論破王とされるひろゆきさんを論破したと“注目の人”となった、米山隆一衆議院議員の寄稿が『実話BUNKAタブー2024年3月号』に掲載されています。「ひろゆきさんのは議論ではなく口喧嘩」として、その「勝ち方」を解説しながらも、「口喧嘩が強くても何の役にもたたない」と、その手法自体を否定しています。
昨年11月に、立憲民主党の米山隆一衆院議員と、「ひろゆき」こと西村博之さんが、健康保険組合の課題や人口減少に関する政策などについて議論しました。
その中で、地方の医師不足問題や、健康保険組合の統合の必要性について、米山隆一衆院議員が提言しました。
それに対して、ひろゆきさんは、市町村が健康保険組合を運営する実態について疑問を呈しましたが、米山隆一衆院議員は、ひろゆきさんの誤りを指摘し、保険料率が地域によって異なることや、国民健康保険のサービスが地域によって変わることを説明しました。
このやり取りは動画として公開され、SNS上で拡散され、論破王が論破されたとの話題になりました。
が、米山隆一衆院議員は「論破」に興味はなく、事実と論理に基づいた正しい発信に努めるべきだと述べました。
ひろゆきさんの「論破の手法」については、このブログでも以前、批判的な記事を書きました。
「年収600万円で、国から受けるサービスと払う税金同額になる。サラリーマン平均年収400万とかだから、ほとんどの日本人は国に食わせてもらっているお荷物」というデタラメな話にツッコミを入れた上で、専門家が分析したひろゆきさんの手法の特徴を指摘しました。
「年収600万円で国から受けるサービスと払う税金同額になる。サラリーマン平均年収400万とかだからほとんどの日本人は国に食わせてもらっているお荷物」と発言する「#論破王」ひろゆきさん。まさかあなたは、「そのとおり」と思っていないでしょうね。思っているならこちら⇒ https://t.co/uZkivs1f71 pic.twitter.com/9KGwhHtMAb
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) February 11, 2022
かりにひろゆきさんが「論破」したとしても、それはひろゆきさんの方が博学で優れているとか、無謬だからというわけではありません。
簡単に述べると、人間の知識も感情も弱点があり、そこをついているだけに過ぎないのです。
勝ち負けの視点では、一見相手をやり込めたように見えるかもしれなくても、それが必要な真実へのアプローチになっているかどうかはまた別の話です。
相手を口先でやり込めたいならそれでいいかもしれませんが、真面目に話をして、相手に理解してもらったり、啓蒙したり、真偽をきわめたり、相手と納得のできる合意に到達したり、といったときに求められる手法ではありません。
そんな内容のことを書きましたが、今回の米山隆一さんの『実話BUNKAタブー2024年3月号』に掲載されている寄稿も、やはりそのような結論です。
ひろゆきさんのは口喧嘩、真似してはいけない
米山隆一さんは、ひろゆきさんがなぜ人気があるのかについて、「偉そうな人(政治家や専門家)を馬鹿にするのは楽しい」という衆生の薄暗い欲求を具現化したから、と分析しています。
「世の中の問題に鋭い視点で切り込んでいる訳でも、他人から有意義な議論を引き出している訳でもありません。ただ単に眼の前の偉そうな人の言を混ぜっ返して馬鹿にし、冷笑して楽しんでいるだけです。」
衆生は、権力を失墜させる「口喧嘩」を楽しんでいるが、まるで「口喧嘩」をした人が正当に「討論」に勝ったような勘違いをシてしまう。
しかし、メディアはそれを正しく伝えないことで、ひろゆきさんを持ち上げ「論破王」を演出してしまったというのです。
米山隆一さんは、口喧嘩に勝つ秘訣を挙げています。
1.偉い人や専門家を相手にしてもひるまない
2.口喧嘩のテクニックを蓄積している
3.「2」のテクニックをタイムリーに展開できる
4.前提となる知識・論理をわかっている
米山隆一さんは、本来「4」が前提といいますが、ひろゆきさんは、知りもしないことに口を出して馬脚を現したということです。
米山隆一さんは、ひろゆさんがヤッているのは、議論ではなく「口喧嘩」のレベルであり、「お子さんたちは、まかりまちがっても、討論に強くなろうと思って、ひろゆき氏のマネをシてはいけません」と釘を刺しています。
見かけで真に受けないこと
これはたしかに、マスコミの責任も重いですよね。
専門家ではない人が、コメンテーターとして呼ばれて意見を言う。
「専門家」って、そんなに間口を広くとらえるものではありません。
たとえば、物理学者と言ったって、自分が論文を書いたテーマの専門家でしか無いのです。
宇宙物理学を研究している人が、素粒子論の専門家というわけではありません。
ましてや、物理学以外はシロートです。
そして、視聴者の著名人幻想も、改めるべきです。
視聴者は、「テレビに出ている人が言っているんだから」などと言って、それを真に受ける。
とくにネットメディアは、YouTubeやKindleなど、誰でも自由気ままにな言説をぶちまけることができる世界です。
人気者だから、話がうまいから、討論で優勢だから、といって信じるのではなく、自分で一次資料にあたるとか、こんな時代だからこそ、手っ取り早く答えを求めず、自分の頭を使って答えにたどり着くことを心がけたいものです。
ひろゆきさんファンの方々、幻想が壊れちゃったかな。
実話BUNKAタブー2024年3月号【電子普及版】 [雑誌] 実話BUNKAタブー【電子普及版】 – 実話BUNKAタブー編集部
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