迷信ザ・ワールド【かきおろし漫画付】(藪犬小夏著、ぶんか社)は、国内外に広まっている迷信をストーリー漫画で紹介しています。「夜にツメを切ると親の死に目に会えない」、「墓場で転ぶと片足を持っていかれる」など、聞いたことありませんか。
『迷信ザ・ワールド【かきおろし漫画付】』は、藪犬小夏さんが漫画を描き、ぶんか社から上梓しています。
『本当にあった笑える話』というシリーズ名がついています。
国内外の迷信を、ストーリー漫画の中で紹介する構成です。
この記事は、Kindle版をもとにご紹介しています。
Amazonの販売ページには、「夜にツメを切ると親の死に目に会えない」「墓場で転ぶと片足を持っていかれる」といった迷信が例示されています。
俗信のうち、論理的、物理的な根拠もなく、かつ一般には社会生活上実害を及ぼし、道徳に反するものをいいます。
迷信とは、道理のないことを頑なに信じることです。
迷信は、変だなと思っても昔からいわれていたものだから、「火のないところに煙は立たず」と考えてしまい、積極的に信じているわけではないけれど、つい言われたとおりに避けてしまうということが少なくありません。
それ自体が、大変な機会の損失であり、また思考停止でもあります。
本書によって、「ああ、これは迷信だったのか」と、気づくものもあるかもしれません。
本書は2022年12月30日現在、KindleUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
国境を超える「親の死に目に会えない」迷信
本書は全12章で、各章『~についての迷信』というテーマがついています。
第1章は、『タイの迷信』。
本書によると、「よる、爪を切ると親の死に目に会えない」というのは同じだそうです。
ほかにもタイでは、爪や髪を切るのに、いろいろな縛りがあるとか。
たとえば、曜日ごとに「髪を切ってはいけない日」「爪を切ってはいけない日」があるそうです。
本書によると、髪を切ってはいけない日は火曜と水曜、爪は火木土はだめだそうです。
それ以外には、ワンプラの日というのがあるとか。
ほぼ週に1度あるタイの安息日です。
その戎を破ると、金運ダウン、健康運ダウン、オーラがなくなる、悩みが増えて人生困難になるなど、運気が落ちるそうです。
タイの人たちは、信心深いので仏様を大切にし、迷信も多いそうです。
ほかには、出掛けにヤモリがなくと、出かけるのをやめるとか、犬が吠えるのが聞こえるといえに誰か来るとか、ほかにも、食べながら歌うと年上の恋人ができるとか、コブラが家に入るとかそせくに不幸をもたらすとか。
いや、コブラは迷信以前に、そんなのが家に入ってきたら大変でしょう。
生まれてきた赤ちゃんを、可愛いとも言いません。
言うと、悪魔に目をつけられるので、「みにくい豚みたい」なんて言うそうです。
誤解のないように書いておくと、仏教だから迷信が多いというのは違いますからね。
『池上彰と考える、仏教って何ですか?』(池上彰著、飛鳥新社)など、これまでご紹介した仏教の書籍は、少なくともお釈迦様の仏教に迷信は入り込まないことはご紹介しました。
お釈迦様の仏教、大乗仏教、いずれも、神様という存在は前提としておらず、物事はすべて、原因があって結果がある、としています。
もっとも、日本にも、「親の死に目に会えない」迷信はたくさんあります。
霊柩車を見たら、親指を隠さないと……
手振の水をかけられると……
足袋を履いて寝ると……
私が子供の頃は、「足袋」ではなく「靴下」でした。
でも、寒い日は靴下はいたほうがいいですよ、体冷えないから。
あと、左右の眉毛が続いていても、親の縁が薄いというのがありましたね。
これは、迷信というより人相か。
ま、エビデンスがなければ占いも迷信ですけどね。
こんな感じで、国内外の迷信が次々登場する構成です。
迷信と信仰は違う
迷信の話をすると、「まあ、鰯の頭も信心からだから」という人はいますが、迷信と信仰が別のものだということは、以前ご紹介しました。
『別冊NHK100分de名著集中講義大乗仏教こうしてブッダの教えは変容した』(佐々木閑著、NHK出版)には、こう書かれています。
一方の神秘とは、世の中の現象の奥に、人智では説明不可能な力を感じ取ることです。たとえば重病で一週間の命と言われた人が、毎日お経をとなえていたところ、半年以上生きながらえて娘の結婚式に出席して、その翌日に亡くなったとしましょう。
お経に病を治す力があるかどうかは誰にもわかりませんが、この時、お経がその人にとって何らかの心の支えとなったのは確かです。 そこに人智を超えた不思議な力を感じ取るならば、それはその人にとって神秘な力が存在していたということになるのです。
もちろん、「迷信」によって、ここに書かれているような「人智を超えた不思議な力を感じ取」り、自分ではできないだろうけれどこうありたい、と思うようなことが実現すれば何よりです。
ただ、実際には「迷信」の結論はその逆で、何かをすると「悪いことが起こる」んですね。
うっかり信じたら、萎縮させたり、諦めて機会を損失したりしてしまうのです。
こんなものは、百害あって一利なしだと思います。
たとえば、爪が伸びているのに気づいたのが夜だったら、「夜爪を切ったら親の死に目に会えない」と言われて、躊躇してしまう。
次の日の朝、身支度で時間がないから、結局爪を切らずに出社して、クライアントに指先を見られてしまう。
なんてことは、ありえますよね。
そんなことで、しかも自分が気づいていたのに、クライアントからの評価が下がったら、バカバカしいではないですか。
いや、クライアントが爪を気にするのがバカバカしいんじゃないですよ。
人は見た目が大事です。ハンサムかどうかではなく、身ぎれいにしているかどうかで判断されることはあるのです。
といっても、いったん信じてしまうと、なかなか抜け出せないので、困ったことです。
これは、たぶん自分の経験だけでなく親の刷り込みもあると思います。
小さいときから、「これこれをしたらこうなるからだめ」と言われると、できなくなってしまうんですね。
すくなくとも「ほかの行動」はむずかしいので、勇気を出して「行動しないでみる」ところから始めてはどうでしょうか。
以上、迷信ザ・ワールド【かきおろし漫画付】(藪犬小夏著、ぶんか社)は、国内外に広まっている迷信をストーリー漫画で紹介、でした。
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