裏バイトレポート(鈴木キスズ著)は、「借金四百万円からはじめる裏副業」というサブタイトルが付いたグレーな何でも屋体験記

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裏バイトレポート(鈴木キスズ著)は、「借金四百万円からはじめる裏副業」というサブタイトルが付いたグレーな何でも屋体験記

裏バイトレポート(鈴木キスズ著)は、「借金四百万円からはじめる裏副業」というサブタイトルが付いたグレーな何でも屋体験記です。定職につかず、大学の奨学金の返済に迫られた著者が、「珍しい仕事」でネット検索してたどり着きました。

『裏バイトレポート: 借金四百万円からはじめる裏副業』は、鈴木キスズさんがKindle版初出で上梓しました。

いわゆるニートで、奨学金(旧育英会)の借金400万円。

本書が言うところの「人生が詰みそうになった若者」が、手を出した「裏バイト」。

といっても、著者は「闇」と「裏」は区別しており、著者が従事したのは、法的にグレーだったり倫理的に問題があったりする「裏」の“何でも屋”さんです。

2015年~2018年に従事した体験記をまとめたものです。

本書は2022年8月17日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

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便利屋には3種類ある

本書『裏バイトレポート: 借金四百万円からはじめる裏副業』の著者が言うには、便利屋には3種類あるそうです。

1.完全合法の仕事だけ請け負う便利屋
2.合法・違法の境目の仕事を中心に請け負う便利屋
3.違法の仕事だけを請け負う便利屋

著者が選んだのは、そのうちの「2」です。

タイトルには「裏」とあるので、3つのうちの中間なら「裏」ではなく「半身」では?なんて突っ込もうと思いましたが、「3」は「闇」なのだそうです。

著者は、「3」は選ばないことを勧めています。

そして、「2」についても、「何度も危険な目にあったので」会社の廃業を機に足を洗ったそうです。

なお、著者が仕事をした「グレーな便利屋」は、雇用契約ではなく、時給や日給などが保証された「アルバイト」「パート」とも違い、会社に登録して仕事があるときだけ請け負う、個人事業者としての請負契約だそうです。

そのくだりを読んだとき、私は昭和のドラマ『傷だらけの天使』の綾部情報社という探偵事務所を思い出しました。

ホーンユキさんが、昭和の名作ドラマ『傷だらけの天使』について語ったのは『昭和の不思議101』 (オーシャンブックス) です
ホーンユキさんが昭和の名作ドラマ『傷だらけの天使』について語ったのは『昭和の不思議101』 です。未解決事件、都市伝説、猟奇犯罪、戦後GHQの陰謀論、有名人死の真相などを特集する『2019年夏の男祭号』のテーマは『暴力と女』です。

事務所には、代表(岸田今日子)と番頭格社員(岸田森)と女性秘書(ホーン・ユキ)だけが「常勤」で、仕事があるときだけ調査員たち(萩原健一、水谷豊ら)に発注される仕組みです。

月給も失業保険もありません。

仕事の成果報酬だけ。

この頃は、「グレーな何でも屋」を、探偵事務所が兼ねていたのかもしれませんね。

いや、綾部情報社は「闇」か。

それはともかくとして、著者の自己紹介によると、著者は母子家庭で貧困家庭。

そして私立大学中退。

恋人も職も貯金もなし。

それまではニートで、短期バイトをたまにしていたものの、奨学金の返済猶予期間が切れたのをキッカケに、切羽詰まって「グレーな何でも屋」である「便利屋エックス」で「裏バイト」をはじめます。

といっても、当初ネットで検索した「裏バイト掲示板」では、非合法な仕事ばかり。

著者は一計を案じ、「珍しい仕事」で検索をかけ、「便利屋エックス」を見つけたそうです。

そこで、2015年~2018年、夜中の清掃アルバイトと並行して、「裏バイト」として便利屋エックスの仕事を請けていたといいます。

私は、裏バイトは合法の範囲内の仕事であると考えています。
合法だけれど、違法になるかもしれない。
グレーゾーンに踏み込んでいるのが裏バイト。

だそうです。

仕事があるときだけ発注されるので安定はしないけれど、仕事の拘束時間で計算した時給換算では「割がいい」とか。

Amazonの販売ページでは、仕事の概要がわかる第2章の目次が明らかになっています。

手紙を投函するだけのお仕事
文章を手書きに直すお仕事
封書を「手渡す」お仕事
特定の人物に成りすますお仕事
電話で「ある事」を伝えるだけのお仕事
やきもちを焼かせる仕事
「サイン」を貰うだけのお仕事
ひとりで旅行に行くお仕事
座っているだけのお仕事

