都知事選が終わりました。ネットでもさんざん取り沙汰されましたが、その方々は都政を任せるにふさわしい公約や理念があるかどうか、という当たり前のことを見極めながらの投稿だったのでしょうか。私が総括するなら、都知事選は、ただたんに「男社会」による「胡散臭さ」を好むお祭り騒ぎだった、ということだと思います。
政治について語ることは、よいことです。
ただし、いかなる価値観で語るのか、は大事です。
嘘と思惑だらけの、マスコミの垂れ流しを疑いもせず真に受けた、わかったようなポストが、snsではずいぶん目立ちました。
今回、どの候補が、何を訴えたのか、ちゃんと言えますか。
私は、東京都民のくせに言えないので、都知事選についての発言は一切しませんでした。
その埋め合わせというわけでもないですが、終わったので、ちょっとだけ後出しジャンケンします。
障害者文教政策に無関心な各候補者だった
今回の対決は、やれ「学歴詐称」とか、運動をフライングしたとか、そんなことで抽象し合っている不毛な選挙戦になりました。具体的な都政の議論が殆ど聞こえてきませんでした。
・政策や公約を語らない候補者
・それを掘り下げないマスコミ
・どっちが勝つかと岡目八目ばかりに走る有権者
いいかげんにしろよ、と思いました。
東京都は、11年前に石原慎太郎さんが引退して以来、その総括が行われないまま、今日まで来ています。
舛添・猪瀬とスキャンダルで失脚し、都政どころではなくなってから混迷を極め、以後の選挙戦は、国政の対決とスローガンを持ち込んだからです。都政なのに、憲法がどうしたとしかいわない人もいました。
都政の課題はたくさんありますが、たとえば私が知っているのは障害者の特別支援学校設置問題があります。
都内の特別支援学級数は、平成29年度が2,686、30年度が2,725、令和元年度が2,748、2年度が2,784、3年度が2,809、4年度が2,878です。
学校数は、平成29年度に70校からふえず、令和4年にやっと71校目ができました。
要するに、全体として学校が、マンモス化の方向にあるわけです。
新設校はもっとあるのですが、統廃合してつぶしているところもあるからです。
たとえば、大田区では、知的障害を伴う生徒を含めた発達障害の特別支援学校高等部が、たった1校しかありません。
東京都で3番目に人口が多く、面積がいちばん広い大田区で、たったの1校です。
以前は2校あり、そのうち1校は、矢口という、大田区では中央やや南部にある学校で、初等部、中等部、高等部とすべて揃っており、多摩川線、東急バス、玉ちゃんバス、さらに送迎バスなど、交通機関も充実していたので、生徒は安心安全の通学体制で大変便利でした、
ところが、矢口の高等部をつぶしたため、大田区の東半分は、他区(港区)の学校に、西側は従前からある田園調布特別支援学校に引き取られることになったのです。
が、そこは多摩川沿いにある僻地で、多摩川駅から土手沿いの車がビュンビュン走る道を徒歩25分、田園調布駅からは急な坂道を昇降する道を15分、バスは一応通っていますが、当然生徒が中注する時間帯は混雑します。
夏は、熱中症で倒れてもおかしくない直射日光の地獄道です。
もともと地元の生徒ならともかく、区中央部の馬込や久が原、池上などから通うのは、大変だろうなあと思います。
石原さんは、統廃合を行いましたが、一方で志村学園という画期的な職業訓練に特化した高校を作りました。
それをふやすのか、どうするのか。
小池知事だけでなく、対抗の候補者は、その点について公約を一切示しませんでした。
候補者たちは、障害者を見捨てていたのです。あとの課題も推して知るべしでしょう。
対決の構図は「男社会」そのものだった
一方、「文学的」に選挙を振り返ると、思うに、人間の弱さみたいなものを、改めて感じましたね。
ひとつは、「男を踏み台にしてきた学歴詐称の女性」と、「子育ても離婚も経験しているくせに『弱み』は絶対見せず、男も何するものぞとつんのめった女性」の戦いであったこと。
青山学院というエスカレーターを、いつも「2番じゃだめなんです」と頑張り、あの高嶋ちさ子さんですら「怖い先輩だった」と言わしめたテンパった生き方。
これは、今の男社会を象徴していると思いました。
要するに、女は、男を利用するか、男を弾き飛ばすかしないと、のし上がれない。
しかし、その凄まじい生き方からは、大多数の「普通の女性」の等身大の姿は見えてきません。
だから、どちらも、積極的に投票したくなくなるのです。
「連合」が、小池支持に回りましたが、この女性会長も高卒……
心情的にも、小池>蓮舫だったのかな、と思います。
一方、肝心の政策はね、冒頭にも書きましたが、小池さんに問題はありますが、蓮舫さんも「よりまし」とまではいいきれないんですね。
たとえば、石原慎太郎さんも行っていた、関東大震災の朝鮮人虐殺の追悼文を送らないですよね、小池さん。
石原さんは、外交における南北朝鮮の身勝手には怒っていましたが、過去の史実には筋を通しました。
一方、蓮舫さんは、朝鮮人学校の授業料無償化に含みを残していましたが、これもおかしい。
だって、日本の学校が、一条校の要件を満たすために、どれだけ努力しているか。
そういう努力を全くしないところに特権を与えるのは、逆差別です。
つまり、右は小池、左は蓮舫とか、そんな単純な話ではなく、政策的には、かなり低いレベルの是々非々で「よりまし」を選ばなければならない状態だったのです。
石丸という人は、そもそも検討に値することは何も言ってなかったはずですが、世間知らずの若いものの視線を引き、その間隙をついての2位ではなかったかと思います。
石丸という人は、開票結果終了後、ハシゴで各テレビ局のインタビューを受けていましたが、 相手の揚げ足を取りながらほくそ笑み、得意顔になってがなり立てる様子に、正直、辟易としました。
18歳に選挙権を与えると、こういうことになるのでしょう。いつぞやのガーシーとかね。
