多摩川七福神(大田区矢口、下丸子)巡りをご紹介します。昔から「七難即滅、七福即生」といわれ、七福神を参拝すると七つの災難が除かれ、七つの幸福が授かると言われています。多摩川七福神は大田区武蔵新田界隈の6つの神社と1つの寺院に祀られています。
七福神信仰と多摩川七福神
七福神とはなんだ
七福神とは、福の神として信仰される、恵比須、大黒、毘沙門、弁天、福禄寿、寿老人、布袋の総称です。
それが、7つの神社、もしくは寺院に祀られています。
七福神の信仰は、室町時代の末期のころより始まったと言われています。
七福神は民間信仰であり、そのため神社でも寺院でも関係なく祀られています。
祀られている各神社や寺院は、本来の御祭神や経典とは別に、七福神のいずれかの神を祀っています。
現代は、神社・寺院の巡回(見学)コースとして、その地域の神社や寺院に七福神を祀って町おこしを行っています。
大田区には、池上七福神、羽田七福いなりなどがありますが、多摩川七福神もそのひとつです。
多摩川七福神について
大田区中部多摩川沿いの矢口・武蔵新田・下丸子には、矢口の渡で謀殺された新田義貞の次男である新田義興らにまつわる逸話や史跡、祀られている神社・寺院などが残っています。
そこで、七福神を祀る関連の神社・仏閣を巡ることで、多摩川地域に残る史跡も巡り、歴史の証との出会いを楽しもう、というわけです。
名付けて、多摩川七福神パワースポット巡りです。
多摩川七福神パワースポット巡りにはモデルコースがあります。
新田義興を祀る拠点である新田神社をスタートとし、そこから下丸子の頓兵衛地蔵(とんべえじぞう)、矢口中稲荷神社、氷川神社、延命寺、東八幡神社、十寄神社(じゅつきじんじゃ)と廻って新田神社に帰ってくるコースです。
多摩川七福神の神社・寺院
【恵比寿天】新田神社(大田区矢口)
新田神社(大田区矢口)は、多摩川七福神パワースポット巡りのスタートです。
新田神社には、七福神中で唯一日本の土着信仰の神である恵比寿天が祀られています。
「大漁追福」「商売繁盛」「五穀豊穣」など、努力して働いた人に福財をもたらしてくれます。
東急多摩川線武蔵新田駅を下車して3分ほど歩くと、商店街沿いに新田神社はあります。
南北朝時代に多摩川にある矢口の渡で、敵に謀殺された新田義興(1331年~1358年、新田義貞の次男)を祭る『新田大明神』の人神神社です。
謀殺後、新田義興の怨霊が、夜な夜な矢口付近に現れて往来の人々も悩ませるようになったため、御霊を鎮めるために社殿が建てられたといいます。
新田神社では、多摩川七福神のスタンプや専用の色紙、お札などのセットが1000円で販売されています。
新田神社でしか販売されていないので、セットがほしい人は、新田神社からスタートせざるをえないようになっています。
神輿庫の中に恵比寿天を祀っています。
【布袋尊】頓兵衛地蔵(大田区下丸子)
頓兵衛地蔵(大田区下丸子)は、頓兵衛地蔵の地蔵堂で、布袋尊を祀っています。
布袋尊は弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身といわれ、「笑門来福・夫婦円満の神様」として信仰されています。
新田義興の謀殺に荷担した船頭・頓兵衛が、前非を悔いて建てた地蔵と伝えられます。
頓兵衛は、平賀源内の浄瑠璃『神霊矢口渡』に登場する人物です。
ところが、新田義興の祟りから頓兵衛地蔵の顔が溶け、この地蔵は“とろけ地蔵”とも言われることになったといいます。
【福禄寿】矢口中稲荷神社(大田区矢口)
矢口中稲荷神社(大田区矢口)は、福禄寿を祀っています。
福禄寿は道教の長寿神で、寿命と死後の行き先を決定する裁判官、すなわち閻魔大王です。
東急多摩川線武蔵新田駅に隣接する稲荷神社です。
約200年前の大凶作の折、金子作衛門が正一位稲荷大明神の御神体を勧請して矢口村田町に創建。
大豊作になったそうです。
そして、耕地整理により1935年に現在地に遷座したそうです。
【大黒天】氷川神社(大田区矢口)
