超入門MMT(藤井聡著、エムディエヌコーポレーション)は、MMT(現代貨幣理論)についての基本的な内容が網羅されています。

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超入門MMT(藤井聡著、エムディエヌコーポレーション)は、MMT(現代貨幣理論)についての基本的な内容が網羅されています。

超入門MMT(藤井聡著、エムディエヌコーポレーション)は、MMT(現代貨幣理論)についての基本的な内容が網羅されています。貨幣は債務と債権の記録、スペンディングファースト、信用創造、税金徴収は財源目的ではないなど斬新な定義が続々登場します。

『超入門MMT』は、藤井聡さんがエムディエヌコーポレーション(MdN)から上梓した書籍です。

MMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)についての初歩的な解説書です。

MMTとは、貨幣や金融の仕組みについての理論です。

円建ての国債を発行しても財政は破綻しない
インフレが起きない範囲で支出を行うべき
税は財源ではなく通貨を流通させたり調整したりするために存在する

といった内容です。

「政府は赤字、ハイパーインフレが起こるかもしれない。財源の税収でやりくりすべき」という、財務省の考え方とは全く反対です。

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旧統一協会問題の影で……


旧統一協会問題が、連日メディアもネットもメインのテーマのようです。

重大な問題です。

しかし、あまりにも一辺倒なのは、実はこっちのニュースを隠したいから?という勘ぐりもしてしまいます。

医療といえば、厚生労働省の管轄。

人の命と健康にかかわる医療費に、財務省は算盤勘定で削る気満々です。

なぜそんなことをしたいのでしょうか。

プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化という目標を掲げているからです。

プライマリーバランス(PB)というのは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)の財源の話です。

それが税収で賄えているなら黒字。

公債(国債)で賄っているなら赤字というわけです。

財務省の公式サイトには、2021年度予算の一般会計歳入、つまり国家予算の財源106.6兆円の内訳は、

所得税17.5%(18.7兆円)
法人税8.4%(9.0兆円)
消費税19.0%(20.3兆円)
その他税収8.9%(9.5兆円)
その他収入5.2%(5.6兆円)
公債金40.9%(43.6兆円)

と記載されています。

つまり、半分近くは税収以外が財源になっており、もっとも割合が大きいのは「公債金」つまり国債なんです。

だから、日本は赤字だという。

それを黒字にするから、今度は医療までも緊縮財政にするという話です。

すでに緊縮財政といわれるようになってから30年。

この上さらに……いい加減にしろ、

と思ってもおかしくないのに、「それは仕方ない」と、物わかりが良くなっている国民がいます。

それは、

「日本の借金は1200兆円もある」
「国民一人当たり1千万も背負っている」
「借金を孫子の代まで残してはならない」

といった煽りを、私たちは何十年も受けてきたからです。

「だったら緊縮財政やむなしか」
「だから消費税の増税も仕方ないか」

そんなふうに考えてしまうのでしょう。

しかし、先日のカリンゴンさんの書籍でもご紹介したように、

MMT(現代貨幣理論)って何?(カリンゴン著、Kindle版)は、MMTを啓蒙するYouTuberカリンゴンさんが動画を文字に起こした
MMT(現代貨幣理論)って何?(カリンゴン著、Kindle版)は、MMTを啓蒙するYouTuberカリンゴンさんが動画を文字に起こしています。自国建て通貨は破綻しない、政府の負債は国民の資産など、既存の知識を覆す解説を分かりやすく行っています。

国が国債を発行して、公共事業を行ったり公務員に給料を支払ったりしたら、業者や公務員だけでなく、まわりまわって個人や企業にオカネが回ります。

「政府の借金は国民の資産」

というのは、もう何度も書きました。

ですから、国民のためを考えるなら、政府はもっとお金を出してもかまわないのです。

「日銀は政府の子会社」論

本書『超入門MMT』は、Modern Monetary Theory=現代貨幣理論について説明されています。

その一言で、本書の紹介は済んでしまいます(笑)

といっても、内容は新書判の中にみっちり。

つまり、事細かに解説しなければならないほど、まだまだMMTは誤解やデマが多いんでしょうね。

私からすると不思議です。

  • スペンディングファーストで、
  • 供給力が許す限り(急激なインフレにならない範囲で)財政出動(政府が市中にお金をだすこと)を行え、
  • 円は自国建て通貨だから破綻しない
  • オカネは現金は一部で多くは「信用創造」で成立している

