横浜家系ラーメン武(たけ、大田区西蒲田)は『濃厚でまろやか!スープのうまさが自慢』を標榜する醤油・塩・味噌・辛味噌提供の店です。お店のある工学院通りは、東京工科大学が作られたことで近年学生街の飲食店として人の賑わいを見せています。
横浜家系ラーメン武のアクセス
横浜家系ラーメン武(たけ、大田区西蒲田)は、JR蒲田駅を西口で下車。
大森方面を歩いたところにある工学院通り商店会の、飲食店街にあります。
周りは、パスタやラーメンや立ち食いそばなど並びますが、それぞれ微妙にジャンルが違うので共存できるのでしょうか。
工学院通りは、従来からある日本工学院専門学校に加えて、東京工科大学蒲田キャンパスができたので、大人の街から学生街に変わりました。
大学のある街の商店街は、安くて多様な飲食店街で賑わっているものですが、この工学院通り商店会も例外ではないわけです。
店内すぐ右に、食券の小型券売機があります。
冷水機とコップはその横にあるセルフ。
席は変則的に並ぶ9席すべてカウンター。
私が来店したときは1人体制です。
麺(かた、普通、やわ)、味(濃いめ、普通、うすめ)、油(多め、普通、少なめ)については、選択ができます。
醤油豚骨(680円)
横浜家系ラーメン武の醤油豚骨です。
後に書きますが、サンライズキッチンという会社の運営支援を受けていると言われ、スープはセントラルキッチンのようです。
センチラルキッチンというのは、外食産業や施設の調理を一手に引き受ける業者の提供を受けた統一的な材料や調理品りことをいいます。
つまり、既製品ということです。
たぶん、スープをひと晩かけて煮込むとか、朝から仕込みをするとか、そういうことをせず、すでに出来上がったスープの提供を受け、それを温めるということだと思います。
豚骨感は薄く、深みも感じません。
率直に言ってコクがありません。
過去にも、豚骨を強く感じない豚骨ラーメンのお店はご紹介したことがあります。
が、それはコクがないということではありません。
下処理をとことんまで行い、臭みやくどさを取り除いて雑味のない完成度の高い豚骨スープを実現したことによるものです。
人気のある家系ラーメンは、みなそうやってスープを作っています。
アウトソーシングでもいいから、どこかに店独自のものを感じる物が欲しいと思います。
麺は縮れの少ない大橋製麺多摩の中太麺です。
これも吉村家系とは違いますが、まあごく普通の麺でしょう。
緑はほうれん草ですね。
刻みネギはありませんでした。
海苔は3枚たててありましたが、着丼の際、店員が端を指で挟んでいたので残しました。
塩豚骨(680円)
横浜家系ラーメン武の塩豚骨です。
基本のレイアウトや、麺は醤油豚骨と同じです。
塩味はあっさりが原則ですから、その意味では、薄めのスープと合っていました。
白濁のスープです。
豚骨ラーメンというと、醤油味がオーソドックスにイメージされますが、塩味の豚骨もいいかもしれません。
チャーシューは、やや炙った香りがする、部位は硬めで脂身のない肩ロースだと思います。
濃厚ラーメン店によくある、バラ肉で脂身を強調し、それでごはんをいただける、というような感じではありません。
メニュー
横浜家系ラーメン武のメニューはシンプルです。
醤油豚骨、塩豚骨が680円、味噌豚骨、辛味噌豚骨が730円で、基本メニューはこの4種のみです。
トッピングは、味玉、のり、ほうれん草、キャベツ、ネギなどが100円。
チャーシューキャベチャーが250円です。
麺大盛りは100円、小ライス50円、ライス100円、チャーシュー丼250円、焼ギョーザ240円、水ギョーザ200円。
学割セットは、豚骨ラーメンに小ライス、餃子付きで680円。
学生街らしいメニューです。
家系ラーメンの系譜で確認できず
家系ラーメンは、何度かとり上げていますが、1974年以降に登場した神奈川県横浜市発祥の、豚骨醤油ベースで太いストレート麺を特徴とするラーメンのラーメン店群である。
つまり、固有名詞でもなく登録商標もとっていない「系統」という意味の俗称に過ぎません。
豚骨ベースのスープ、太い麺、たてた海苔3枚、ほうれん草など緑の具材、チャーシューという標準レイアウトはありますが、店は個々に運営されており、味も各店がオリジナルのものを求めて勝負しています。
家系ラーメンの系譜を見てるとダビスタを思い出すし、ブラッドスポーツなんだなって錯覚してくる。 pic.twitter.com/l2GGce7XHA
— 故師匠 (@patineur_ysk) September 20, 2020
系譜によると、今回の横浜家系ラーメン武は、どこにもつながっていません。
そもそも、横浜家系を名乗りながら、「〇〇家」という屋号ではありません。
食リポのページを見ると、サンライズキッチンというラーメン店を中心とする飲食店の運営、開業支援事業の支援を受けている会社のようです。
同社の支援を受けている家系ラーメン標榜のお店は、何々家という屋号でないのが特徴です。
まあそれはいいのですが、家系ラーメンは、標準レイアウトはあるものの、味はチェーン店と違い、各店の個性が評価を分けます。
セントラルキッチンによる、出汁も自店ではとらない画一的な味の提供は、そもそも家系ラーメンと言えるのか。
実質的には「サンライズキッチン家」ということかもしれません。
無料の小ライスも忘れられました
お店には、「本日 小ライス無料」という張り紙があります。
「本日」が、来店した日なのか、それとも毎日張ってあるものかはわかりませんが、小ライスを注文したにもかかわらず、店員はそれを忘れてしまったようです。
これはもう店員失格ですね。2020年11月21日午後2時に働いていたあなたです。
催促すればよかったのかもしれませんが、ライスと一緒にいただこう、という意欲が注文したラーメンに対してわかなかったので、だったらいいや、と思い、何も言いませんでした。
学生街であることと、家系ラーメンを標榜していることから、ある程度の集客は黙っていても見込めるのかも知れませんが、これではお店そのものに対して高い評価を与えることは困難だと思いました。
学生街は、早くて安いお店が好まれるのですが、お客は学生ばかりではありませんし、そもそも現在の学生は味の情報や経験も豊富ですから、ただの「豚骨ラーメン店」ではなく、「横浜家系ラーメン」を標榜するなら、店員の質も含めて向上を真剣に考えられたほうがいいような気がします。
今回はちょっと辛口にしましたが、家系ラーメンを標榜する以上、客の期待感はそれだけ高くなるということを知っていただきたく思い、あえて書かせていただきました。
以上、横浜家系ラーメン武(大田区西蒲田)は『濃厚でまろやか!スープのうまさが自慢』を標榜する醤油・塩・味噌・辛味噌提供店、でした。
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