裁判官ストーカーといわれたサーバー不正アクセス事件(2010年)を漫画化したのは、『実録!女たちの猟奇事件簿』(ぶんか社)です。好意を抱いていた男性弁護士が、自分の交際申し出を断ったのは「なにかの間違い」と追い続けた自惚れによる犯行でした。
『裁判官ストーカー』というタイトルで安武わたるさんによって漫画化されたのは、2010年に話題になった不正アクセス禁止法違反事件と思われます。
『実録!女たちの猟奇事件簿』(ぶんか社)に収載されています。
テレビ番組制作会社勤務の女性(23)が、交際を申し込んだのに断られたと、男性裁判官のメールサーバーに不正に侵入。
内容を盗み見たという事件です。
どんなサーバーでも一定のセキュリティは設定されているはずなので、それをどうやって突破したのか、また突破するほどお熱を上げたのかと、事件当時は話題になり、今もネットには、記事が残っています。
毎日新聞 2010年6月25日
好意を抱いていた男性弁護士のメールを盗み見たとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは25日、東京都N区、契約社員、I容疑者(23)を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕したと発表した。I容疑者は容疑を認め「大好きだったので、もっと知りたいと思いメールを盗み見た」と供述しているという。
逮捕容疑は、09年12月21日、契約社員として勤務していたテレビT子会社のパソコンから、20代後半の弁護士=現在は裁判官=のIDとパスワードを無断で使用し、メールを管理する米国の会社のサーバーに不正アクセスしたとしている。
警視庁によると、I容疑者は弁護士が裁判官に転職する前に所属していた都内の弁護士事務所で09年1~2月にアルバイトをしており、弁護士に好意を持ち交際を求めたが断られた。勤務中に入手した弁護士のIDとパスワードを使い、弁護士の交際相手になりすまし、09年10~11月に弁護士に「会いたい」 などとメール11通を送っていた。
一途な恋心が過ちを犯した、とおもいきや、その人が好きというよりも、たんに、自分のようなステキな女性の交際申し込みを断るなんて、なにかの間違いだ、という思い上がりが犯行の動機だったようです。
少なくとも、本作ではそう描かれています。
女性は、アメーバブログでブログを開設していましたが、事件でアクセスが急上昇。
顔が見たいという連中に注目を集めたようです。
で、一応(笑)、私も今回の記事執筆にあたって、参考になるかもしれないと画像を見ました。
うーん。
世間の男どもがこぞって振り返る……というほどのものでもないですが、本人は、「自分てイケてる」感が思いっきり出ている印象です。
そのうち削除されるかもしれませんが、関心のある方は今のうち探してみては?
本書は2023年2月9日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
こんなにステキな私がフラれるのはなにかの間違い!?
本作の設定では、彼女の名前は池端七美。
本名もさらされちゃっていますが、この記事では漫画の設定通りにしましょう。
漫画は、事件のリアル再現ではなく、事件をもとにした創作と謳っていますから。
でもね、トップページで描かれている、彼女がほっぺにハートを付けた画像って、ネットに出回っていますから、明らかに冒頭の事件の女性を描いているんですけどね。
本作は、自分のルックスに自信満々な七美の独白から始まっています。
卒業後の進路は、モデルかCA(キャビンアテンダント)か女子アナね。
私、今現在も雑誌モデルしてるほど可愛いし、有名女子大入れたぐらい頭いいし、やっぱり女子アナが私に似合うと思うわ(ちゃんと養成スクールにも通ってたいるのよ)
でも、そう思っているのは本人だけで、現実は厳しい。
テレビ局は、片っ端から受けて、片っ端から不採用。
採用されたのは、テレビ局の子会社の契約社員だけでした。
友達の、「髪乱してはたらくなんて嫌。高収入の男をゲットするのが賢い」という話を、「イヤよ、そんな考え方」と、表向きは批判しているのですが、実は自分こそ物欲主義でした。
「私が望んでいるのは玉の輿じゃない。今の生活を維持したいだけ」という「違い」があるそうです。