ということですよね。

なぜ気に食わないのでしょう。

おカネを出しすぎたら、国の財政が破綻してしまうじゃないか、ということですか。

藤井聡さんは本書で、財務省が「円は、自国建て通貨だから破綻しない」と述べていることを紹介していますよ。

政府が円を管理しているのに、どうして円が破綻するのか、という話です。

いや、藤井聡さんの独断ではありません。

ちゃんと財務省の公式サイトにそう説明されています。

……というと、思い出すのは、亡くなった安倍晋三元総理が、「日銀は政府の子会社」といったことが炎上した出来事です。

安倍晋三元総理が、「日銀は政府の子会社」と発言したことが問題になりましたが、私は巷間とは少し違う意味で疑問に思いました
安倍晋三元総理が、「日銀は政府の子会社」と発言したことが問題になりましたが、私は巷間とは少し違う意味で疑問に思いました。日銀は子会社だから借金しても返さなくていいと積極財政を唱えるなら、なぜ安倍サンは総理在任中に消費税を2度も増税したのでしょうか。

「政府にナンボ借金があっても、日銀は子会社だから心配ない」という話が炎上したんでしたね。

物議は醸しましたが、真偽という点では、私はどうしてそれが問題発言なのかわかりませんでした。

ま、許可法人で「会社」ではないから子会社は厳密に言うと違いますけどね。

藤井聡さんもそれを解説しています。

たとえば、日本銀行の、株にあたる出資証券は、政府が55%を持っています。

買い占めたのではなく、そういう決まりなのです。

日本銀行法第八条 日本銀行の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資による一億円とする。
2 前項の日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない。

これを「子会社」と言わずになんと呼んだらいいのでしょうか。

認可法人で、株主総会も行われません。

経営は、内閣が任命し国会で承認された人が就任し、日本銀行法に則って行われます。

日銀は利益を上げるための組織ではなく、出した利益は特別な法律がない限り、国庫納付金として政府に収められ、出資証券の配当も決まっています。

たとえば、日銀が国債を買い取って、利息という利益を政府から得ても、それはそのまま政府にお返しします。

いうまでもなく、私たちは日本銀行に口座は作れません。

つまり、政府のためだけにある銀行です。

むしろ、子会社というより統合政府(政府と一体となっている組織という意味)というべきです。

債務返済のための自国通貨発行額に制約を受けず、日銀は政府が発行した国債の面倒を見て、かつ利息もチャラになるのですから、破綻するはずがないのです。

後先になりましたが、本書の目次をご紹介します。

第1章 どうしてMMTは話題になるの?
日本はホントに「借金地獄」なの?
日本の財政評価方法は異常なの
緊縮財政ってなに?積極財政ってなに?
第2章 そもそもオカネ(貨幣)ってなに?
財布に入っている一万円札ってなに?
最初のオカネは「政府が使った」の?
銀行の預金はいったいどういうオカネなの?
「預金貨幣」はどうやって生まれるの?
貨幣とは貸借関係の記録なの?
金と交換できるというオカネのイメージはもう古い

「信用創造」や「万年筆マネー」についても説明されていますが、それは前掲のカリンゴンさんの書籍ですでにご説明しています。

つまり、銀行は手持ちのオカネがなくても、通帳にお金を貸し出したと金額を記入できるんでしたね。

そうやって市中のオカネは増える。

つまり、政府なり、企業や個人なりがオカネを借りることで、市中のお金は増えていくのです。

スペンディングファーストと税金の役割

MMTのもうひとつの大きな特徴は、スペンディングファーストです。

MTTにおけるスペンディングファーストというのは、一般に、財源ありきではなく支出するという意味です。

これは厳密に言うと、税収確定前に予算が決まる、というより、そもそも国債発行よりも支出が先という意味なんですよね。

とにかくここでいいたいのは、選挙で新しい政策を公約すると、「財源は?」なんていわれたり、適切な予算の決定や使い方が問題になるような出来事があると、「我々の税金を無駄遣いするな……」というような批判が飛んたりしますよね。