人間の弱さ、胡散臭さを今回ほど感じたことはない
小池>蓮舫と明確に思った有権者は、思い切って言うと、胡散臭いものが好きなのだろうと思います。
いや、それがだめだと言っているのではなく、優等生ぶるやつが嫌いなんでしょう。
だって、小池さんなんて、学歴詐称は氷山の一角で、利権を弄んで、さんざん好き勝手行っています。
横から映すと、失礼ながら、あまりのお腹周りの分厚さにびっくりしました。
節制もせず、美味しいものを食べまくっているのでしょう。
そして、人間的には友情も信義もくそくらえ。用済みはポイ捨てする。
息を吐くようにでまかせを言い、公約はほぼ守らない。
一方の蓮舫さんは、おそらくはかなりの節制をしていると思われます。
舌鋒鋭いけれど、決してそれは「大衆」に向けたものではなく、政権批判です。
1日に読む新聞は8紙。血の滲むような努力は言葉の端々に感じられます。
評価はいろいろあれど、とにかく大衆の側から懸命に追求している仕事ぶりは確かです。
ぶってぶって姫の姫井由美子さんが、党内で浮いていた時、蓮舫さんだけは声をかけ励ましていました。
本当は、そういう思いやりもあるんですけどね。
しかし、決して弱みを見せない。差別されてきたからかな。
自身の「弱さ」を見せないキャラクターは、嫉妬とコンプレックスだらけの大衆は反発します。
ジェラシーとコンプレックスで生きている有権者は、舌鋒鋭いことが、「どうせこいつは俺達を見下している」と受け止めるんですよね。
蓮舫さんは、ご家庭では双子を育てられて、息子さんは保守の元政治家・糸山英太郎さんの家に養子に入るなど当時は思い悩むこともあったはずなのにそうした部分を一切さらさない。
元夫との関係でも、追い出したとか、彼女が断然強いという見せ方をするなど、一部に言われているように、等身大の女性として、ふに落ちないところがあります。
その一方で、小池さんのうさんくさいところが、安心できた有権者は、少なくないと思いました。
これはもう、人間の悲しい習性なのかなと思います。
結局蓮舫候補の敗因は何だ
勝因も敗因も、いろいろあるのだと思いますが、マスコミが触れない、私が自分の頭で考えた理由を一つ推理します。
立憲の大幅な減少が目立ちます。極めて残念ですが、起こった事は起った事、ここから回復をと思います。https://t.co/GOLMuCm5hn
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) July 8, 2024
この間、立憲民主党そのものの支持率が有意に減っています。
原因は何だと思いますか。
私は、立憲民主党が「消費税」を言わなくなったことが、ここに来てじわじわ効いていると思います。
立憲民主党は、こと「消費税」についていえば、自民や公明と同じ側に入ってしまったので、だったら与党の方が良い、という選択になるでしょう。
裏金問題で、自由民主党が下野するかもしれないチャンスに、どうしてかなあと思いますね。
「新論破王」の米山隆一さんも、そのことには触れないんです。
しかも、あの日本共産党までそれに追随している。これも「ふざけんなよ、日本共産党」ですよ。
こういうことがあるから、政権交代しても、自由民主党の旧弊なものを変えてくれる、という期待はできないのではないかと、私は暗澹たる気持ちになってしまうのです。
みなさんは、今回の都知事選はどのように思われましたか。
印象にのこったポスト
投票締め切りの“8時ちょうど”に『当選確実』を報じる必要などはない。ちゃんと1票1票を数えてからでも遅くないし、結論も変わらない。マスコミは、選挙が終わってからの“中途半端な早さ競争”ではなく、選挙が終わる前から”争点“などをもっとしっかりと報じるべきだと思う。 https://t.co/bErnjUC8zY
— 泉 房穂(いずみ ふさほ) (@izumi_akashi) July 7, 2024
投票締め切りの“8時ちょうど”に『当選確実』を報じる必要などはない。ちゃんと1票1票を数えてからでも遅くないし、結論も変わらない。マスコミは、選挙が終わってからの“中途半端な早さ競争”ではなく、選挙が終わる前から”争点“などをもっとしっかりと報じるべきだと思う。
典型的な石丸論法。これだけ見てもどんな人間かわかるじゃん。はじめて古市を応援した。
いや、なんでみんな票入れた? https://t.co/jRbuT5qKbF— ラサール石井 (@bwkZhVxTlWNLSxd) July 8, 2024
典型的な石丸論法。これだけ見てもどんな人間かわかるじゃん。はじめて古市を応援した。
いや、なんでみんな票入れた?
裁判で争うこと自体は否定されませんが、この手の商取引の支払い訴訟で、一審二審で負けたのに最高裁までもっていくのはただ単に意地になって相手に嫌がらせをしているだけ。ネット広報の波に乗った手腕は認めますが、行政トップにしていい人とは到底思えません。https://t.co/uaX4AB83qz pic.twitter.com/cLSQnPVV8O
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) July 8, 2024
裁判で争うこと自体は否定されませんが、この手の商取引の支払い訴訟で、一審二審で負けたのに最高裁までもっていくのはただ単に意地になって相手に嫌がらせをしているだけ。ネット広報の波に乗った手腕は認めますが、行政トップにしていい人とは到底思えません。
いちいち、ごもっともです。
日本はこれから、どうなるのか不安になります。
みなさんは、いかがお考えですか。
図説 東京の論点—小池都政を徹底検証する – 山本 由美, 寺西 俊一, 一般社団法人東京自治問題研究所
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