『釣りバカ日誌』(1988年~2009年、松竹)という映画がありました。回によって家やロケ地が変わることがあるのですが、主人公のハマちゃんこと浜崎伝助の家は、京急羽田空港線穴守稲荷駅付近にあり、羽田弁天橋付近はロケ地として使われてきました。
映画のロケ地になった海老取川沿い
羽田弁天橋というのは、東京国際空港(羽田空港、旧鈴木新田)が作られた羽田飛行場の敷地と、海老取川を隔てた大田区羽田町とを結ぶ橋の南端です。
今も、ビッグバード行きのバスの通路になっています。
この羽田町の海老取川沿いは、桜の遊歩道になっていて、南側突端には五十間鼻無縁仏堂があります。
五十間鼻というのは、初日の出のスポットです。
創建年は不明ですが、昔、洪水時の急流から岸辺を守るために、五十間(約90メートル)にわたって石を敷き詰めたところから、「五十間鼻」という名前になったといいます。
水難事故者を祀る無縁堂もあります。
……という前置きはともかくとして、弁天橋には海老取川沿いの道と、穴守稲荷に抜ける道とに分かれており、そこが冒頭に述べたように、『釣りバカ日誌』のロケ地として使われました。
『釣りバカ日誌6』より
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『釣りバカ日誌6』が公開されたのは1993年12月25日です。
京急羽田空港線の第一次地下化が完了し、それまで終点だった「羽田空港」駅は、地下に潜って海老取川を超え、「羽田」駅となりました。
それは後に天空橋駅となります。
それはともかくとして、まだその当時の弁天橋からは、懐かしいものが見えます。
たとえば、左後方に「ダイエー」というネオンが照っていますが、実はそこにダイエーはありません。
ネオンだけなんです。
ただ、かつての銀座四丁目の三菱電機のネオンではありませんが、羽田のシンボル的な存在でした。
そして、右側後方にも電飾が見えます。
これは、旧羽田空港の名残で、まだこの当時は残っていたんですね。
以前は、こんな感じで並んでいました。
いずれも『喜劇女は度胸』(松竹)より
そして、2017年現在、皓々と照っていたネオンはガイコツだけが残っています。
せっかくですので、『釣りバカ日誌6』にも触れておきますと、こうやって、スーさん(三國連太郎)をミチコさん(石田えり)が送りがてら、ハマちゃんの人柄について語るシーンが同作の定番でした。
このシーンによって、どうしてダメ社員のハマちゃんとミチコさんは結婚したのか、ということがわかるようになっています。
作品のキャラクターに陰影をつける大切なシーンでした。
西田敏行、三國連太郎、石田えり、ともに親の縁が薄い人ばかりのため、この3人の絡みには、演技を超える人生の陰影を見て取ることができました。
のどかな羽田の町
弁天橋の背後に見えるのは、心霊スポット扱いされている大鳥居です。
羽田空港を作る際、大鳥居を移動しようとすると、作業員が大怪我をするという話は聞いたことがあるでしょう。
旧東京国際空港が完成後も、駐車場にデーンと大鳥居は残ったままでした。
『クレージーの怪盗ジバコ』より
その後、空港が沖合(ビッグバード)に移転し、やっと現在の場所(旧鈴木新田の南端)に移転しました。
移転の際はニュースで取り上げていましたね。
手前が海老取川、背後は東京と神奈川を隔てる多摩川
羽田のスポットと言えば穴守稲荷神社があり、飲食店としては、中華そばさとうや、ずうなどがありますが、それはすでにご紹介しました。
羽田の町は、またこれからもご紹介する機会があると思います。
“羽田の空”100年物語: 秘蔵写真とエピソードで語る (交通新聞社新書)
- 作者: 近藤 晃
- 出版社/メーカー: 交通新聞社
- 発売日: 2017/02/15
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