解体屋ゲン 1~98巻(漫画/石井さだよし、原作/星野茂樹、電書バト)は、様々な現場を経験しながら日本一の解体屋を目指す話です。一般の人にはあまり知られていない、リアルな日本の建築業界の抱える問題、労働者たちの現状を作中に取り入れています。
『解体屋ゲン』は、原作が星野茂樹さん、漫画を石井さだよしさんが描き、芳文社発行の週刊漫画誌『週刊漫画TIMES』にて連載中の漫画です。
2023年2月28日現在、98巻がKindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
かつては、世界を股にかけて活躍する爆破解体のエキスパートだった、ゲンこと朝倉巌。
婚約者の事故もあり、帰国後は孫請け解体業者「朝倉工務店」でやる気を失ったように、何となく暮らしていました。
そこへ、大手ゼネコンの三友重機リース社員・大月慶子が持ち込んだ爆破解体の仕事をきっかけに、世界を股にかけて活躍していた爆破解体技師としての情熱を取り戻し、困難な仕事にものぞむようになります。
途中、慶子の尽力で、三友グループの資本が入った新会社「三友爆破株式会社」になったり、他社を吸収合併したりもありましたが、建設業界に根強く残る談合などの因習に囚われない仕事をしたいからと、改めて一本独鈷の解体屋「五友(いつとも)爆破株式会社」として再出発しています。
では、三友重機リースの大月慶子とも縁が切れてしまったのかというと、そちらはまた別で、彼女とは結婚して子供も生まれました。
大月慶子は、エリートサラリーマンとの離婚歴がありますが、ゲンこと朝倉巌は、そういう過去のことは目をつぶり相思相愛の関係です。
掲載中の『週刊漫画TIMES』は、かつて『妻、小学生になる』をご紹介したことがあります。
その頃は、正直『妻、小学生になる』目当てで同誌を読んでいましたが、『解体屋ゲン』も読んでいくうちにどんどん面白くなっていきました。
では、第1話から見ていきましょう。
世界を股にかける爆破解体専門家が爆破したものは……
個人事業の孫請け解体屋、朝倉工務店のゲンこと朝倉巌。
真っ赤なスーツを着た、大手ゼネコンの三友重機リース社員・大月慶子が、ある解体の仕事を持ってきます。
依頼主は鉄工所の隣で個人病院を経営。
鉄工所を600万円で解体してほしいとのことです。
しかし、工場解体以前に、病院のほうが手抜き工事で、雨水が基礎まで染みているのを見てしまいました。
鉄格子から病室を除くと、患者が身動き取れないようにされています。
ゲンは、オーナーに病院の建て替えを進言しますが、オーナーは「頼んだ解体だけを黙ってヤッてろ」とそっけない。
「わかったよ。その代わり、工事の前日から人払いしてくれ。入院患者も他の病院へ移すんだ」
「バカな、一体いくらかかると思ってるんだ」
「その条件を飲むなら、1週間で全部終わらせてやる。嫌なら俺は降りる」
「フッ、いいだろう。その代わり1週間で片付かなかったら代金は払わんぞ」
話が終わり、ゲン帰ろうとすると、通せんぼして、「工場は渡さない」と頑張る主婦がいました。
自分の夫は、この病院に殺された。この病院は、1度入院したらでてこれない人がたくさんいるというのです。
1週間後、爆破解体の日に、病院オーナーを呼び出します。
「爆破解体なんて、めったに見られるもんじゃない。せっかくだからあんたに押してもらおうと思ってさ」
「ほう、そいつは面白そうだな」
オーナーがボタンを押すと、爆破解体されたのは、工場の方ではなく病院の方でした。
「あれから調べさせてもらったよ。あんた、入院患者を薬漬けにしてるんだってな。今度の爆破だって、国の補助金目当てなんだろ。あんたの目論見は、俺がふっとばしてやったよ」
もちろん、勝手に爆破解体した以上、ゲンは責任を取るつもりでした。
大月慶子に、刑務所にはエロ本を差し入れろと言います。
しかし、「まあ見てなさいって」と、大月慶子は、患者と家族による告訴状をオーナーに突きつけます。
「あんた、俺がこうするの読んでたのか」と、大月慶子に尋ねるゲン。
発注した火薬を聞いた時点で、病院爆破に感づいたのです。
「イワオ・アサクラ。世界を股にかける爆破解体専門家。それが5年前に突然姿を消しているわね。なぜ?」
「あんたにゃ、関係ない話だ」
「これから関係するかもよ」
と、大月慶子は資材請求書を出します。
「650万?経費は別だろ?」
「いくらでも使っていいなんて言ってないわ」
「んなバカな。赤字じゃねーか。やっぱり美人の持ってくるウマイ話にゃ乗るんじゃなかったぜ」
というのが第1話です。
気になる慶子の“モテモテ”
結局、さんざん引っ張って、第15巻でゲンと大月慶子は結婚するのですが、大月慶子のことは、元夫、元同僚が狙っていて、元同僚にはプロポーズされるし、元夫とは仕事を請け負って食事までするなど、もしそれが現実なら、ちと嫌だなというタイプです(笑)
大月慶子も、ゲンさんが本当に好きなら、もう少し分別ある行動を取らないといけませんね。
物語中、慶子の父親も、バツイチで歳も取っていて、もらってくれてありがとうの立場と言ってましたが、1回失敗している人がお盛んだと、やっぱり不安になりますよね。
まあね、すべてがそうだと決めつけるわけではありませんが、仕事をバリバリする女性というのは、たぶんすべてにおいて自分の欲求がすごく強い人ではないかなと思います。
だから、自分に気がある相手が近づくことは、快感なんです。
たとえ元夫でも、求めてくれるならという潜在意識が働くのでしょう。
仏教でいうと、渇愛という煩悩の一つですね。
「そんなもの、物語として恋の鞘当てを作った方が盛り上がるだけだろ」
と思いますか。
いえいえ、キャラクターというのは、たとえ最初は創作でも、ストーリーを進めていくうちに、自分で転がっていくものなんです。
生命力をもってしまうんですよ。
不思議なものです。
昔の読み物は、男性の方がモテモテだったんですが、昭和の末期、トレンディドラマが流行するあたりから、どちらかというと女性の方が主導権を握るようになってきましたね。
ということで、全98巻。かなり読み応えがありますが、私は一気に読みました(笑)
みなさんも、休み休みでよいので、いかがですか。
以上、解体屋ゲン 1~98巻(漫画/石井さだよし、原作/星野茂樹、電書バト)は、様々な現場を経験しながら日本一の解体屋を目指す話、でした。
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