池上本門寺(東京都大田区)には力道山の墓がありますが生前深い関係にあった有名人たちの墓も多く“墓閥”を感じます

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池上本門寺(大田区池上)の力道山の墓に集まる“墓閥”

池上本門寺(東京都大田区池上1-1-1)に、日本プロレスを作った力道山の墓があるのは有名な話ですが、どうして池上本門寺にあるのか、ということについてはあまり知られていません。力道山と生前深い関係にあった人たちとの“墓閥”を今回見ていきます。

有名な力道山の墓

日蓮宗の大本山であり、開祖・日蓮入滅の霊場であり、かつ布教の殿堂でもある池上本門寺には、多くの有名人の墓があります。

その中でも有名なのは、力道山の墓です。

力道山の墓

1963年12月15日、刺傷がもとで亡くなりました。

かつては、池上本門寺の隣りにある、都営浅草線車検場に自宅がありました。

そのことが、池上本門寺に墓をたてた大きな理由の1つかと思われます。

現在の墓標などがすべて揃ったのは最近で、3回忌の頃は、まだ墓だけがあったようで、配下のレスラーたちはそこで記念写真を撮っています。

日本プロレスレスラー
(『激動の昭和スポーツ史10』(ベースボール・マガジン社)より)

ここにうつっているレスラーのすべての名前がわかる人は、相当な通です。

墓標には、力道山がWWA世界ヘビー級チャンピオンだったことが刻まれ、有名人たちの名前も彫られていますが、力道山の象徴とも言えるインターナショナル選手権者であったことは刻まれておらず、出世頭の愛弟子であのジャイアント馬場の名前に至っては、以前はあったはずなのに、現在は消えています。

複雑な人間関係やしがらみがうかがえます。

それはともかく、力道山が池上本門寺に墓を立てたもうひとつの理由は、その周辺の墓が教えてくれているような気がします。

“墓閥”といっていいと思いますが、生前、力道山と深いつながりにあった人たちの墓も、そこに見ることが出来るのです。

力道山とともにプロレスを支えた“支配層”

力道山の墓所の隣には、江戸幕府征夷大将軍家・徳川氏の母体松平家の墓がありますが、そこから通路を1つ挟んで、右翼のフィクサー・児玉誉士夫の墓があります。

児玉誉士夫の墓

児玉誉士夫は、日本プロレス協会会長をつとめ、かつてはプロレス新聞といわれた東京スポーツを作りました。

その兄弟分と言われたのが、東声会会長・町井久之です。

町井久之

山口組三代目・田岡一雄組長とともに、日本プロレス協会副会長をつとめ、東日本の興行を東声会、西日本の興行を山口組が担当したと言われています。

その少し後ろには、日本プロレスを後押しして日本プロレスのコミッショナーをつとめた衆議院議員・大野伴睦の墓があります。

大野伴睦

そして、隣りには、東京スポーツ新聞社社長・会長の太刀川家の墓が並んでいます。

力道山プロレスを支えた、政治、右翼、裏社会、マスコミ関係者が勢揃いです。

この関係をどうとらえるべきか。

右翼である児玉誉士夫が、反共の防波堤に東京スポーツを作り、その主要コンテンツとしてプロレスを考えていたといわれますが、その結びつきたるや、たんなるビジネスの付き合いだけでなく、亡くなってからもこのようにひとつのグループを形成していることが改めてわかりました。

これは、真の意味で日本の支配層の墓閥かもしれません。

戦後、国民の共産主義化を防ぐために、反共防波堤の娯楽(国民に難しいことを考えせない)として、日本テレビ(NTV)が誕生したことはすでに書物などで明かされていますが、それは当然、政財芸能スポーツマスコミ界の合作でした。

そうした日本の政治、経済、エンタテイメント、オピニオンをコントロールした血縁関係のない関係者たちの義兄弟ぶり、そしてその支配力を子孫の代まで継承させんと願う気持ちが、近くに墓地を形成した墓群に現れているのではないかと私は思いました。

ちなみに、このグループの近くには、“永田ラッパ”といわれた、永田雅一の墓もあります。

いずれにしても、池上本門寺には、多くの有名人の墓があります。

池上本門寺(大田区池上)は秋の御会式や新年の参拝や500個の風鈴の音を聴く催しや朝市や菊花大展示会が開催されます
池上本門寺といえば大田区を代表する寺院です。毎年秋に行われる御会式は日蓮宗の信徒でなくても町をあげて一大イベント化します。お正月は新年の参拝、夏は「500個の風鈴の音を聴く」催し、定期的に朝市が開かれ、初冬には菊花大展示会が開催されます。
小麦工房アリス(大田区)の『池上あんぱん』は上品なご当地商品
小麦工房アリスというベーカリーが、『池上あんぱん』というご当地商品を販売して話題になっています。どこが『池上』なのかというと、パンの形が池上本門寺の鐘に似せているのです。池上本門寺に参拝に来られた際はおみやげにぴったりです。

墓閥から、改めて日本の現代史を考えてみるのも面白い作業であると思います。

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