香川・坂出3人殺害事件(2007年)を漫画化して収載したのは、まんが凶悪死刑囚大全獄(アンソロジー著、コアマガジン)。当時、被害者の父親を犯人と決めつけた偏向報道は、真犯人とともにテレビ局もその倫理観が問われることとなりました。
『まんが凶悪死刑囚大全獄』は、アンソロジーがコアマガジンから上梓しました。
コアコミックスというレーベルです。
本書は、死刑判決を受けた事件の経緯と、犯人の生き様を漫画(27作)にした読み物です。
登場人物は原則、実名でタイトルページや目次に出ています。
まあ、当時の報道にも、Wikipediaにも出ていますから、今更イニシャルにしても逆に描いたストーリーまでが嘘くさくなってしまうかもしれませんね。
それ以外に、『死刑確定囚冤罪リスト』『死刑制度に対する政治家たちの発言集』といった資料的価値のある読み物も収載されています。
元死刑囚は実名で
先日、秋葉原無差別殺傷事件(2008年、2022年7月26日刑執行)を漫画化して収載したのは『まんが凶悪死刑囚大全獄』(コアマガジン)という記事を公開しました。
今回も、その『まんが凶悪死刑囚大全獄』からです。
Amazonの販売ページには、目次が公開されています。
茨城県土浦市連続殺人事件
死刑確定囚冤罪リスト
名古屋市闇サイト殺人事件
死刑制度に対する政治家たちの発言集
宮城県石巻市3人殺傷事件※
須賀川(福島)の悪霊祓い殺人事件
福岡北九州監禁殺人事件
山梨キャンプ場殺人事件
大阪府東大阪市集団リンチ殺人事件
池袋通り魔殺人事件
大牟田4人殺害事件
東海阪神地区連続リンチ殺人事件
謎の魔性殺人SEX検証
岩手県洋野町母娘強盗殺害事件
下関通り魔事件
宇都宮監禁殺人事件※
横浜中華街店主銃殺事件
武富士弘前支店放火殺人事件
香川県坂出市3人殺害事件
フィリピン美女殺人事件
埼玉県本庄夫婦強盗殺人事件
秋葉原無差別殺傷事件
千葉「婚活サギ」連続不審死事件
埼玉愛犬家連続殺人事件
熊本医師宅強盗殺人事件
マブチモーター社長宅放火殺人事件
連続強盗殺人犯
高岡市組長夫婦射殺事件
死刑囚最期の言葉
実際には、※のついた事件以外、タイトルページに死刑囚の実名もさらされています。
※はなぜ実名がないかというと、犯行時に未成年だからだと思われます。
でも、死刑囚になった以上、それはどのくらい意味のあることなんだろうと思いますけとね。
ということで、この中から、『香川県坂出市3人殺害事件』についてご紹介します。
というのも、事件も悪質なら、それを報じるメディアの醜悪さも際立っていたからです。
「ホント不思議だねえ~」と印象操作も謝罪なし
「すごい剣幕だな」
「まさに人殺しって形相だ」
香川県坂出市3人殺害事件の取材に来たマスコミが、被害者の父親に対してそう言っているところから漫画は始まります。
無実の被害者遺族を犯人扱い マスコミ“偏向報道”も問題に
と、タイトルページに書かれているとおりです。
香川・坂出3人殺害事件とは、女性とその孫の幼児姉妹(当時5歳と3歳)2人の計3人が、2007年11月16日未明に殺害され、死体が遺棄された事件です。
本誌にはこう書かれています。
マスコミは連日姉妹の父であり、女性の義理の息子である山下清さんを犯人扱いする報道を垂れ流しました。
漫画では、みのもんたらしき人物が、印象操作に懸命です。
「行方不明から通報まで1時間ですよ。普通すぐに電話しない?警察に行って届け出てる。ホント不思議だねえ~。山下清さんねぇ。ふ~ん」
ところが、事件発覚から11日後、川崎政則元死刑囚が逮捕されます。
川崎政則元死刑囚は、殺された女性の妹の夫でした。
殺害と死体遺棄を自供したので、まずは死体遺棄で逮捕。
そして、3週間後に殺人で再逮捕され、山下清さんは“メディア冤罪”であることが確定しました。
しかし、その時点で、ワイドショーには思いっきり名前が出ています。
みのもんたが、視聴者が覚えるように何度も刷り込んだのです。
ふざけんなよ、みのもんた。