氷川神社(大田区矢口)は、大黒天が祀られています。
大黒天は、財宝、福徳開運の神様として信仰されています。
武蔵新田駅から、多摩川方面に5分ほど歩いた新田神社にほど近いところにあります。
氷川信仰(ひかわしんこう)といって、素戔嗚尊(すさのおのみこと)に対する神道の信仰の一つです。
他の神社にあるような塀もなく、敷地は公園のように見えます。
しかし、拝殿前には一対の狛犬や、柵に囲まれた三社稲荷が並ぶ荘厳な造りです。
【寿老人】延命寺(大田区矢口)
延命寺(大田区矢口)は、寿老人を祀っています。
寿老人は中国の道教の神様で、長寿延命・富貴長寿の神様として信仰されています。
多摩川七福神を祀る処では、唯一の寺院です(ほかは神社)
宗派は浄土宗です。
鎌倉光明寺2世白籏寂惠良暁上人(嘉暦3年1328年歿)が開山し、弘安年間に蓮花寺として創建。
さらに永緑年間(1558-1570)に延命寺と改称したといいます。
氷川神社からさらに多摩川に向かって南下したところにあります。
寿老人は本殿右手のお堂に鎮座しています。
【弁財天】東八幡神社(大田区矢口)
東八幡神社(大田区矢口)は、弁財天を祀っています。
弁財天は七福神の紅一点で、知恵財宝、縁結びの神様として信仰されています。
大田区池上にある徳持神社の兼務社です。
矢口の古市町会地区の鎮守です。
徳持神社の公式サイトによると、創建は1250年(建長2年)で、江戸期には湯坂八幡神社と呼ばれていたそうです。
村内に西八幡神社(領家八幡宮)がありましたが、1911年(明治44年)に湯坂八幡神社に合祀されて、新たに東八幡神社となりました。
現在の社殿は1971年(昭和47年)2月に竣功されたものといいます。
【毘沙門天】十寄神社(大田区矢口)
十寄神社(大田区矢口)は、毘沙門天が祀られています。
毘沙門天は、融通招福の神として信仰されています。
十寄神社の「十寄」とは、新田義興と10の人神の祭神という意味です。
新田義興、世良田右馬助義周、井伊弾正左衛門直秀、大嶋周防守義遠、由良兵庫助、由良新左衛門、新藤孫六左衛門、堺壱岐権守、土肥三郎左衛門、南瀬口六郎、市河五郎のみことです。
新田義興公と、その死を共にした氏族および近習の将兵十柱の御霊(みたま)をお祀りしています。
徳持神社の兼務社です。
徳持神社公式サイトによると、初めに十寄神社を参拝してから新田神社へお詣りすると願い事がかなうといいます。
多摩川七福神界隈のスポット
多摩川七福神は、大田区の矢口、下丸子地区の神社、寺院に祀られていますが、それらは新田義興公を祀っているところが多くなっています。
その意味で、拠点はやはり新田神社であり、電車の駅で言えば東急多摩川線武蔵新田駅といえるでしょう。
武蔵新田駅界隈は、3軒のおいしい店をご紹介したことがあります。
新田神社が面している武蔵新田駅前商店街にある松乃家は、松屋フーズグループのトンカツ専門店ですが、
期間限定半額サービスとされている豚汁をつけたロースカツ定食は、とても廉価店とは思えないすばらしいできです。
多摩川七福神の福禄寿を祀っている矢口中稲荷神社の真向かいには、最近ではめずらしい昭和の佇まいと、ドラマの舞台で使われる回数が区内でもっとも多い中華麺舗虎があります。
赤いカウンターテーブルでいただく、濃い醤油味のラーメンは、心地よく昭和を思い出すことができます。
そして、すぐ近くにはもう一軒、大衆的なラーメン屋さんがあります。ラーメン日本一です。
とにかくメニューの一が多く、駅の近くなので、電車で通勤、移動する人々の食事処になっています。
美味しい店に困ることはないので、多摩川七福神もゆっくり巡回することができますね。
以上、多摩川七福神(大田区矢口、下丸子)は「七難即滅、七福即生」で武蔵新田界隈の6つの神社と1つの寺院に祀られています、でした。
コメント
多摩川七福神のTwitterページ管理者です。現在色紙などのセットは1000円で売られています。
ご指摘ありがとうございます。さっそく直します