こういう「求人」、2022年の今も見かけますよね。

私は、Facebookの、メンバーが約1万人のある副業紹介グループの投稿で、毎日のようにこれらの文言を見ます。

どんな内容かはメッセンジャーで教えるからメッセージくれ、と必ず書かれています。

本書を読んで、その内容がどういうものかわかりました。

みんな、「だけのお仕事」と書かれていますが、これは嘘ではないのです。

ただし、その「だけ」がいろいろ大変なんですね(笑)

本書にはグレーとありますが、完全にシロのものもありますよ。

たとえば、この中には、私が劇団にいた時に経験した仕事もありました。

劇団というのは芸能事務所でもあるので、端役とかエキストラのマネジメントも行っていて、テレビや映画の「役者」仕事以外にも、「頭数」の必要な仕事で呼ばれることがあるのです。

今は、「何でも屋」も競合しているんだな、と思いました。

でも、今回は中身のネタバレはやめておきましょう。

まあ、劇団の仕事がない劇団員とか、探偵会社の調査員などが、食べるために他のバイトよりも緊張する時間を過ごしているんですね。

裏バイトは「闇バイト」とは違うが潮時はある

本書は、裏バイトの探し方、「闇」と「裏」の見分け方なども具体的に教示しています。

そして、もし「闇」であるとわかったら、すぐに見切りをつけることを勧めています。

恒常的に仕事があり、1回の報酬が高い。

そのようなバイトは闇職と考えて間違いないそうです。

闇職の雇用主は、違法行為に手を染める集団なので、脅迫されてもおかしくない。

たとえば、仕事のミスにツケ入れられるおそれがあると警鐘を乱打しています。

特定の組織や集団丸抱えであると警告もしています。

一方、裏バイトは、1回で数千円~数万円。

発注が不安定だと、月額ではそれほど割がいいとは思えないかもしれません。

しかし、著者曰く、先程書いたように報酬を時給に直すと割がいいそうです。

私の若い頃、何の取り柄もなくできる日給のアルバイトというと、製缶工場とか製本工場などの単純作業員でしたが、正直1日の作業を終えるまでが苦痛でした。

朝から夕方、残業があると夜のベルが鳴るまで働き詰め。

「はやく3時の休憩にならないかな」「早く夜食休憩にならないかな」

なんて、その前の休憩明け5分ぐらい(笑)で、すぐに思っていました。

体力消耗というより、そのストレスだと思うのですが、何日か働くと必ず熱を出していました。

考えてみれば、人生の時間は有限です。

時間の苦痛な切り売りなんて、若いモラトリアムの時期にもったいないことをしたなと思いました。

それからすれば、裏バイトは多くが数分~数時間ぐらいの勝負なので、緊張はしても時間の切り売りを苦痛に感じることはないと思います。

もっとも、グレーゾーンに踏み込む以上、緊張することはあるそうです。

だから、発注元の便利屋エックスが廃業を決めたとき、まだ続ける気なら同業他社を紹介すると社長にいわれても、著者はそれを求めなかったそうです。

ま、潮時、というものもある仕事なんでしょうね。

著者は、たとえば家族のある人なども、裏バイトは勧めていません。

いずれにしても、論より証拠で、興味のある方はまず本書をお読みください。

ネットでお目にかかる、何だか楽そうな、でも得体の知れない不安も感じる仕事について、その内容や業界の実体が明らかになりますから。

以上、裏バイトレポート(鈴木キスズ著)は、「借金四百万円からはじめる裏副業」というサブタイトルが付いたグレーな何でも屋体験記、でした。

裏バイトレポート: 借金四百万円からはじめる裏副業 - 鈴木 キスズ
裏バイトレポート: 借金四百万円からはじめる裏副業 – 鈴木 キスズ

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