ですから、この記事でも、名誉回復のために、山下清さんの名前を出しましょう。
なぜ、3人も殺さなければならなかったのか。
川崎政則元死刑囚の妻は、姉の借金の連帯保証人になっており、川崎政則元死刑囚は身に覚えのない借金の返済を迫られていたといいます。といっても、100万にも満たない金額だったそうですが。
まあこれだけなら、川崎政則元死刑囚はむしろ被害者です。
ところが、ここからが元死刑囚の真骨頂です。
川崎政則元死刑囚の妻はがんで闘病していましたが、その傍らで、姉である女性に求婚していたというのです。
なんと、妻が寝ている病室で口説いたとか。
もともと借金を背負わされた怨みもあったのか、振られた腹いせか、結局、殺害して屍姦したといわれています。
その上、全く関係ない女児2人まで手にかけたのです。
マスコミが、山下清さんに謝罪したという話は聞きません。
事件について、たんなるセンセーショナリズムで消費しただけでした。
本作では、「無駄にアイツ(山下清さん)の絵を撮りすぎたわ」という身勝手な「反省」をしています。
自分の経験を思い出した
私も、山下清さんと似たような経験をしています。
11年前、火災で妻子が意識不明の重体になりました。
とくに、妻は心肺停止でした。
そのとき、ネット掲示板では、私が怪しいという書き込みで賑わい、近所にも「夫が火をつけて家から飛び出してくるところを見た」などと無責任なことを言う人がいたため、なんとNHKと共同通信が、たかが無名の一庶民の火災を2日またぎで報道。
私はそれ以来何日もメデイアにつけられ、毎日新聞社会部が長男の小学校名を晒したので、週刊誌記者などが同級生の家に押しかけて長男の写真をよこせと強要。
長男の小学校は保護者が交代で見守る集団登校となり、我が家の2軒隣りの子はショックで登校拒否になってしまいました。
でも、ネット民もメディアも、何の責任も取りません。
そもそも私は、火が出た時に、家にいませんでした。
その時間帯は、実家の独居母に差し入れをし、スーパーで買物をして帰ってくるのが日課でしたから。
帰ってきて戸を開けたら、玄関は真っ赤な炎に包まれていたので、近所の人に、「消化器があったら貸してください」と叫んでいたのです。
どこが怪しいのでしょうか。
近所の人については告訴しようと思い、警察にも操作をお願いしましたが、「噂話だと刑事裁判は難しい」ということで結局できませんでした。
毎日新聞社会部は、ある記者から返事はきました。
法的責任含みで話し合おうと申し入れていたのですが、まあたぶん先方は責任を認めないだろうし、こちらは生活の立て直しでそれどころではなかったので、結局こちらも裁判はしませんでした。
今もネットでは、僅かな報道から、憶測で勝手に犯人を決めつける遊びは廃れていませんね。
翻って、自分がその立場になったらどうか、ということがわからないんでしょうね。
何か、書いていて不愉快になったので、今日はこの辺にしておきます。
詳しくは、ぜひ本書をご覧ください。
なお、アンソロジーのムックについては、これまでもご紹介してきました。
『まんが実録業界絶体絶命最悪地獄SP』は、芸能界のヤバい話、タブー、放送禁止などを漫画化しました。
『まんが悪の帝王列伝残虐非道な日本の経営者たち』は、実業界で大きな成果を出して名を成した伝説の人物伝です。
『まんが世界を血で染めた独裁者残酷伝』は、世界史上独裁者と呼ばれた指導者を漫画でまとめました。
『まんがアナタの知らない都市伝説DX』は、タイトル通り都市伝説をテーマとした短編漫画満載です。
『まんがホントに怖いテレビ業界事件簿』は、テレビ界の秘密、タブー、闇など漫画で紹介しています。
『まんが芸能界最強不良列伝』は、武勇伝やブラックなイメージが話題の芸能人について紹介しています。
いずれも、興味深い作品が収載されています。
以上、香川・坂出3人殺害事件(2007年)を漫画化して収載したのは、まんが凶悪死刑囚大全獄(アンソロジー著、コアマガジン)、でした。
コメント