で、具体的に「今の生活」ってどういうものかというと、ブランド品に流行の服、(最低でも)年1回の海外旅行。
「パパがさせてくれる生活以下はイヤッてだけよ」
うーん。それはパパが悪いな。
子供の頃から贅沢をさせると、そうなっちゃう。
よくいわれますが、子どもは少し貧乏なところで愛情だけはきちんと注ぐ、という環境がいちばん理想なんですね。
卒業間近に、友人に頼まれて、法律事務所でアルバイトすることになった池端七美。
そこで、いい男を見つけます。
田村英彦(28)。
「いい感じだなあ、田村さん。ここの人と結婚したら弁護士夫人だわ」
まあ、このくらいは普通の女性でも考えることですが、ここから先が振るっています。
「カレは、ハンサムじゃないけど誠実そう。浮気なんてしないわね、きっと。私が『好き』なんて言ったら、泣いて喜ぶかも」
この時点でだめでしょう。
何、マウントとっているのでしょうか。自分はステキだから、相手はありがたがって浮気もしない、ということですが、まあこれは妄想ですよね。
案の定、フラレます。
「付き合っている人がいるんで、ごめんね」
この事自体は本当だったのかもしれませんが、彼女が、弁護士にとって「素敵な人」だったら、そっちに走りますよね。
いや、彼女が告白しなくても、相手の方からいいよってきますよね。
告白されても、断られるというのは、とにかくダメなんですよ。
でも、自分はサイコーの女と思っている池端七美には、受け入れられない現実でした。
「なにかの間違いよ、アレは。だって、私はフラレたことないもの。私のこと、よく知ってくれれば、誤解もとれるはずよ、きっと」
好きになってもらえないのは「誤解」なんだそうです。
彼女は、裁判官になった男性に対して、弁護士事務所勤務中に入手した弁護士のIDとパスワードを使って交際相手になりすまし、09年10~11月に「会いたい」 などとメール11通を送りました。
「誰だよ、これ」
当然、こんなことをすれば逮捕されます。
不正アクセス禁止法および、ストーカー規制法の疑いで逮捕されました。
犯罪の影に毒親あり
まあね、別に殺したり怪我させたりしたわけではないし、違法薬物を使ったわけでもありませんが、ネット犯罪やストーカー規制を行うようになった現代では、法で裁かれてもやむなしですよね。
マジレスすれば、「卒業後の進路は、モデルかCA(キャビンアテンダント)か女子アナ」という時点でね。
なんでその職業なのか、というのがないですよね。
高収入で、自分のステキさを発揮できる、という理由かな。
でも、そういう仕事って、どうしても定年がありますよね。
普通のサラリーマンよりも、早い定年。
その時どうするのかとか、生活設計もなさそうですしね。
要は、おこちゃまなんですよね、すべてにおいて。
で、話は戻ってしまうけど、そうしてしまったのは、パパが甘やかして贅沢させたからだと。
結局、今回も「犯罪の影に毒親あり」でした。
さて、本作が収載されている『実録!女たちの猟奇事件簿』は、タイトル通り、女性が主犯、もしくは共犯となった凶悪猟奇事件を描いたストーリーです。
具体的な場所や発生年、容疑者の実名などは書かれていませんが、実際の事件を漫画化した実録物です。
その目次です。
1人目:セレブ妻
2人目:秋田子殺し母
3人目:中国人妻…
4人目:スナックママ
5人目:赤い自転車の女
6人目:歯科医嫁殺人
7人目:皇族詐称事件
8人目:埼玉女児虐待
9人目:介護殺人事件
10人目:代理ミュンヒハウゼン症候群事件
11人目:マリオネット殺人
12人目:ネットアイドル
13人目:父子保険金殺人
14人目:トリカブト事件
15人目:主婦連続殺人
16人目:悪魔祓い殺人
17人目:大阪姉妹餓死
18人目:裁判官ストーカー
19人目:女教師事件簿
20人目:千葉長男殺人事件
すでに、セレブ妻(新宿・渋谷エリートバラバラ殺人事件)と、トリカブト事件(本庄保険金殺人事件)、皇族詐称事件(有栖川宮詐欺事件)についてはご紹介しました。
興味深い事件がまだまだ収載されているので、機会を改めていずれご紹介できればと思います。
以上、裁判官ストーカーといわれたサーバー不正アクセス事件(2010年)を漫画化したのは、『実録!女たちの猟奇事件簿』(ぶんか社)、でした。
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