要するに、国は税収で切り盛りされているという考えに基づいているのですが、そうじゃないんですよ、ということです。

上掲のように、財源に占める税収は半分しかありません。

では、MMTは税金をどう見ているのか。

一部には、「オカネをどんどん作れるのなら、税金いらないんじゃない?」という誤解もあります。

それはまさに、「国は税収で切り盛りされているという考え」そのものなんですが、

さすれば、税金は、私たちの経済にとってどんな意味を持っているのか。

『図解MMT現代貨幣理論の基盤』(シェイブテイル著、Kindle版)でご紹介したとおりです。

『図解MMT現代貨幣理論の基盤』(シェイブテイル著、Kindle版)は、話題のMMT(Modern Monetary Theory)について解説
『図解MMT現代貨幣理論の基盤』(シェイブテイル著、Kindle版)は、話題のMMT(Modern Monetary Theory)について解説した書籍です。これまでの経済学説をひっくり返すような指摘に対して、誤解やデマに基づいた反論は少なくありませんが、本書を読めばそれらも解決です。

・市中のお金が多くなりすぎてインフレになったら税金で回収する(インフレ抑制)
・金持ちほど税金で回収する累進課税によって、富裕層と中流層・貧困層との格差を広げないようにする(格差の是正)
・納税制度によって貨幣に価値を与える
・遊興や嗜好品に課税することで、社会の秩序や国民の生活をコントロールする

といった、社会の方向性をコントロールするためのもの、というのがMMTの立場です。

インフレ率2%までは積極財政が急務


藤井聡さんが心配しているのは、日本だけが円高デフレで、コロナ対策もゴテゴテにまわり、今や日本は「後進国化」しているという現実です。

緊縮財政でなければ、災害対策ももっとできたじゃないか、という意見です。


まあ、日本共産党のように、「(絶局財政というのは)手法が違う(笑)」とコバカにしているような物言いもありますし、


それ以前に、自然破壊はとにかくけしからん、という意見もあります。

ただやはり、ど底辺の一庶民としていわせてもらえれば、自分の懐も含めて市中にもっとオカネがまわれば、物が買えるだけでなく精神的にも落ち着くと思います。

コロナ対策も、もう少し安心できます。

1980年代中頃のバブル時代を描いたコカ・コーラのCMは、今も人気ですが、それはオカネが今より自由に使えたから。

『I feel Coke』が流れるコカ・コーラのCMは今もネットで語り継がれる秀逸CMですが、出演タレントは今どうしているのでしょう
『I feel Coke』が流れるコカ・コーラのCMは今もネットで語り継がれる秀逸CMですが、出演タレントは今どうしているのでしょう。それをまとめた動画がYoutubeにアップされていたのでシェアします。それとともにコカ・コーラのCMの歴史も振り返ってみます。

緊縮財政ですと、やっぱり社会は暗くなり、人は財布も心も硬く縮こまってしまうのです。

政府は、「インフレ率2%」という具体的な数字を出しているのですから、

岸田文雄総理は、26日の政府答弁で「MMTは採用しない」と述べたことが話題なっています。では、その答弁は実態に即しているか
岸田文雄総理は、26日の政府答弁で「MMTは採用しない」と述べたことが話題なっています。しかし、その答弁自体正しいのか。MMTは現代貨幣理「理論」であり、「政策」や「イデオロギー」は、それをいかなる価値に使うかという話で全く別ものだからです。

せめてそこまでは積極財政であってもいいのではないかと思います。

山本太郎さんのように、試算をしている人もいるのですから。

山本太郎さんは、国民に一律10万円毎月給付を行うべきと根拠を以て主張しますが、それは弱者不要論の破綻も教えてくれています
山本太郎さんは、国民に一律10万円毎月給付を行うべきと根拠を以て主張しますが、それは弱者不要論の破綻を教えてくれています。高齢者や障碍者に「税金を使うのは金をドブに捨てるようなものだ」という非人権的論陣は経済的にも誤っているのです。

みなさんは、いかが思われますか。

以上、超入門MMT(藤井聡著、エムディエヌコーポレーション)は、MMT(現代貨幣理論)についての基本的な内容が網羅されています。でした。

超入門MMT (MdN新書) - 藤井 聡
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