自由民主党が、政府が策定を進める第5次の「男女共同参画基本計画案」において「選択的夫婦別姓」の表現が後退したと話題になっています。しかし、そもそも選択的夫婦別姓制度自体、姓を選ぶという意味において本当に前進なのか、正直疑問を感じることもあります。
選択的夫婦別姓は「自ずとそうなっていく」
選択的夫婦別姓の問題がまた取り沙汰されています。
【自民】「選択的夫婦別姓」の表現めぐり“表現削除”で決着 [クロ★]
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自民党は15日、政府が策定を進める第5次の「男女共同参画基本計画案」を了承しました。焦点となっていた「選択的夫婦別姓」に関する表現は削除されています。「いままでのような選択的夫婦別姓に賛成か反対か、0か100かではなく。具体的な制度設計のあり方をこれからも検討しようという書き方にしています」(森まさこ女性活躍担当相)
政府は来年度から5年間で実施する第5次の「男女共同参画基本計画案」の策定を進めていますが、選択的夫婦別姓の記載をめぐり、自民党内の推進派と慎重派の意見が激しく対立し、党内手続きが遅れていました。
15日、自民党の会合に示された文案では「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める」と明記されたものの、「選択的夫婦別姓」の文言は削除されました。
この問題については、先ごろ、二階俊博幹事長が事実上の賛成、もしくは容認の見解を述べていたので、この「男女共同参画基本計画案」はちょっと意外な気がしました。
幹事長には忖度しないんですね。
二階氏「選択的夫婦別姓はなりゆきに任せる」自身の家庭にも言及 https://t.co/FKc6cgvXwm @YouTubeより
— 畠中由宇・相互フォロー100% (@hata_follow) December 21, 2020
「これは、ある程度時間をかけて、慎重に決めたら良いと思っています。女性の職業とか、社会的な活動の模様等についておのずから夫婦別姓になっていくわけですよね。過去にもあるんです。それは、私の家庭なんかは母親が医者だったんですけれど、そうするとおのずから夫婦別姓みたいな形の場面もしばしばあるんです。別に違和感も何も感じませんでした。ですから、夫婦別姓は、なりゆきに任せて対応していきたいと思っています」
「夫婦別姓に違和感はない」「自ずとそうなっていく」
ここまで踏み込んだ意見は、自民党幹部としては初めてのことでしょう。
私は初めて、二階俊博幹事長の意見が「そのとおりだ」と思いました。
二階俊博幹事長は「夫婦別姓にしろ」とはイッていないのです。
意見として押し通さなくても、そういう時代になるよ、と思っているのです。
私もそう思います。
家制度が否定され、家族制度になり、女性の社会進出も著しい。
となれば、婚姻したらどちらかがが姓を変える今の同姓制度自体に不都合を感じる向きも出てくるだろうと思います。
私は、今の家族制度が全て良しとは思いませんが、それはそれとして、やはり家制度⇒家族制度、そして女性の社会進出という時代の流れは、素直に受け止めるべきだと思います。
ただし、何が何でも選択的夫婦別姓を通すべきだ、と積極的に主張するには、すっきりしないものもあります。
むしろ後退ではないのか、という懐疑
やはりいちばん大きな理由は、そもそも選択的夫婦別姓自体が、家制度⇒家族制度への発展といえるのか、という疑問です。
つまり、真の意味で、家から解放された前提で姓を選んでいることにはならないことです。
たとえば、佐藤さんと鈴木さんが結婚したとしましょう。
今の法律では、結婚して新しい戸籍を作り、佐藤か鈴木を名乗ることになっています。
でも、考えてみたらおかしいですよね。
新しい戸籍を作るのに、どうしてどちらかの親の姓を名乗るのでしょう。
佐藤と鈴木が結婚して、高橋を名乗ったらどうしていけないのでしょうか。
要するに、家制度時代の「何々家」という考え方が、現在の制度にも残っているわけです。
結婚しても旧姓を名乗らせろというのは、どちらの「何々家」も残せという考え方ですから、ある意味、発展どころか後退ではないのか、という疑問すらあります。
だったら、名字はファミリーネーム(だから家族共通のほうがいい)という言い分の別姓反対派の人達の方が「よりまし」かな、という気もしてしまいます。
鈴木ナニガシ(旧姓佐藤)
という書き方で事足りるでしょう。
なんでわざわざ戸籍まで別姓にするの、という言い分は一理あります。
そんなわけで、ほんとうの意味で「姓を選べる」というのは、今の選択的夫婦別姓制度とは少し違うような気もするのです。
さて、どうなんでしょうねえ。
みなさんはいかがお考えですか。
以上、自民党が第5次「男女共同参画基本計画案」で夫婦別姓の表現が後退といわれているので姓を選べるとはどういうことか考えてみる、でした。
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