森ヶ崎鉱泉源泉碑(大田区大森南)は戦前まで東京近郊の臨海行楽地として栄えたことを示す魄光山大森寺にある区指定文化財

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森ヶ崎鉱泉源泉碑(大田区大森南)は戦前まで東京近郊の臨海行楽地として栄えたことを示す魄光山大森寺にある区指定文化財

森ヶ崎鉱泉源泉碑(大田区大森南)は戦前まで東京近郊の臨海行楽地として栄えたことを示す魄光山大森寺にある区指定文化財です。明治時代に森ヶ崎海岸で鉱泉が発見され、鉱泉街として鉱泉旅館などができたことで森ヶ崎一帯は急速に発展を遂げたそうです。

大森寺アクセス

森ヶ崎鉱泉源泉碑は、魄光山(びゃくこうざん)大森寺(だいしんじ、大田区大森南)内にある区指定文化財です。

Yahoo!ロコによると、東京モノレール昭和島駅西口から徒歩約16分、京急羽田空港線大鳥居駅東口から徒歩約21分、京急線梅屋敷駅徒歩約22分など、いずれにしても少し歩きます。

大森寺は日蓮宗寺院です。

大森寺

大田区は、池上本門寺があるからか、日蓮宗寺院は多いですね。

となれば、本尊は十界曼荼羅です。

大森寺公式サイトによると、江戸時代から森ケ崎海岸に近いこの地には、「海難横死者たちの無縁塚」や、「慶応四年(1868)の船橋の戦いに敗れ、漂着した幕臣の遺骸」も葬られていました。

森ヶ崎海岸は、現在森ヶ崎海岸公園としてその名を留めています。

森ヶ崎海岸公園

森ヶ崎海岸公園

大林四十世の日元が、明治三十八年(1905)に大林寺外堂宇の説教所として、題目堂森ケ崎教会を建立。

地元各宗派の信徒の協力によって護持されたといいます。

魄光山 大森寺 – 森が崎 題目堂

その中に大森寺森ヶ崎題目堂があり、森ヶ崎鉱泉源泉碑があります。

大森寺森ヶ崎題目堂

森ケ崎鉱泉源泉碑

森ケ崎鉱泉は、1899年(明治32年)に発見されました。

翌1900年には、含鉄アルカリ性食塩泉と分析され、その効用が認められました。

発見と泉効試験を記念して、1901年(明治34年)に記念碑が建てられました。

そして、その翌年には最初の鉱泉旅館が建ち、次第に旅館兼割烹店へと変貌。

以後東京近郊の臨海行楽地として栄えたそうです。

呑川を渡って少し歩くと、森ヶ崎海岸と呼ばれた一帯があり、まさにそのあたりが急速に発展したそうです。

温泉が出るところに人は集まるといわれたものですが、まさにそれを証明することとなったわけです。

森ヶ崎鉱泉源泉碑の説明板です。

森ヶ崎鉱泉源泉碑の説明板

大田区文化財
森ヶ崎鉱泉源泉碑 明治三四年(一九〇一)に、森ヶ崎鉱泉の発見と泉効試験を記念して建てられた石碑である。もとは立田野旅館の側にあったが、現在地に移設された。
正面には泉効をたたえた詩文が刻まれ、背面には一八〇余名に及ぶ建立発起人の名が記録されている。これらの人々は、おそらく鉱泉の開掘を発起し尽力した大森地区の有力者であったと考えられ、森ヶ崎鉱泉開掘当時の事情を伝える資料として貴重である。
森ヶ崎鉱泉は、同三五、六年頃には鉱泉宿ができはじめ、次第に東京近郊の保養地、臨海行楽地として栄えたが、太平洋戦争を契機として転廃業した。

昭和四十九年二月二日指定
大田区教育委員会

もともと大田区は、23区の中でももっとも温泉が多いといわれているのですが、戦後、森ヶ崎が京浜工業地帯の中核として発展したことを考えると、もし引き続き東京近郊の保養地、臨海行楽地として栄えていたらどうだったのだろうとおもいます

鉱泉と温泉について

森ヶ崎鉱泉といいますが、そもそも論として鉱泉とは何でしょうか。

温泉と鉱泉の違い

より具体的には、鉱泉と温泉の違いとは何でしょうか。

結論から述べますと、温泉は鉱泉の一種です。

鉱泉とは、地中から湧出するものは本来すべて鉱泉になります。

そして、その中で温泉の定義に当てはまるものは「温泉」と呼ばれます。

温泉は、温泉法によって、「摂氏25℃以上」であるか、もしくは定められた成分の基準を満たしていることとなっています。

つまり、「水」でも温泉と規定できることもあれば、たまたま含有成分の数字が「少し足りない」だけで、お湯であっても温泉ではない場合もあります。

そして、温泉以外は鉱泉ということになります。

『温泉ソムリエ協会(温泉ソムリエ公式サイト)』のサイト(http://onsen-s.com/n009-siawase7-7.html)によると、例として次のように記載されています。

  • 硫黄を含んでいながら、その量が鉱泉1kg中に1mg以下ならば、温泉ではなく、ただの「鉱泉」
  • 同じ条件で、源泉温度が25℃以上あれば「単純温泉」という泉質名の「温泉」
  • 源泉温度が25℃未満で、硫黄含有量が1mg以上2mg未満なら温泉の定義には当てはまりるが「療養泉の定義」に当てはまらないので「温泉」でも泉質名がつかない
  • 硫黄含有量が2mg以上になると「硫黄泉」
  • 同じ硫黄を含むものでも、その含有量と源泉温度により、「鉱泉」「泉質名がつかない温泉」「単純温泉」「硫黄泉」と名を変える
  • 温泉のうち源泉温度が25℃未満のものは「冷鉱泉」

ややこしそうですが、とにかく温泉と実質的には同じと解釈していいと思います。

森ヶ崎鉱泉源泉碑のまとめ

森ヶ崎鉱泉源泉碑は、大田区大森南の魄光山大森寺森ヶ崎題目堂にある大田区指定文化財です。

明治時代に森ヶ崎海岸で鉱泉発見。泉効が証明され、以後終戦まで鉱泉街として鉱泉旅館などができたことで森ヶ崎一帯は急速に発展を遂げたことを思い出す歴史的意義のある碑です。

森ヶ崎は、先日、森ヶ崎交通公園をご紹介しました。

以上、森ヶ崎鉱泉源泉碑(大田区大森南)は戦前まで東京近郊の臨海行楽地として栄えたことを示す魄光山大森寺にある区指定文化財、でした。

大田区観光ガイド (月刊おとなりさんmook)
大田区観光ガイド (月刊おとなりさんmook)

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