松登久本店(大田区大森北)に行きました。大田区といっても、道路を隔てて向こう側は品川区という区境にあります。蕎麦は更科そばの白色で、一方ツユは味の濃いもの。さらに蕎麦湯も濃厚です。6種類のミニ丼をつけていただくといっそう充足感があります。
松登久本店(大田区大森北2-14-1)は、京急線大森海岸駅を下車して歩いて3分。
道路を隔てて斜め前にあります。
松登久本店は、昔ながらのお蕎麦屋さんの風情をきっちり守っています。
松登久本店の店内は木造で、24のテーブル席と、こあがりの座敷席が8席あります。
メニューと値段は、まあほぼ一般的なお蕎麦屋さんです。
最近は、座席を置いた立ち食いそば店や、ゆで太郎のような廉価な自家製蕎麦の店が進出してきたために、コストパォーマンスが重視されがちですが、そばというのは本来中華よりはお高く、寿司よりはやすいところに位置するものです。
レビューサイトの一部には、松登久本店はセットメニューよりも、そばとミニ丼をそれぞれ単品で注文したほうが安くつく、というものがありましたが、それは間違いでしょう。
松登久本店には、丼ものプラスそばもしくはうどんがありますが、たとえばそばでもっともやすい、もりとミニ丼をあわせたものよりも安くなっています。
ネットの情報をどこまで信用するかはなかなかずかしいところですが、それを鵜呑みにしてしまった私は、セットメニューには目もくれず、ざるそばと親子ミニ丼を注文してしまいました。
合計1130円です。
しかし、Cセット(親子丼+そば又はうどん)なら950円でした。
しかも、この場合の「親子丼」は、「ミニ」ではないのでしょう。
松登久本店は、かなり、セットメニューの方がお得です。
ちょっと悔しいです。
これが、その、ざるそば+親子ミニ丼です。
松登久本店のそばは、更科系で白いそばです。
しかし、コシがあり中身の濃いそばであるとおもいました。
そばは、色が白っぽいものや黒っぽいものがあります。
その違いは、原材料のそば粉の違いです。
製粉して最初に出てくる粉を一番粉といい、更科そばは一番粉を使っています、
余談ですが、以下、一番粉の胚乳になる胚乳の周りから取れる淡い緑色の粉が二番粉。
やぶそばという緑のそばってありますね。
二番粉をさらに製粉し、そばの実の一番外側から取れる黒みがかった粉を三番粉。
田舎そばなんて言われますが、栄養価は一番高いと言われています。
製粉の最後に引き出される粉は四番粉で末粉といわれ、乾麺に使われます。
いずれにしても、もっとも高級感あるものとされているのが更科そばというわけです。
一方、松登久本店のつけ汁は濃いめです。
わさびも天然物をすっています。
親子丼は胸肉を使い、私の苦手な皮が入っていなかったので助かりました。
お新香にしょうゆがかかっていました。
これも昭和のいただき方ですね。
いただいている途中で、そば湯がきました。
松登久本店はこれがまた濃厚なのです。
残ったつけ汁に蕎麦湯を入れていただきましたが、それでもつけ汁のしょっぱさはまこっていました。
一方、妻が頼んだのは、冷やし山かけそば(880円)です。
とろろ汁にそばをつけていただきます。
こちらも、残ったつけ汁にそば湯をかけて残らずいただきます。
つまり、松登久本店で提供されているものは、しっかりしたつくり方です。
すばらしいですね。
大森海岸駅前のスポット
松登久本店前の道路を隔てて、冒頭に書いたように品川区です。
駅前の通りには、京急開業時の始発であった旧大森操車場駅の記念パネルがはめ込まれており、駅前には、タイトル・作者名不詳の女の子像があります。
スカートをたくし上げているようです。
近くには鈴ヶ森の処刑場もあり、お隣の平和島には捕虜や戦犯が収容されていましたから、なにかとてつもなく悲しい背景があるのではないかとおもいましたが、松登久本店の女将さんに伺うと、「たんなる砂遊び」だそうです。
なんだ、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
鈴ヶ森の処刑場というのは、大経寺(日蓮宗)境内にある東京都指定文化財で、八百屋お七や丸橋忠弥などを刑した場です。
大森北といえば、先週、三ツ矢堂製麺大森店に行ったばかりでしたね。
キーワードは菓子用高級国産小麦、自家製麺、全粒粉、ゆず油つけ汁、シャバ系のお店でした。
大森海岸駅はほぼ国道1号線に面しており、近くにはロイヤルホスト大森北店もあります。
老舗のファミリーレストランですが、やはりハンバーグにはおいしいメニューが揃っています。
そのように、スポットもある大田区と品川区の区境、大森北地区ですが、いらした際には、松登久本店に寄られて更科そばをすすられてはいかがでしょうか。
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