んでいた因果則も存在しないことになります。

それは、「お釈迦様の仏教」で唱えられている「業の因果則」(煩悩があるから生まれ変わる)という世界観も否定することになるので、この世の有り様が説明できなくなります。

『別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教』によれば、『般若経』は、世の中をそうした「因果則」ではなく、「もっと別の超越的な法則によって動いている」として、その「人智を超えた神秘の力、超越的な法則こそが『般若経』でいう『空』」であるとしたそうです。

「お釈迦様の仏教」は諸行無常を「空」とし、『般若経』は「神秘の力、超越的な法則」を「空」としたのです。

「神秘の力、超越的な法則」とは、ずいぶんとオカルトっぽい話になっていますね。

しかし、「業の因果則」を変更することでしか、在家を救う大乗仏教と、悟りを開く(業を断ち切る)には特別な修業が必要だという「お釈迦様の仏教」との矛盾を解消することはできなかったのです。

出家して特別な修行をせずとも、在家のままで善行に励めば、ブッダへの道を進むことが可能となる、ということにしないと、衆生救済の大乗仏教は成立しません。

『別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教』によれば、『般若経』は耳なし芳一にも出できたお経で、それ自体が神秘の力を持つ呪文であるとお経の中で宣言しています。

なあんだ、じゃあ、『般若心経』を採用している日本の仏教はみんなオカルトなんだ。

というふうに考えられるかもしれません。

ただ、『別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教』は、神秘というのは「世の中の現象の奥に、人智では説明不可能な力を感じ取る」ことであり、「神秘」と「迷信」は別のものであるとします。

たとえそれが科学的には、「プラシーボ」であろうが「暗示」であろうが、とにかく大きな力を信じて何かを成すことができるのなら、それは決して悪いことではないといいます。

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この記事ではぼかしましたが、実は『般若心経』の最後の4行を唱えよ、と書いてあるのです。

信じるものは救われる。

これは決して馬鹿にできないことですね。

つまり、自分の心の中に、神や仏がいる、ということかもしれません。

「色即是空」を深く解説

さて、本書は、若いサラリーマン、酒井理央を中心に、理恵子、ゆうこ、一といった若者が、スマイルアーチストの寒山もんじゅ宅で『般若心経』を考える話です。

理央の祖父の菩提寺の住職・拾得や、寺にスンでいる恵奈もストーリーに幅を持たせています。

『般若心経』の解釈は、前述のように「お釈迦様の仏教」と対比するほど深くは入り込んでいませんが、「空」は実体のないもの、という点は解説されています。

そこに実体を求めると、「苦」が生じるというのです。

たとえば、人に裏切られたら、どう思いますか。

いやですよね。

筋が通らないことは許せないし、具体的にそれで損害が出たら、法的に措置もしますよね。

ただ、般若心経は、「そういうことはありうる」と常に心しておくことを唱えているといいます。

要するに、「気にしない」ことが大切だといいます。

理央と寒山の会話からです。

「『親友は裏切らない』だったね」と寒山。
「はい」と理央。
「そう、それが間違いのもと。人は裏切ります」
「ええ、人は。でも親友はだめでしょ」
「だから裏切った人は親友じゃないんだよ。それを親友と思っていることが、心の窓を閉める可能性を秘めてるんだ」
「寂しいですね」
「寂しいけど、それが現実だ」
「文殊さんも、そう思って人と付き合っているんですか。この人は自分を裏切るかもしれないって」
「もちろんさ」
「ぐへっ」
「人は状況が変われば裏切ることもあると思っている。それが『空』ってことだ」

それは、いつも疑っているという意味ではありません。

人を信頼することは悪いことではないけれど、だからといって、人が自分を裏切らないとはいえない。

人の信頼に応えたいとは思うけれど、それに縛られると苦しくなる

このやりとり、なるほどなあと思いました。

私は、裏切ることも裏切られることも許したくありません

それを許したら、人間関係の根幹が崩れてしまう、と考えるからです。

しかし、般若心経はそもそも、「人間関係の根幹」自体を「空」と捉えているわけです。

般若心経には、こう書かれています。

私たちは、いろいろなことを気にしすぎなのです。気にすれば、そこから離れられません。離れないと他にある素晴らしい世界を知ることは出来ません。心を自在にしていきなさい。

悩み事がある方は、本書をご覧になってはいかがでしょうか。

以上、気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)は、大乗仏教の真髄と言われる般若心経の意味を漫画で解説、でした。

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