『10年つかえるSEOの基本』(土居健太郎著、技術評論社)は、サイト(ブログ)運営者が行うべきSEO、コンテンツの書き方などを解説しています。グーグルはブラックを抑える進歩をするので、「ズルするよりも」ホワイトSEOを啓蒙しています。
SEOとはなんだ
『10年つかえるSEOの基本』(土居健太郎著、技術評論社)は、タイトル通り、SEO(Search Engine Optimization)について述べられている書籍です。
SEOとは、検索エンジン最適化のこと。
検索エンジンの検索結果において、上位に表示されるようサイトの構成を調整することです。
ここでいう「検索エンジン」とは、主にグーグル検索を指しています。
他社の検索エンジンもありますが、ネットユーザーの9割以上は、グーグル検索を使っていると言われています。
グーグル検索というのは、GoogleとともにYahooも採用している、単語等による検索で、ネット上の該当するウエブページを表示するサービスのことです。
検索語句を入力すると、検索結果としてブログを含めたサイトの該当ページがズラズラっと表示されます。
SEO関連の書籍は、これまでもご紹介しました。
どうすれば「最適化」ができるのかが書かれています。
本書『10年つかえるSEOの基本』もそのひとつです。
どうして、SEOという同じテーマなのに、何冊も書籍があるのかって?
それは、不確定要素が含まれるため、正解が一つではないからです。
Googleが、順位算出の計算式を明らかにしておらず、また順位付けは他サイトページとの競争という相対的なもののため、こうすれば上位何位に出ると断言できるわけではありません。
そこで、各書とも、最大公約数的な、今現在ここまではわかっている、ということを発表しているのです。
「不変」ではなく「普遍」のSEO
本書『10年つかえるSEOの基本』は、SEOのもっとも基本的な内容が、登場人物の会話形式で構成されています。
サイト(ブログ)運営者が行うべきSEOや、コンテンツの書き方、リンクの集め方などが解説されています。
ただ、『10年つかえるSEOの基本』というタイトルを見て、それはないだろうと思われる方も多いと思います。
Googleのアルゴリズムが次々かわっているのに、10年先まで不変の対策なんてあるはずないだろうと。
それはその通りです。
ただし、本書の意図は、「不変」というより「普遍」ということだと思います。
どうすれば検索結果の順位が上がるか、という具体的なテクニックの話ではなく、SEOというのは検索エンジンは何を求めているのか、という基本の話が、「土居くん」と「すずちゃん」という2人の会話形式で進められているのです。
曰く、検索エンジンは、「誰にとっても、どんな質問に対しても、最高の回答者 」であろうとしている。
さすれば、その回答を用意し、検索で取り出されやすい状態(コンテンツ)を作ることが、検索エンジンがあるかぎり、「普遍」のSEOであるといいます。
まあ、当然といえば当然ですね。
ではどのようにしてそのようなサイト(ブログ)をつくり上げるのか。
本書は全7章で構成されています。
SEO関連書には必須とされる基本的な6項目
1~2章は、検索エンジンについての基本的な解説です。
3~4章は、キーワードの見つけ方と、コンテンツ(記事)中へのキーワードの反映方法について書かれています。
5~6章はコンテンツの書き方や、リンクの集め方について書かれています。
7章と「おわりに」は、SEOにおける、まとめとなるマインドセットです。
テクニックではありませんから、具体的なSEOサイトやツールの紹介はほとんどありません。
わずかに、Google Search Consoleという、Googleが提供しているインターネット検索分析ツールの簡単な説明があるのみです。
ただ、記事の書き方でとして、SEO関連書には必須とされる基本的な6項目はふれています。
- title タグにキーワードを含める
- meta descreption タグにキーワードを含める
- 最初の見出しにはキーワードを含める
- ページ内のテキスト要素にキーワードを含め、なるべくページ上部に出現させる
- 「見てほしい人が使いそうな言葉」をなるべく選んで使う
- 自然な文章で表記し、不自然な繰り返し表現を用いない
キーワードというのは、その記事の内容を把握するために、とくに重要な意味を持つ言葉です。
たとえば、『市井のブログ』の現時点の最新記事では、話題のOSであるChrome OS Flexを、Apple MacBook Air MD224J/Aで使ったレビューを書きました。
やはりその場合、記事のキーワードは「Chrome OS Flex」になります。
その場合、タイトルと、記事本文の最初に「Chrome OS Flex」と入れておくわけです。
Googleの文書を理解する精度はかなり上がりましたが、やはり「何について書いた記事か」を明らかにするためには、意識的にキーワードは入れる必要があります。
それと、本書では触れられていませんが、近年はキーワードだけでなく、キーワードとともに使われやすい言葉も入れると、検索エンジンにとってわかりやすい文章になる、といわれています。
それは、「共起語」といいます。
下記のサイトを使って、使うキーワードの共起語を調べるのが最近のトレンドですね。
たとえば、前出の「Chrome OS Flex」で調べると、こんな「共起語リスト」が出てきます。
「Chrome OS Flex」について記事を書けば、出てくるであろう言葉ばかりです。
ホワイトSEOとブラックSEO
本書は、ホワイトSEO、ブラックSEOなどといわれるうちの、ホワイトSEOについて啓蒙し、実践をたすけるための書籍です。
本書の定義するホワイトSEOというのは、「不完全なシステムでも正しく情報やその価値を理解できるよう、その不完全さを考慮してサイトを運営する」ものです。
一方、ブラックSEOは、「システムが不完全であることを利用して、検索エンジンにサイトの価値が高いかのように見せかける対策を施す」ものです。
簡単に述べると、よいコンテンツ(記事)をせっせと更新する正攻法が「ホワイトSEO」、検索順位が上がるコツや裏ワザを利用するのが「ブラックSEO」ということです。
昨今の検索順位を見ると、ホワイトオンリーにしていたら、SEOにお金をかけられる資金の豊かな大企業だけが上位表示する矛盾を発生することになりますから、ブラックとも見られる“弱者のSEO”自体に、とくに個人のサイト制作者の関心が向くことを否定はできません。
ただ本書は、善悪というよりも、いずれグーグルはブラックを抑える進歩をするので、「ズルするよりもがんばった方がはやい時代に」(107ページ)という表現で、ホワイトSEOを啓蒙しています。
とにかく実践してみること
私が、SEO関連の書籍をご紹介するにあたって、いつも申し上げてきたことがあります。
それは、SEOというのは、上位表示が求められる企業や商店等の商用サイトだけでなく、たとえ個人の趣味ブログであっても、“身だしなみ”として行っておきたい、ということです。
なぜ個人ブログもSEOが必要か。
必ずしも、検索結果の「1位」を取りに行け!ということではありません。
全国、もしくは全世界のネットユーザーが、知りたいことがあった時に、せっかく自分のブログがその回答足りえるのなら、自分のブログがより多くの人に読んでもらえ、また検索者のニーズも満たされるからです。
本書の最後には、まとめとして、「SEOを正しく理解することは、学習と実践を繰り返し、たくさん経験を積むこと」と書かれています。
ただ本を読んで、頭のなかだけにその知識をとどめていても何の役にも立ちません。
自分のサイト(ブログ)にそれを実践することです。
経験を積むことで、書籍には書かれていない、表現しきれない感覚的な処理もできるようになります。
まずは、上記の6項目から実践されてはいかがでしょうか。
以上、『10年つかえるSEOの基本』(土居健太郎著、技術評論社)は、サイト(ブログ)運営者が行うべきSEO、コンテンツの書き方などを解説、でした。
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