『知らないと損をする!国の制度をトコトン使う本』(KADOKAWA)は、敷居が高い、面倒と思われている国の制度をマンガで徹底解説した書籍です。情報を獲得したり手続きを踏んだりするのが少し面倒ですが、使えばこんなにお得なものはないという話です。
国民の権利として、国の制度を大いに使いましょう
昨年、新型コロナ対策として、国民に一律、特別定額給付金が支給されましたが、一部は申請方法がよく分からず出さなかった人々もあるといいます。
最初は耳を疑いましたが、テレビや新聞などマスメディアと離れていたら、たしかに知ることはないかもしれません。
何しろ国は、国民へのサービスを積極的に宣伝や啓蒙はしませんから。
ということで、今回ご紹介するのは、『知らないと損をする!国の制度をトコトン使う本』(清水京武著、東園子画、KADOKAWA)。
国の制度の使い方を解説しています。
非常にわかりにくい「国の制度」は、敷居が高い、面倒くさそう、と思われていますが、調べて使えるようになれば、こんなにお得なものはない、という話をマンガで徹底解説しています。
本書で説明されている国の制度は、国民・納税者が何もしないで自動的に享受できるわけではありません。
しかし、きちんと申告や申請を行えば受けられる制度を紹介しています。
国民は、みな納税者です。
かりに非課税や欠損申告者でも、間接税で徴税されています。
国民の権利として、国の制度を大いに使いましょう、という啓蒙書でもあります。
紹介されているのは誰でも受けることのできる制度ばかり
『知らないと損をする!国の制度をトコトン使う本』
国の制度は“使い倒すもの”。
税金払ってるのなら使わなきゃもったいない!病気で倒れた時…無職になった時…家賃が払えなくなった時…
知ってる人だけが得をする。#本 #給付金https://t.co/lNk7Q1sMhn pic.twitter.com/uRLDShVUG6— たこ焼き管理職@ふわとろ (@capricolog) July 31, 2018
本書は、医療、雇用、起業、出産・子育て、介護、住宅・引っ越しなど生活の様々な局面において、税金の控除や、様々な助成制度があることを教えてくれます。
ひとつのテーマについて、漫画と解説文書の2本立てで構成しています。
こいうった制度は、いちいち国の人が訪ねてきて説明してくれるわけではありません。
つまり、「知らないと損をする」のです。
そして、裏を返せば「知っている人は得をする」ということです。
たとえば、会社員が突然失業すれば、雇用保険の失業給付を受けます。
その場合、自分でやめた場合と会社が倒産した場合では給付の内容が異なりますし、その後も教育訓練給付などがあり再就職まで、手厚くと言うほどではありませんが、面倒見てくれます。
私は以前会社を退職した時、それをよく知らずに利用できなかったので、当時知っておけばなあと思いました。
入院した場合には、限度額認定証があれば、文字通り医療費の支払いは上限が設定されます。
本来、高額な医療費がかかると、高額医療費還付として後日一定額を超えた分は戻ってきますが、いったんは額面通り支払わなければなりません。
それが、限度額認定証によって、その「一定額」しか払わなくて良くなるのです。
その他、労災保険、障害年金、奨学金、不妊治療助成、公的介護保険、介護休業制度、住居確保給付、住宅ローン減税、リフォーム工事税控除などについて紹介しています。
ニュース番組や新聞報道などで、そうした新制度自体は報じられます。
が、「どうせ自分には関係ないのだろう」「どうせ手続きが面倒なのだろう」「どうせ申請しても助成を受けられる人はごく一部なのだろう」などと最初から諦めて、積極的に理解していないことが多いのではないでしょうか。
でも本書を読んでみると、誰しもどこかで必ずといっていいほど経験する局面で、きちんと手続きをすれば、誰でも受けることのできる制度ばかりです。
我が家は、医療費控除は常連です。
私の妻は、限度額認定証を使って入院生活を送ったことがあります。
東京23区は、義務教育以下の月齢の子どもの医療費が無償です。
知ることが自分や家族の生活の質を変える
レビューを見ると、「でも個人事業主にはあまり役に立ちませんでした。逆に会社員がどれだけ守られているかがわかりました。」(Amazonより)など、サラリーマンをターゲットにしているように思いました。
もちろん、それは、サラリーマンだけが適用になる制度が記載してあるからで、個人事業主に全く意味がないということではありません。
たとえば、倒産などによって賃金が支払われないまま退職の労働者に対して、国が8割立替払いしてくれる未払賃金立替払制度が紹介されています。
住宅ローン減税は、新築は勿論だが、リフォームや増築にも適用。毎年の住宅ローン残高の1%が10年間、所得税から控除される制度です。
こうした制度は、もちろん単純に「知らない」場合もありますが、あえて「知ろうとしない」場合もあります。
つまり、国にあまり頼ってはいけないという「美学」の持ち主がいるということです。
生き方として否定はしません。
が、もし、そのサービスを受けることで、自分にとって自由になる時間やお金が増えれば、生活の質が変わり、自分だけでなく家族の幸福にもつながり得る、ということも考えていただきたいのです。
とくに、介護の時に使える制度は、誰でも通る人生の道順として、知っておくべきことではないでしょうか。
本書は、まんがで描かれているので、肩肘張らずに読むことができます。
そこで気になる制度があれば、さらに自分で詳しく調べれるきっかけ本とすればよいのではないかと思います。
以上、『知らないと損をする!国の制度をトコトン使う本』(KADOKAWA)は敷居が高い、面倒と思われている国の制度をマンガで徹底解説、でした。
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